アーティスト/俳優・八村倫太郎さんインタビュー 「やりたいことはたくさんあっていい。一兎も二兎も三兎も追って、そこで得た経験を糧にしてほしい」
1st写真集「record」(ワニブックス刊)を7月にリリースする八村倫太郎さん。作品に込めた思いや撮影の裏側を聞いたほか、ダンス&ボーカルグループ・WATWINGのメンバーとして活動し、昨年、放送されたドラマ「君の花になる」(以下=「君花」/TBS)では、ボーイズグループ・8LOOMの一員を演じるなど進境著しい八村さんが、どのような心構えで日々の仕事に臨んでいるのかうかがいました。
八村倫太郎やWATWINGを知っていただくには、ここからの頑張りが大事
――写真集の制作が決まった時の心境から聞かせてください。
自分の写真集なんて、まだまだ先のことだと思っていたので、すごくビックリしました。「今の僕で反響があるのかな? どれぐらいの方が手に取ってくださるのかな?」という不安だらけでした。
――ドラマ「君花」で演じた8LOOMがかなり話題になっただけに、期待も大きかったのではないですか?
ドラマが終わって半年経つのに、いまだにイベントに呼んでいただくことも多く、僕はこれを“余韻”と呼んでいるのですが、ありがたいことだと受け止めていると同時に、八村倫太郎個人やWATWINGをもっと知っていただきたいという思いも抱えています。そのためには、ここから先の頑張りが大事で、僕ならではのカラーを打ち出した写真集を作りたいという思いで臨みました。
――撮影は東京と生まれ故郷である横須賀で行ったそうですが、それぞれの思い出を聞かせてください。
横須賀は自分にとってホームといいますか、帰る場所なので、そこで仕事をしているのは不思議な感覚でした。「俺は東京で頑張る」と息巻いて上京した立場としては、東京で得たものを身にまとい、母校などなじみのある場所で撮影できたこと、お世話になった方に少しでも成長できた姿をお見せできたことがうれしかったです。一方の東京は僕にとって、バトルフィールドという感覚の街。オンのスイッチを入れて、ひと皮むけた自分が出せるように努めました。
器の大きな人間になって、より多くの人の心を動かしたい
――写真集が完成したら、一番に見てほしいのはどなたですか?
東京での自分を一番知っているのがWATWINGのメンバーで、横須賀での自分を一番知っているのが家族なので、家族とメンバーが同率1位ですね。
――何て言うと思いますか?
メンバーはめちゃくちゃハイテンションで「え!お前、こんな衣装着たの!?」とか、「いいじゃん!」って喜んでくれそう(笑)。反応を見るのが楽しみです。家族からは、ずっと言われている言葉があるんですよ。地元にいるときの僕は無垢で無防備な顔になっているらしく、「本当に芸能の仕事をしている人なの?」って(苦笑)。自覚はなかったのですが、今回の撮影を通して、東京にいる時と横須賀にいる時の心持ちの違いを感じたので、家族には「横須賀で撮った写真は、やっぱり素の倫太郎の顔をしているね」と言われたいです。
――写真集は八村さんの24歳の誕生日に発売されますが、23歳はどんな年でしたか?
激動でした。いろいろなことにチャレンジさせていただきましたし、いろんな人と出会って、見たことのない景色も見られました。たくさんの“初めて”に向き合い、多くの人に助けていただいた1年になりましたね。
――今後のビジョンを聞かせてください。
アーティストも役者も表現者であることには変わりないと捉えていて、表現者としてはもっと器の大きな人間になって、今より多くの人の心を動かしたいと思っています。僕にできることがあるのならば何だって挑戦したいし、表現することへの欲求や、何かを創造することへの欲求は昨年よりもはるかに増しています。
大学時代の経験で、大変なときは人を頼ることも大切だと知った
――大学生のときに芸能活動を始めたそうですが、学業と仕事の両立が大変だった時期もあったのではないですか?
2年前に大学を卒業したんですけど、コロナ禍ということもあってオンラインでの授業が多く、比較的両立はしやすいほうでした。大変だったのは、やはり試験と仕事が重なったときですね。「今、いっぱいいっぱいだから助けてほしい」と頼めば、いくらかラクになれたし、実際に家族や友人から「頼ってね」と言われていたのに、負けず嫌いな性格が災いして、人を頼ることができなかったんです。それを実感して以降は、積極的にまわりを頼るようになって、いい意味で弱さも含めて自分をもっとさらけ出せるようになりました。そのことで、逆にまわりからも頼られるようになった気がします。人は支え合って生きているんだなと感じました。
――学業以外でも人を頼ることは、あまりないですか?
同じですね。完璧主義者で負けず嫌い、何事も自分の力で成し遂げることが美徳だと考えていたのですが、どう頑張ったって無理なものは無理という現実をその時に知ったんです。自分を大切に思ってくれている人に助けを求めることは信頼だと思うし、自分が信頼されることにもつながる。そんな経験があるから、今は誰かに助けを求めることも重要だと思うようになりました。
8LOOMのメンバーは僕にとって、とても刺激的な存在
――仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことですか?
素直であることです。何かを表現するにも、人間関係においてもそうです。この仕事って、人間関係が大事だと思っていて、一度ご一緒した方とはまたお会いしたいですし、いろんな人に好かれたい。好かれたいからと八方美人のように振る舞うのではなく、相手から「面白い人、魅力的な人」と思われるような人でありたいと心がけています。
――お話をうかがっていると、人とコミュニケーションをとるのが好きといった印象をうけます。
誰かと会話をするのはすごく好きです。コミュニケーションにおいて大事にしているのは、まず自分から心を開くこと。初対面の方とは当然緊張しますし、不安もあるけれど、「私はあなたのことを好きになりたいです」という意思表示をきちんとして、会話の中にユーモアを盛り込めたら素敵だなと思いながら接しています。
――これまでの仕事において、ターニングポイントや転機と感じた出来事、自身の変化について聞かせてください。
やはり、去年出演したドラマ「君花」が大きかったです。第一線で活躍なさっている本田翼さんや内田有紀さん、竹中直人さん、夏木マリさんといった大先輩と共演させていただいて、皆さんのスゴさを肌で感じ、「もっと成長しなきゃ」と強く思いました。仕事と改めて向き合うきっかけになりましたし、自分の仕事の意味とは何かと真剣に考えて、新たに歩み始める大切な作品になりました。
――同世代の俳優さんからも刺激を受けたのではないですか?
当時も受けましたし、今も受けています。ドラマが終わった後も交流は続いていて、みんなからの報告を聞くことや活躍を目にすることがすごく嬉しいし、僕もいい報告ができるように「追いつけ追いこせ精神」で頑張りたいと思える刺激的な関係です。
曲を聴いてくださった方や、作品を観てくださった方の反応が僕の原動力
――現在の原動力は何ですか?
WATWINGの音楽を聴いてくださった方や、作品を見てくださった方の反応が僕の原動力です。「今回の曲、よかったよ」と言われると「わー、よかった」と感激するし、「背中を押してもらった」「ライブを観て元気が出た」という感想を聞くと、「やってよかった」と心からやりがいを感じます。もっと多くの人の心を動かすために、発信は続けていきたいです。
――まわりからの評価や評判は気になりますか?
気になりますね。SNSが主流となっている現代において、気にしすぎることもよくないと思う反面、SNSがあるから気づくことだってある。「自分がこうしたいからこういう表現をしました。どうですか?」だとただの自己満足ですし、「ここがよかった」「ここに感動した」だけでなく、「こうしたほうがもっといい」とか「ここがイマイチだった」などの反響があって表現は存在するものだと思うので、そういう意味では皆さんの評価、評判は気にします。
――夢や目標に向かって奮闘する同世代の皆さんへメッセージをお願いします。
目標はたくさん持つことが大事だと思います。仕事柄「夢は何ですか?」とよく聞かれるのですが、僕はやりたいことがたくさんあって、それを「夢」ではなく、「目標」だと捉えるようにしているんですね。やりたいことはいっぱいあっていいと思うし、いっぱい追いかけていいと思う。一兎も二兎も三兎も追って、たくさん失敗して、そこで得た経験を糧に一緒に突き進んでいきましょう!
八村倫太郎(はちむら・りんたろう)
1999年7月28日、神奈川県生まれ。2019年、ホリプロ主催の「Star Boys Audition」に応募し、WATWINGのメンバーに。2020年1月にデビューし、翌2021年9月にメジャーデビューをはたす。ドラマ「ホメられたい僕の妄想ごはん」(BSテレ東)で俳優デビュー後、映画「サバカン SABAKAN」、ドラマ「君の花になる」(TBS)などに出演。8月22日「WATWING First Full Album One Man LIVE(仮)」をパシフィコ横浜で開催し、秋には全国ツアーを行う予定。
◆Official Twitter:@Rintaro_watwing
◆Official Instagram:@rintaro_watwing
◆WATWING Official Site:https://watwing-info.com/
◆WATWING Official Twitter:@watwing_info
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編集:ぽっくんワールド企画
撮影:井野友樹
取材・文:荒垣信子
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