女優・吉川愛さんインタビュー 「カメラの前でわき上がる感情を大切にしながら演じたい」
音楽教師と生徒の禁断の恋を描く、7月14日(木)スタートの新ドラマ「純愛ディソナンス」(フジテレビ系)で、ヒロインの和泉冴(いずみ・さえ)に扮する吉川愛さん。「新時代の純愛×ドロドロエンターテインメント」と謳った作品で、教師や母親との関係に悩む女子高生をどう演じようと考えているのか。そして、子役の活動を経てたどり着いた22歳のいま、女優という仕事にどんな思いをもっているのかをインタビューしました。
純粋さと芯の強さのバランスを意識しながら、冴ちゃんを演じたい
――作品は、新任の音楽教師・新田正樹(中島裕翔)と高校2年生の冴(吉川愛)が出会い、絆を深めていくも決別。5年後に再会した時、正樹には妻がいて……という禁断の恋を描いた物語ですが、台本を読んだ感想から聞かせてください。
初めて読んだ時は、一言では表現できない作品だなと感じました。純愛とドロドロとした恋愛感情が入り混じった内容ですが、ドラマを見てくださる方にとって受け入れやすい作品にしたいと思ったので、今まで以上に丁寧に演じなければいけないと身が引き締まる思いでした。
――冴という女の子からはどのような印象を受けましたか?
冴ちゃんは、幼い頃から母親(富田靖子)に強い愛情を押し付けられて育った子で、母親のイヤな部分がどうしても目について、どんどんお母さんを嫌いになっていき、反面教師というか、お母さんみたいにはなりたくないと思っている。だけど、血のつながった母親だから好きな気持ちも当然もっていて。純粋だけど、芯の強さもある女の子です。
――撮影が始まったばかりだそうですが、冴をどんなふうに演じていきたいと考えていますか?
まず考えたのが、生意気に見えてしまったらイヤだなということでした。そして、お母さんに見せる顔、正樹さんに見せる顔、友だちに見せる顔と、すべて違った表情をみせていきたいなって。すごく強い女の子というわけでも、純粋すぎる女の子でもない。そのバランスを意識しながら演じていきたいと思っています。
正樹さんとの出会いで変化していく冴ちゃんに注目してください
――正樹を演じる中島さんの印象を聞かせてください。
最近、まつ毛美容液をたっぷり塗ることにハマっているのですが、ある日、視線を落とした正樹さん(中島さん)の顔を見るシーンがあって、パッと見たら中島さんのまつ毛の長さにビックリしてしまったんです。すごく羨ましいので、生まれつきなのかどうか気になっています(笑)。
――それは気になりますね(笑)。中島さんとは初共演ですが、どんなふうに距離を縮めていますか?
普段の私は、自分から共演の方に話しかけることがなかなかできないタイプなのですが、中島さんのほうから気さくに話しかけてくださるので、とても優しい方だなと感じました。
――教師の前にはピアノ教室で講師をしていたという正樹だけに、ピアノを弾くシーンがふんだんに登場しますね。
中島さんは少しでも時間が空くとずっと練習されています。聴いていると本当にきれいな音楽で、上達されていく過程がしっかり伝わってくるんです。ピアノ指導の方が「この曲はこういうふうに弾いてください」や「強く、弱く」など、指示されたことを本番で完璧にこなされていて、その姿は本物のピアノ教師のようでした。演奏するのは、指導の方が「初心者が弾く曲ではない」とおっしゃるぐらい難易度の高い曲なので、その大変さをまったく感じさせずに演奏している中島さんはすごいなって思いました。
――正樹と冴がピアノの連弾をするシーンもありますが……。
正樹さんと違って、冴ちゃんは上手な役ではないので、私なりのスタイルで弾きました(笑)。
――ピュアなラブストーリーというよりも、シリアスでドロドロとした人間模様も描かれますが、視聴者の皆さんにはどんなふうに作品を楽しんでいただきたいですか?
序盤の冴ちゃんは、将来やりたいことや進みたい道が決まっていなかったけれど、正樹さんとの出会いによって、今後どう生きていきたいかなどの考え方が少しずつ変化し、お母さんとの接し方も変わっていく。そこを丁寧に描いていく作品なので、正樹さんと冴ちゃん、冴ちゃんとお母さんの関係性が一番の見どころになると思います。
“初めての人生”を歩むことができるのが女優の醍醐味
――吉川さんは子役として活動していたものの一度は引退し、高校2年生で女優としての活動を再開させましたが、復帰の決め手になったものは何ですか?
またお芝居をやりたいなと考えていた時に、スカウトをしていただいたことが大きかったです。
――芸能界を離れていた時期はベーカリーショップでアルバイトを経験したそうですが、今後の活動に生かせそうなことはありますか?
パン屋の店員さんの役を演じることになったら、自然にできるんだろうなと思います(笑)。でも、女優以外のお仕事ができたこと、社会へと出たことはすごくいい経験になりました。立ち仕事ってこんなにも大変なんだと実感しましたし、店員さんには今まで以上に丁寧に接したいと考えるようになりました。
――貴重な体験となりましたね。子役当時と現在ではお仕事へ向き合うスタンスなどに変化はありましたか?
子どもの頃はわかりやすい演技が求められるというか、子役らしい演技を求められていました。でも、10代後半から22歳の現在にかけて、とても大きなものを背負っているなど、複雑な事情を抱えた役を演じる機会が増えてきたので、演技の仕方や意識が自然と変化していきました。作り込むお芝居もありますけど、子役時代と違って作り過ぎなくなりました。
――子役時代も含めるとたくさんの役柄を演じてきましたが、どのようなところに女優の醍醐味を感じていますか?
いろいろな役柄を演じることができる。いろいろな人物になって、さまざまな感情がわいてくる。そして、実際の人生では経験することのできない職業などの疑似体験ができる。そんなふうに“初めての人生”を歩むことができるのが魅力だと思います。
――その中で役がつかめない、考えているようにお芝居ができないなど、落ち込むこともあったのではないですか?
落ち込んだとしても、「次、頑張ろう」というタイプなので、気持ちを切り替えるのに時間はかかるんですが、自分が達成しようとしていたことがもしできなかったとしても、その悔しさをバネに他のことで頑張ればいいと考えています。
努力をしすぎず、時にはリフレッシュをすることも大事
――普段、お仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことですか?
お芝居をする時の、“その場の感情”です。台本を読んだ時にこう演じたいと思っても、お相手の方がいらっしゃったり、ちょっと強めにいこうと思っていたのに、演じてみたら弱めに出ちゃったりなど、カメラの前に立つと変わってくることがあるので、その場で出る感情に嘘なく演じたい、大切にしたいと考えています。
――吉川さんを支える原動力になっているものは何でしょう?
愛犬です。少しでも美味しいごはんを食べさせてあげたいし、いろんなところへ連れていってあげたい。「ただいまー」って自宅へ帰った時に、「おかえりーっ」みたいな感じで走ってきてくれる姿を見るたびに愛おしくなるので、この子たちを幸せにするために頑張ることができています。
――吉川さんと同世代の皆さんへ、夢や目標へと近づくためにアドバイスをお願いします。
いつも思っているのは、努力しすぎないこと。時には自分を追い込むことが必要な場合もありますし、全力でぶつからなきゃいけない時もあるけれど、だからといって、全力疾走のままだとイヤになってきたり、本来の自分を忘れてしまったりすることもあると思うんです。頑張った翌日には好きなことをしようとか、リフレッシュすることも大事だよってお伝えしたいです。
吉川愛(よしかわ・あい)
1999年10月28日、東京都生まれ。主な出演作にドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS)、「連続テレビ小説『おちょやん』」(NHK)、「カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~」(読売テレビ)、「明日、私は誰かのカノジョ」(毎日放送)、映画「虹色デイズ」、「十二人の死にたい子どもたち」、「ハニーレモンソーダ」、「ALIVEHOON アライブフーン」など。
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編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子
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