女優・齊藤なぎさインタビュー「自分を認められるくらい努力をしたら、見てくれている人は必ずいます」
指原莉乃さんプロデュースのアイドルグループ、=LOVEを1月に卒業し、女優の道を歩み始めた齊藤なぎささん。現在、「タウンワーク」のCMにも出演中です。グループ時代から、指原さんに「人類で一番かわいい」と評されたルックスが注目される裏で、とてつもないストイックさで自身を磨いていました。中学2年生でデビューして現在19歳。これまでに乗り越えてきたことから今後の展望まで聞きました。
3年間絶っていたお菓子は解禁しました
――=LOVEを卒業して2ヵ月になりますが、生活や心境の変化はありますか?
ありがたいことに、変わらず忙しくさせていただいています。卒業して寂しさはまだありますけど、1人で頑張っていこうという気持ちです。
――糖質制限や筋トレは続けているんですか?
甘いものは食べるようになりました。アイドル時代は3年間、お菓子を一切食べてなかったんですけど、心が潰れるほどしんどくなってしまった時期があって。そこまで無理せず、たまには自分にご褒美をあげるようになりました。
――昔はストイックすぎましたか。
そうですね。良くなかったと思います(笑)。人生のいい経験にはなりましたけど。
CM撮影はリハでツボに入って笑ってしまって
――タウンワークのCMの話が来たときは、どう受け止めました?
すごく嬉しかったです。テレビでもYouTubeでもCMはよく見るので、自分も出たいなと憧れはありました。タウンワークさんも知っていましたし、ビックリして本当なのかなと思いました。私のファンの方には10代でバイトをしている人も多いので、呼んでもらえたのかな?
――CMではスマホでバイトを探しているなぎささんの周りで、たくさんの人たちが踊り出します。
コンテを見てシュールだなと思いました。現場では面白くて、リハで一度ツボに入って笑ってしまったんです。でも、皆さんが真剣に踊られているから、これは笑ったらいけないなと。
――出来上がったCMでは、まるで気に留めずスマホを見続けていました。
そこに誰もいないかのように無心でバイトを探していて、暗い感じにならないようにと言われました。朝から夕方までかけて、2つのバージョンを撮って、MVにちょっと似ている気がしました。
役を理解するために原作ファンのコメントも全て読みました
――女優の道に進む意欲は、どこかの時点で高まったんですか?
アイドルは自分が好きすぎて、熱意でなりたかった感じですけど、学校では演劇部に入っていて、演技をやりたい気持ちも昔からありました。物心がついた頃からドラマをたくさん観ていたんです。『ブザービート』や『プロポーズ大作戦』、『花より男子』などの恋愛ものが好きで、『ライアーゲーム』や『コンフィデンスマンJP』も観ていましたからその影響があったかもしれません。
――アイドル時代の出演作では、『明日、私は誰かのカノジョ』のゆあ役が衝撃的でした。ホストクラブ通いをしていて、入れあげているホストと大喧嘩するシーンもありました。
自分も好きだった原作にリスペクトを持って、台本より前に台詞をすべて覚えるほど何回も読みました。デジタル版のファンの方の考察コメントも全部読んでいます。「このときはこういう気持ちだったのかな」とか暇さえあれば考えて、ゆあちゃんという人間を理解しようとしていました。
――原作を読み込むのに留まらず、コメントまで全部読んだという話は初めて聞きました。なぎささんには必要なことだったんですか?
ホストクラブのことは知りませんし、自分だけでは理解できない言動もあったので。実際にゆあちゃんのような経験をしている方の細かいコメントで、勉強しました。
――本当に万事ストイックですよね。
やろうと決めたことは一生懸命やる、というのはあります。
演技を始めてから喜怒哀楽が出るように
――演技の面白さはどんなところに感じていますか?
自分の人生にはたぶんないことを経験できたりするので、新しい発見があって学ぶことがすごく多いです。あと、昔の私は喜怒哀楽が激しいタイプでなかったのが、お芝居の仕事をさせていただいてから、普段もいろいろな感情が出るようになった感じがします。
――『明日カノ』のゆあは態度が激しく豹変する役でしたが、演技を通じて感情の扉が開いたのでしょうか?
そう思います。でも、まだ演技のことは何もわからない状態なので、いろいろ勉強していきたいです。
――アイドルでは山本彩さんが憧れだったそうですが、女優さんでそういう人はいますか?
長澤まさみさんは出演される作品が全部好きで、満島ひかりさんの演技もすごく素敵だなと思います。あとは橋本環奈さん。すごくかわいいのに、コミカルな演技をされますよね。
――『銀魂』で鼻をほじったり、『今日から俺は!!』で白目をむいたり。
そんなふうに振り切れるところもすごくて、自分もそういうふうになりたいと思っています。
――橋本環奈さんはアイドルグループ出身で通じるところがありますが、なぎささんもいろいろな役を演じてみたいと?
そうですね。殻を破れる気がするので。自分の中では、やっぱりゆあちゃんがキーになりました。「なぎさちゃん」でなく「ゆあてゃだよね?」と声を掛けられることが多くて。新たにヘヴィな役もやってみたいです。
心がギリギリになったとき、ファンの方の言葉が救いに
――今まで壁を乗り越えて、成長した経験はありますか?
壁にはいっぱいぶち当たってきました。壁がないことがなかったくらいです。自分がセンターに立つことになったときもそうでした。私、メンバー以外に話せる友だちがいなかったので、誰にも相談できず、ずっと自分で抱え込んで、心がギリギリになって。グループをやめようと思ったこともありました。
――そこから、どう立ち直ったんですか?
ファンの方の言葉が一番の救いになりました。やさしく寄り添って、私のことを「好き」と言ってくださる方がいたから、「この人のために頑張ろう」と思いました。あとは指原さんがごはんに連れていってくださって、話を聞いてもらいました。
――指原さんからも励みになる言葉をもらって?
「世界で一番かわいいよ」とか(笑)。「会うたびにかわいくて驚くし、頑張っているのをちゃんと見ている人はいるから大丈夫」と言っていただいて、指原さんも私のことをわかってくださっていると思えました。
――最近は落ち込むことはありますか?
普通に毎日落ち込んでいます(笑)。でも、今は数少ない友だちに支えられていて。本当に友だちとファンの方がいなかったら、私は生きていけません。友だちと一緒に甘いものを食べるのが、一番のストレス発散法になっています。
――甘いものを解禁して正解でしたね。
落ち込んだら糖分を取るしかないので(笑)、食べる日はチョコとかパフェとか全然食べます。
できることを1からコツコツとやっていきます
――女優として、どんな夢がありますか?
ずっと言っているのは、戦隊ものに出たい、プリクラの外のモデルをやりたい、学園もののヒロインかライバル役をやりたい。その三つですね。戦隊はやっぱり日曜の朝の顔ですし、学園ものもずっと憧れてます。
――さらに先の将来については?
今は自分のできることを1からコツコツやっていくしかなくて、まだそういう大きい夢はありません。でも、おいしいものを食べて、幸せに暮らしていけたらいいなと思います(笑)。
――アイドルになる夢は実現しました。その経験から得た教訓はありますか?
やっぱり努力はすごく大事だなと思いました。私はアイドル時代、歌いたい気持ちはすごくあったんですけど、歌が一番苦手でもあって。それを克服するために、毎日2~3時間、家のランニングマシンで走りながら歌う練習をしたんです。声量も付いて、自分で「歌は得意です」と言えるようになりました。
――うまくなった実感があったと。
ありました。その後のレコーディングのあと、指原さんから「何でそんなにうまくなったの? ビックリした」と連絡をいただいて、歌割りも多くなりました。
――今も演技のために努力していることはありますか?
本を読んでいます。前から好きでしたけど、お芝居に繋がることがあるかなと。最近だと『試着室で思い出したら本気の恋だと思う』という恋愛小説を読みました。あとはたくさんのことを経験したくて、いろいろな場所に行ったり、いろいろな人と話すようにしています。
――そうした日々の積み重ねが大きな実を結ぶんでしょうね。
努力が報われないこともありました。でも、自分で努力したと認められるくらい頑張って、夢を口に出して言っていたら、見てくれている人は必ずいると思います。
齊藤なぎさ(さいとう・なぎさ)
2003年7月6日生まれ。神奈川県出身。
2017年4月、=LOVEのメンバーにオーディションで合格。2023年1月に卒業。現在は女優、声優と活躍の場を広げている。主な出演作は映画『夏の夜空と秋の夕日と冬の朝と春の風』、ドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』、『明日、私は誰かのカノジョ』、『青春シンデレラ』など。「タウンワーク」CM、『花束とオオカミちゃんには騙されない』(ABEMA)に出演中。「LARME」(徳間書店)レギュラーモデル。
OFFICIAL Twitter:@saito_nagisa
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■タウンワーク「タウワバイトアルワ 講義室編」
撮影:松下茜
ヘアメイク:夢月(Three PEACE)
衣装:八木下綾
取材・文:斉藤貴志
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。