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2016年11月17日

11月17日はボジョレー・ヌーヴォー解禁日!ワイン造りに携わるワイナリー女子の仕事とは?

ワイナリー女子
新酒のワインの解禁日となるボジョレー・ヌーヴォー。近年では日本ワインも世界のコンテストで賞をとるなどしてワイン人気が高まっていますよね。ワイン造りに携わる人といえば熟練の技術をもった年配の男性…というイメージがあるかもしれませんが、最近では女性も大活躍。

そこで山梨県にあるワイナリー「シャトー・メルシャン」でワイン造りの現場へ18歳で飛び込んだ髙野杏奈さんにお話しを聞いてみました。
 

もともとワインにもブドウにも、農業にも縁がなかった!

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――ワイン造りといっても色々な工程があると思いますが、高野さんはどんなお仕事をしているんですか?

ワインの原料となる醸造用ブドウの栽培を行っています。ブドウもワインによって使う品種が様々で、私が働いているワイナリーの自社畑ではメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、シラー、プティ・ヴェルドの5品種を主に栽培。それぞれのブドウをワインに適した美味しさに育てるのが私の仕事です。

――ワイン造りの最初の工程を担っているわけですね! もともとワインや農業に興味があったんですか?

いえ、まったく(笑)。私、長野県の出身なんですが、周りに田んぼや農家がたくさんあって農業はおじいちゃんやおばあちゃんがやるもの、というイメージでした。ちなみに実家は自動車整備工場なので農業とは縁がないし、ワインにもまったく興味がありませんでした。
 

高校の校外授業でブドウ畑を見た瞬間、一目ぼれ!!

高野さんが働くブドウ畑「城の平ヴィンヤード」。収穫が終わり、今は畑を整える時期(写真提供:キリン株式会社)

高野さんが働くブドウ畑「城の平ヴィンヤード」。収穫が終わり、今は畑を整える時期(写真提供:キリン株式会社)


――なのに、なぜブドウの栽培を仕事に?

高校で選択授業の中に農業があったんです。正直、授業内容にはそこまで興味がなかったんですが、担当の先生がすっごくかわいい女性の先生で!「なんでこんなにかわいい女の人が農業をやっているんだろう?」と、そっちの方に興味津々で授業を選択したんです。そうしたらものすごく楽しくて!

もともと、家にこもるよりも外で何かをする方が好きなタイプなので、屋内で座って授業を受けるよりも太陽の下で畑にいるほうが向いているし、自分がイキイキできると気が付いたんです。

授業では主に果樹栽培を学んでいて、校外授業で長野県にあるシャトー・メルシャンの自社畑である椀子(マリコ)ヴィンヤードでブドウ栽培体験があったんです。この体験がブドウ栽培に興味をもったきっかけでした。初めてブドウ畑を目にしたときに異空間に来ている気がして、外国に行ったことがないのに「外国みたい!!」と感動したんですよ。それぐらい初めてみる光景に感激しちゃって(笑)。栽培やワインよりもブドウ畑に惚れ込んでしまった感じです。

――確かに、先ほど撮影したとき、ブドウの垣根が並ぶ畑の様子は圧巻でした!

ですよね! “この空間の中で仕事ができたら幸せだ!”と思って就職活動はワイナリー1本に絞りました。そうしたら運よくシャトー・メルシャンの募集がありまして。ただ、募集は長野県の畑ではなく山梨県の畑だったので、実家を出てひとり暮らしか…、と一瞬戸惑いましたけど、憧れの仕事の方をとりました。

仕事道具の収穫バサミ。右は使いすぎて刃が折れてしまい現在、2代目ハサミを使用

仕事道具の収穫バサミ。右は使いすぎて刃が折れてしまい現在、2代目ハサミを使用


 

ワインに適したブドウを栽培するために1年間、手間暇かけてブドウに向き合う

――具体的にブドウ栽培の仕事内容を教えてください。

私たちのワイナリーでは、みなさんがブドウ狩りなどで目にする棚栽培ではなく、垣根栽培といって枝を垂直に伸ばす栽培方法でブドウを生育。棚栽培よりも1樹から収穫されるブドウの数は少ないのですが、その分、品質の良いブドウが栽培できます。

ブドウ栽培で一番重要と言われているのは冬の「剪定(せんてい)」という作業。栽培はここからスタートします。秋に収穫を終えて休眠期に入っているブドウの樹を見て、来年に向けて実をつけそうな新梢(しんしょう)を残して、不要な枝を切り落とす。これによってブドウの質や収穫できる量が変わりますから、とても重要な仕事です。

春になると新芽が出て伸びてきますので、不要な芽を除去して栄養をいきわたらせたり、ブドウの房に日光がまんべんなく当たり、風通しをよくするため葉を取り除いたりと、健康で高品質なブドウが育つような作業を行います。

――品質の良いブドウを育てるための作業工程がほとんどなんですね! まさに手間ひまかけてという言葉がぴったりです。

その育ったブドウの房も切っちゃうんですよ。6月ぐらいになると「摘房」といって色づきを良くしたり、品質を向上させるために1新梢あたり1房~2房に減らします。そうして残った高品質なブドウだけが収穫されるんです。これ以外にも畑の草刈りや石拾い、薬剤散布などの仕事もありますね。

――髙野さんの1日の仕事スケジュールを教えて下さい。

朝、8時30分に出社して9時には社用トラックで畑に向かいます。そこから16時まで畑で作業。昼食も畑でとります。夏場は熱中症対策のため、朝5時から13時30分まで作業して業務終了。雨の日は、急ぎの作業があるときはカッパを着て畑に出ますが基本的にはデスクワークを行っています。

――デスクワークもあるんですか!?

垣根の列ごとに樹の状況をまとめています。今シーズンはこの樹が枯れてしまったとか、あまり元気がないとか。シーズンごとに樹がどういう状況であるのかを把握できるようにしているんですよ。
 

女性ならでの細やかな気遣いや視点がブドウ栽培に生きている

畑へは相棒の軽トラックで。就職が決まってすぐに運転免許を取りいったそう

畑へは相棒の軽トラックで。就職が決まってすぐに運転免許を取りいったそう


――畑での作業は体力的にツラいこともあるのでは?

私、この仕事を始めてキツイとかツライとか思ったことは一度もありません。かよわすぎる女性ならキツイのかもしれないけれど、私は何の支障もないですよ! よく「力仕事で大変ですね」なんて言われますけど、そうでもないです。確かに、収穫時期はブドウが入った収穫箱を持ったりしますけどそれぐらい。むしろブドウ栽培は女性に向いていると思うんですよ。

――どんなところが女性に向いていると思いますか?

剪定をする際、女性ならではの丁寧な目線が生きることが多々あると思います。知り合いの女性の栽培家さんが男性とは違った細やかな気遣いのある視点で剪定をしていると話していたときに、「女性ならではの考え方だな」とすごく納得したことがありました。

――仕事で大変なことはありますか?

ありません!(即答)。何をしていても常に楽しいんです。毎年、作業内容は同じですがその年によって樹の状態はまったく違うので飽きないんですよ。まるで違う生き物を相手にしている気持ちになるから「今年はこうやって、もっといいブドウを育てよう!」と思えますし。

ただ、農業は自然を相手にしているので、台風が多かったり、天候不順が続くとどんなに手間ひまかけて育ててもいいブドウができない場合もあります。そんなときは残念だなと思いますけど、来年は頑張ろう!と
 

一番の魅力は栽培したブドウがワインに形を変えて多くの人に飲んでもらえること!

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――この仕事をしていて楽しいときはどんなとき?

作業が終わったときの達成感は最高ですね。今年、一番嬉しかったのは私が入社したときに栽培したブドウを使ったロゼワインが完成したとき! 自分が育てたブドウがワインになって多くの方に飲んでいただけるのは大きなやりがいですね。

私が思うブドウ栽培の魅力のひとつは、最終的にワインという別の製品に形を変えること。自分の栽培したブドウがまったく別のものに変わるなんてすごいじゃないですか!(笑)。

今年、20歳になってやっと自分が作ったワインが飲めるようになったので、これから少しずつ勉強していきたいなと思っています。

――好きな仕事で生きていく秘訣を教えてください!

この仕事は自分に向いていないかも、と思って諦めないことだと思います。仕事って好きだったら苦手なこともできちゃうんじゃないかな。私も虫が大嫌いなんですけど、農業やっていますし。仕事モードになると虫が出てきても平気なんですけど、家で出ると「どうしよう!!」って大騒ぎします(笑)。

この仕事、やってみたい!と思ったら挑戦すべき。生きていくためには仕事をしないといけないんですから、好きなことをしたほうが絶対に毎日が楽しいですよ。

■プロフィール
髙野杏奈さん(20)

2015年4月にシャトー・メルシャン栽培課に入社。ワイナリー内で最年少の女性として活躍中。休日は東京や横浜まで遊びに行くことも。最近の楽しみは入社してからコツコツ貯めたお金で購入した車が納品されること! 

■取材協力
シャトー・メルシャン

http://www.chateaumercian.com/

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造