カベポスターインタビュー「バイトはお金をもらいながら、自分の得意なことや、合っていることを探すことができる」
2020年のABCお笑いグランプリ、2022年のM-1グランプリに決勝進出を果たすなど、数々の賞レースで活躍するお笑いコンビ・カベポスター。浜田さんはファストフード店でのバイト経験が長く、永見さんはビル清掃の夜勤バイトをしていたとのこと。二人がそれぞれ印象的だったアルバイト経験についても語ってもらいました。
接客が苦手で選んだ深夜のビル清掃バイト。ただ、そこでもコミュ力の低さを実感
――お二人のアルバイト経験をうかがえますか。
浜田順平(以下、浜田) 一番長くやったアルバイトはファストフードの店員ですね。26歳から6年ぐらい。NSC(吉本総合芸能学院)同期の紹介で入りまして、家から3分ぐらいの場所にあったというのもあって、すごく働きやすかったです。
永見大吾(以下、永見) 僕はビル清掃の仕事が長かったです。夜勤のバイトで3~4年ぐらい。正直、接客が苦手だったので、深夜の誰もいないところでビル清掃のほうが向いてるかなということでやってました。
――ちなみに接客のアルバイト経験も?
永見 あります。コンビニも飲食もやりましたけど、ずっとしんどかったんです(笑)。ビル清掃は黙々とやる仕事なので、やりやすかったですね。
――アルバイトでの印象的な出来事は?
永見 寂しい気持ちになった話なんですけど。
浜田 バイトで寂しくなるの(笑)?
永見 そのビル清掃のアルバイトで、わりとフレンドリーに話してくれていたおじさんがいたんです。その同じバイト先に一時期同期芸人のドーナツ・ピーナツのピーナツも働いてて、僕より後に働き始めたんですけど、ピーナツがそのおじさんと急激に仲良くなって。あるとき更衣室でピーナツとおじさんの話しているのを聞いたら、おじさんが「あれなんだっけ? チーズがかかってるポテチ?」と言っていて、ピーナツが「あ、ピザポテ?」って言ったんです。
僕、バイト先のおじさんに“ピザポテト”のことを“ピザポテ”って言うぐらいの近い関係性じゃないなと思って、僕ってそういう能力ないんやなって寂しい気持ちになりましたね。
浜田 そこが印象的な出来事なんや(笑)?
永見 ピーナツのコミュニケーション能力の高さと僕の能力のなさを思い知った瞬間でしたね。
――浜田さんは印象的なアルバイトは?
浜田 ボウリング場でバイトしてたんですけど、そこは芸人が働いてて、みんな出世してるんですよね。僕はお会いしてないんですけど、さらば青春の光の森田さんが辞めて入れ替わりで僕が入って、そこには(『ABCお笑いグランプリ』で)優勝する前のセルライトスパ)の大須賀さん、あと、ムラムラタムラさんという先輩とかがいらっしゃって、合間にお笑いのこともいろいろ話せたので、めっちゃ良かったなと思います。
バイト仲間の外国人留学生が、みんなポジティブに楽しく働く姿が印象的だった
――カベポスターさんが『ABCお笑いグランプリ』を獲った後のインタビューで、浜田さんがこの優勝を誰に伝えたいですか?という質問に対して、何人か名前をおっしゃっていて、その中で「今までのバイト先の店長に」とおっしゃっていたのですが、どんな思いが?
浜田 なんでそんなこと言ったんやろ(笑)。でも実際ファストフードの店長さんもすごく応援してくれるんですよね。大阪やからっていうのもあると思うんですけど。他のバイトの店長もバイトを辞めてからもLINEで連絡くれたりしてましたね。
永見 僕もビル清掃のときのおじさんからLINEきたりしますよ。
浜田 ピザポテの?
永見 ピザポテじゃないおじさんから。すごい優しい方で、賞レースとかもチェックしてくださってますね。
――そういう繋がりも生まれるんですね。お二人がアルバイト経験で得たもの、プラスになったことは?
浜田 バイトをして人を見る目が変わりました。例えば、外国人留学生の人ってみんないいやつなんですよ。みんな笑顔で前向きで。サボることもあるんですけど(笑)、でもポジティブに楽しく働くので、そういうところはバイトで知った面ですね。
永見 清掃は、ペアで清掃するという日もあるんですけど、そのペアの組み合わせが毎回違うんですよね。そうすると、AのおじさんはBのおじさんのことを悪く言ってるな、と知って、Bのおじさんと働いてたらAのおじさんのことは良く思ってるんだけど、Cのおじさんをすごく悪く思ってるんだ、みたいな、頭の中で勝手におじさんの相関図ができる感じは、人間の面白いところをこっそり聞けてるみたいなところがあって、得たものだなと思います。
浜田 何を得たの(笑)?
永見 毎回ペアが変わるにつれておじさんの意見を聞けるみたいなのは、ドラマを見てる感じで得るものは大きかったですね。
働いていたファストフードのCMに出演したい
――カベポスターさんにとっての今後の目標もお聞かせいただければと思います。
永見 芸歴10年目に入る年で、関西の賞レースに出られるラストの年になるので、優勝したいですね。それでもうお前ら邪魔やねんって他の芸人に思わせたいですし、『M-1グランプリ』は悔しい思いもあったので、リベンジしたいですね。
浜田 テレビの仕事もどんどん挑戦したいなと思ってますし、『M-1』もまた決勝にいきたいですし、賞レースも獲りたいなという気持ちもあるんですけど、他だと、働いていたファストフードのCMに出たいですね。お店の外の壁にはでっかくそのCMに出演している人の広告がバーンって出るんですよね。四千頭身の後藤くんとかが出てる時もあって。悔しいなと思いながらも、そこに毎回チャリを止めて通勤してたので、今度は出る側になってみたいです。
面倒なお客さんほど、積極的に話しかけると気分良く帰ってもらえる
――最後に、これからアルバイトをしよう、と思っている方にメッセージを。
浜田 最初にあんまり真面目だなという印象を与ないほうがいいかなと思います(笑)。途中から本気出したときに、めっちゃ働くなぁってことになりますから。最初の印象が良すぎると、ちょっと手を抜いた時にサボってる感がすごいので、そこは徐々に。
あと、面倒くさいお客さんほど話しかけたほうがいいです。ボウリング場でも、居酒屋のバイトでもそうだったんですけど、テーブルを無茶苦茶にして帰るお客さんがたまにいるので、そういう人ほど早めに話しかけて、気分良くさせたらめっちゃ綺麗に帰ってくれるので、それは接客のコツだと思います。
永見 アルバイトって、お金をもらいながらいろいろな経験できるというのがいいところやなと思うので、苦手やな、と思うことでも1回やってみるといいかもしれないです。経験ができて自分の得意なことや、合ってることを探せますし。
あと、アドバイスとしては、(休憩室で)前から勤めてる方の座る場所って決まってたりするので、あの人絶対この椅子に座るやん、ってそれはちゃんと見たほうがいいと思います。
浜田 だいぶ特殊なアドバイスやな(笑)。
永見 あの人の端のほうに座って弁当を開けるんや、とか、最初の1ヶ月は観察したほうがいいかもしれない。それを知ってるだけでだいぶいいアルバイト生活が送れるはずです。
カベポスター
吉本興業所属。ボケ担当・永見大吾(ながみだいご)とツッコミ担当・浜田順平(はまだじゅんぺい)のお笑いコンビ。2014年5月コンビ結成。2021年「上方漫才協会大賞」新人賞受賞、2022年「M-1グランプリ」ファイナリスト。よしもと漫才劇場など大阪を中心に活動中。
◆永見大吾 公式Instagram:@kabepo_pizapote
◆永見大吾 公式Twitter:@kp_nagami
◆浜田順平 公式Instagram:@eijump
◆浜田順平 公式Twitter:@jumpei182
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:小坂和義 取材・文:田部井徹
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。