ABEMA・西澤由夏アナウンサー インタビュー「プロデューサーとの連絡から衣装手配まで自分で。大変だけどABEMAアナウンサーならではの楽しさです」
新しい未来のテレビ「ABEMA」のアナウンサーとして活躍している西澤由夏さん。幼い頃からアナウンサーを目指し、就職活動でテレビ局を受けるものの全落ち。それでも夢を諦めずサイバーエージェントの営業職を経て、初代専属アナウンサーに。紆余曲折ありながらも夢を掴んだコツや、実際に憧れの仕事に就いた“リアル”な思いをうかがってみました。
幼い頃、アナウンサーを見て「私もこうなりたい」と思った
――子どもの頃からアナウンサーになりたかったそうですが、なぜ“アナウンサー”だったのですか?
幼い頃からテレビが大好きで、ヒマさえあればテレビをよく観ている子どもだったんです。特に情報番組やバラエティが好きで、役立つ情報を見付けたらノートに書きつけているような小学生でした(笑)。テレビ番組の中でも注目していたのが司会者や芸能人ではなくアナウンサーだったんです。すごくキラキラと輝いていて純粋に「こうなりたい!」と思ったのがきっかけです。
――とはいえ「こうなりたい」を叶えるのは、なかなか難しいものですよね。実際に西澤さんも就職活動でテレビ局を全落ちしてしまうなど、紆余曲折を経ていますが、その間に諦めようとは思わなかったのですか。
思いませんでした。アナウンサーになりたいという気持ちもありますが、それよりも目標に向かって行動することが好きなんです。これは性格だと思うのですが、目標を立ててそこに向かって動いて達成する過程がとても好きなんです。その目標が“アナウンサー”だったのだと思います。なかなか達成されなかったからこそ、常に目標に向かっていられたので、諦めるという考えがありませんでした。
アナウンサーの仕事の9割は、下調べなど表に出ないこと
――「目標達成」が原動力なんですね。実際に達成して目標が仕事になったわけですが、理想と現実のギャップはありませんでしたか?
アナウンサーを目指すにあたり、自分でも色々と調べて分かってはいましたが、アナウンサーの仕事は視聴者の皆さんに見えている“アナウンサーの仕事”は1割で、残り9割はそれ以外の仕事だということ。簡単に言ってしまうと、番組に出演してMCをしたりニュースを読んだりするのは1割程度で、残り9割は下調べや勉強、番組の進行打ち合せやナレーションの収録など表には出ない仕事です。でも、その9割がとても重要で、且つとても大変でもあります。
――どんなところが大変なのでしょうか?
アナウンサーは専門の番組だけを担当すればいいわけではありません。私の場合、バラエティ、スポーツ、ニュース、イベントなど様々なジャンルを担当させていただいています。例えば、スポーツの特番を担当する際、出演が1週間前に決まることもあります。そうなると準備期間は1週間。この間に解説者の方並みの知識を得るのは難しいのが正直なところです。もちろん、最低限の知識は頭に入れますが、専門的な知識以外のことを下調べするようにしています。例えば、選手の方が出演されている過去の動画などを探して、その方の発言をすべて文字起こしして、今の思いや考えなどパーソナルな部分に注目して質問を考えたり、アナウンサーとして自分にしかできないことを見つけ出して、調べて、まとめるようにしています。この作業を番組収録やイベントMCなどの合間に行ったり、収録後に行うのでそこは大変ですね。
――その大変さを乗り切る楽しさとはどんなところでしょうか?
この膨大な下調べが実を結んで、問題なく番組が終了する度にとてつもない充実感に満たされます。まさに目標達成の瞬間ですよね。これの繰り返しなので、アナウンサーの仕事が楽しくて、日々、やりがいを感じているのだと思います。
出演者の方との打ち合わせはないことも。ゲストや場の空気を読みながら判断
――「ABEMA」のアナウンサーだからこその楽しさはありますか?
「ABEMA」の番組は比較的自由度が高いという点が魅力です。また、これは社風かもしれませんが、やれることの裁量が大きいのも私に合っていると思います。スポーツの番組などでは台本をいただいたら、あとはこちらにお任せいただくことが多いです。プロデューサーの方と直接連絡を取り合い、大まかな進行を確認したら、番組をどう進めるかは一任されることも。衣装やヘアメイクなども、番組の雰囲気などに合わせて自分でイメージして手配しています。これを大変と思うか、自分がやりたいようにやれて楽しいと思えるかで考えは異なるかもしれませんが、私はとても楽しいですね。
――バラエティ番組などで芸人さんから少しきわどいフリをされたときに、西澤さんが絶妙な返しをしていて話題になることもありますよね。あれも自分の裁量でやっているのですか?
そうです(笑)。バラエティ番組の場合は、いかに番組を楽しく盛り上げるかが“目標”です。ゲストの方が率先して盛り上げてくれるようでしたら「今日は私はサポートに回ろう」と考えますし、ゲストの方があまり得意ではないジャンルのトークかなと判断したら「今日は私が盛り上げよう」と考えて発言しています。事前に打ち合わせをするわけではないので、収録がスタートして場の空気感を読みながら判断して、番組が盛り上がれば目標が達成されたように感じて、とてもやりがいを感じます。
営業や制作の経験が現場で活きているし、それが私の強み
――お話を聞くと、西澤さんは天性のアナウンサーの才能があるとしか思えません!
とんでもないです!きっとこれも「ABEMA」のアナウンサーならではかもしれませんが、アナウンサーになる前は親会社であるサイバーエージェントで営業職として働いたり、アナウンス室への異動までの期間に制作局で研修していたんです。営業経験があるから、自分で率先して行動を起こして下調べをしたり、必要なものを集めたりできますし、制作の経験があるから番組が放送されたり収録が行われるまでにどれだけの時間がかかっているかが分かるので、それに向かって発言や行動ができていると思います。きっと、これまでの経験が役に立っているのだろうし、これが私の強みだとも感じています。
――仕事を続けていると、時には落ち込むこともあると思いますが、そのときはどのように気持ちを切り替えていますか?
人に話す!私はこれが一番です。失敗して落ち込んだときは、失敗した経験は忘れずに原因を理解したうえで、落ち込んでくよくよしている気持ちを人に話して忘れるようにしています。できれば、落ち込んだその日中に友人や家族などに聞いてもらうようにしていますね。そうするとすっきり寝られます。切り替えが早いというより、人に話すのが早いという感じです(笑)。
就職活動で「ABEMA」アナウンサーが学生の目標になるようにしたい!
――常に目標を持ってきた西澤さんの今の目標を教えてください。
「ABEMA」をもっと広めたいし大きくしたいというのは社員全員の目標でもあり、私の目標でもあります。そのために何をすればいいのか、具体的な行動を模索しているところです。アナウンサーとしては、就職活動中の学生に「ABEMA」のアナウンサーが目標になるような存在になること。この2つは今後の課題でもあり、目標でもあります。
――西澤さんは幼い頃から「アナウンサーになる」という明確な目標がありましたが、やりたいことを見付けるコツを教えてください。
やりたいことは無理矢理見つけなくていいと思います。無理矢理だとますます見つからない気がしますし。それよりも毎日の中で、「これをやっているときは心躍るな」とか「ワクワクするな」という瞬間に気が付いて、その中にヒントが隠されているのかを探るのがおすすめ。「毎日、これだけはワクワクしながらやっているな」というものの中にやりたいことに繋がる何かがあるかもしれません。
西澤由夏(にしざわ・ゆか)
インターネットテレビ局として多彩なジャンルの番組を24時間放送している新しい未来のテレビ「ABEMA」専属アナウンサー。現在、『チャンスの時間』『ABEMAニュース』『ニューヨーク恋愛市場』など、バラエティからニュースまでさまざまなジャンルの番組を担当している。
Official Twitter:@nishizawa_yuka
Official Instagram:@yknszw
取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。