リョウガ(超特急) インタビュー『未来の道を決められない時は、誰かに後押ししてもらってもいいし、誘われて始めてもいい』
今年6月にCDデビュー8周年を迎えた超特急が、ファンの名称である“8号車”の日(8月8日)に新曲を配信リリース! リーダーの3号車リョウガさんに“超特急に入ったことで自分自身が変化した”という仕事観や、音源制作エピソードについて伺いました。
メンバーで話し合って完成した配信シングルは、8号車の日に届けたかった!
――新曲「Dear My グッバイ」が8月8日に配信リリースとなりますね。
8月8日は8号車(ファンの名称)の日なので、僕たちから何かを発信したいという思いがあって、候補となる曲や詞がいくつかある中からメンバーでディスカッションして決めました。タイトルだけを見るとバラードを想像すると思いますが、テンポ感のある曲なので意外性もあって…。
――取材用に音源データをいただきましたが、違う曲が送られてきたのかと思いました(笑)。
ありがとうございます、狙い通りです(笑)。そういったギャップもクセになると思うのでぜひ聞いてみて欲しいです。
――選曲ではどういった話し合いがあったのでしょうか?
メンバーとディスカッションする中で、「言葉が沁みるような歌がいい」という意見と、「ライブでハジけられて定番曲になるようなものを」という案があったので「だったら両方の良さを取り入れよう!」ということで、この形になりました。リズムや音で楽しんで、じっくり聞く時には言葉が刺さる中毒性の高い曲に仕上がったと思います。
――歌詞で特に印象的だった部分はありますか?
個人的には“溢れる 涙に 色があること 一人じゃ 気付けなかった”というところです。僕自身は、まだその色には気付けていないんですけど(笑)。だからこそ、いつかその感情だったり色を知りたいと思いました。
――テーマとしては別れが歌われていますが、悲しみや寂しさより暖かみを感じました。
8号車や大切な人に向けて歌っていますが、どんな理由であれ別れは必ず存在するし、それは終わらせるためではなく新しい未来への始まりのためであって、過去を切り捨てるという事とは違うと思うんです。これまでの歴史は変わらないし、そのうえで今や未来があるという捉え方を大事にしたいと思っています。
――別れ=終わりではないと。
たとえば、8号車にしても、下車(ファンを辞める)という選択肢がありますよね。欲をいえばずっと僕たちを応援して欲しいという気持ちはもちろんありますが、8号車の方たちに笑顔でいて欲しいという思いが根底にはあるんです。
もし下車したとしても、僕たちの音楽に触れてくれていた時間が無駄になることはないと思うし、青春のような人生の1ページになっていたら嬉しいです。そして今、乗車してくれているみなさんとは青春を作り続けていきたいですし、「Dear My グッバイ」がそのための1曲になればと思っています。
初めて通ったダンスレッスンは、ワイワイと男子校みたいで楽しかった
――ここからは仕事観について伺いたいのですが、この業界に入ったキッカケから教えて下さい。
小学生のとき母親が勝手に事務所に応募したのが始まりなんです。突然、大勢の子たちがダンスをしている中に放り込まれ、よく分からないままレッスンを受けて、運良くオーディションを通過して今に至ります(笑)。自主的な思いがないところからスタートしているので、夢や挫折を語れなくてすごく申し訳ないと思いつつインタビューを受けているんですけど。
――逆に“受け身で始めたものを継続出来ている”というのは、すごいことだ思うのですが、最初の頃はどんな感じだったんでしょうか?
週一で事務所が開くダンスレッスンに行っていました。行く前はライバル関係でバチバチしているイメージがありましたが、男子校みたいにワイワイとした空間でレッスンに行くのは楽しかったですね。
応援してくれる方の存在を感じることで仕事という自覚が芽生えた
――それが仕事になった時はどのように感じましたか?
小学生でダンスレッスンを始めて、初めてステージに立ったのは中学生でした。その頃は仕事というより、頑張ってきたことを披露する発表会の延長という感覚でしたね。仕事だと思うようになったのは、超特急になって少し経った頃からです。CDをリリースして、ライブをしていくなかで、商品やチケットを購入してくださったり、時間を割いて足を運んでくれている方たちがいるという8号車の存在を意識しだしてから、仕事としての自覚を持つようになりました。
――特別なキッカケはあったのでしょうか?
キッカケというよりは、ゲームで例えると“進化”より“レベルアップ”に近い感覚ですね。8号車の方からいただく手紙やブログへのコメント、ライブ中に見るみんなの笑顔とか、その積み重ねで徐々に変わっていきました。
ダンスも始めた頃は苦手意識がありましたが、打ち込むほど8号車からの反応が返ってくることが支えになったし、難しいチャレンジもメンバーと達成していく事にやりがいを感じられるようになっていきました。
受動的に始めたことでも、努力を重ねればこだわりや愛が生まれる
――応援してくれる方たちの存在が大きかったわけですね。
はい。超特急を結成した頃は、初対面のメンバーもいる中で、曲を渡され、振り付けをし、よく分からないまま無我夢中でやっていて。楽しさもありましたが受動的な形だったんです。でも、やっていくうちに“こうした方が良くなりそう”とか、“もっとこうしていきたい”という超特急に対するこだわりや愛も生まれていきました。
――少しずつリョウガさんの中で超特急が特別なものになっていったと。
気づいたら自分から超特急をとったら“空っぽになってしまう”と感じるくらい特別なものになっています。そもそも超特急を始めるまでは“こだわり”もあまりなく無関心なタイプだったので、それは大きな変化ですね。
――普段は無関心なんですか!?
プライベートの僕は新しい挑戦や冒険も苦手で、飲食店でも同じものしか頼みません(笑)。でも、超特急のリョウガになると“8号車の期待を上回っていきたい”とか、“新しいものを取り入れたい”という気持ちがあるんです。まだ両方の僕が存在するのですが、超特急が自分にとって必要不可欠な存在になったことで、プライベートの僕自身も少しずつ変化してきているのかもしれないです。
自分の感情を素直に口に出すことを選んでから気持ちが楽になった
――では、活動を通してメンタル的に大変だった時期はありますか?
あまり感情に波があるほうではないのですが、もともと運動が苦手で、人と関わるのも得意ではないので、それを自分の中だけで抱え込んでいたらパンクしていたと思います。でも、それを“隠す必要はないのかもしれない”と感じて、“自分自身を素直に伝えることが個性になる”と思えたことで、楽になった部分はあります。
――気負い過ぎるとしんどいですよね。
たとえば、大人や仕事という言葉には、“厳しくてちゃんとしないといけない”というイメージがあると思うんです。もちろん自分の行ないに対する責任は生じますが、大人だって疲れたり、しんどかったり、甘えたい時もあると思うんです。それを口に出すことで、張り詰めていた気持ちが少し軽くなってまた頑張れる。素直でいることや、遊び心を持つことは今も大切にしています。
――遊び心というと、どんなことでしょうか?
メンバーとはしゃいだり、ライブで8号車たちと思いっきり楽しむ時は童心に返っています。楽しめる時間があることで継続できるし、向上心にも繋がっていくと思っています。
一人で頑張れない時は、他の人の力を借りても大丈夫!
――自主的ではなかったと話されていたのが不思議ですね。
始めてみないと何が起きるか分からないですよね(笑)。未来への道を決められない時は、誰かに後押ししてもらえばいいし、誘われたからという理由でもいいと思うんです。
――人の力を借りてもいいと。
そうですね。余談ですが、最近は自粛期間が続いていたので家で筋トレを始めたんですけど、もともと筋トレが苦手なこともあって全然続かなくて(苦笑)。だから、超特急の専属トレーナーの方にお願いをして、オンラインでのトレーニング日を設けてもらいました。自分の意思だけで続かない時は、人の力を借りたり違う方法を考えてみればいい。人の力を借りたとしても続けられたら、その時はすでに自分自身が変化している証拠だと思うので動き出すことから始めてみてください!
リョウガ(ダンサー/ガリガリ担当)
史上初となるメインダンサー&バックボーカルグループ・超特急。ダンサーのカイ(2号車)、リョウガ(3号車)、タクヤ(4号車)、ユーキ(5号車)、バックボーカルのタカシ(7号車)からなる5人組。2011年に結成し、2012年6月にシングル「TRAIN」でCDデビュー。
◆超特急 OFFICIAL Twitter:@sd_bt
◆超特急 OFFCIAL SITE:http://bullettrain.jp/
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影・河井彩美 取材・文:原 千夏
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。