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2020年03月04日

マオ(シド)インタビュー 『夢を追うために上京後も続けたバイトは必要なことだった』

シド_SID_マオ_delete

アニメのタイアップなど、突き抜けたメロディセンスでも注目を集めるロックバンド・シド。ヴォーカルのマオさんに3月4日にリリースする新曲「delete」の制作エピソードと、高校時代の喫茶店でのバイトや夢を追うために働いていたという上京後のエピソードまで、貴重なお話についてお伺いしました。

疾走感のある新曲「delete」は、これからのライブで活きてくるはず

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――テレビアニメ『七つの大罪 神々の逆鱗』のオープニングテーマにもなっている新曲「delete」について聞かせてください。

タイアップのお話をいただいて、いくつか楽曲を揃えた中で「delete」が選ばれました。タイアップの場合、アニメのファンや制作に関わっている方たち、そしてバンドのファンも含め、みんなが良い意味でザワザワするような、両者が納得できるものを作りたいという気持ちはいつもありますね。疾走感のある楽曲なので、スピード感を止めないように心がけたのと、今後のライブで活きてくる曲だと感じているので、そこも意識しました。

――タイトルは直訳すると“消す”という意味ですが、この言葉を選ばれたのは?

結成初期の頃は、ライブに来てくれるお客さんや、手伝ってくれるスタッフさんが少しずつ増えていったり、色々な技術を取得して、1つずつ武器や防具を手に入れていくような感覚だったんです。

そこからシドを17年間続けていくなかで、徐々に“削ぎ落とす”ことにも意識を向けるようになりました。同じことの繰り返しや固定概念だけでは、新しいものは生まれてこない。新しいものを得るためには手離すことも必要で。そういったテーマの歌詞をいつか書きたいなと思っていました。

――逆境への対峙の仕方を《壊せない壁なら そっと寄り添って待てば》と表現されているのも意外でした。

普段から、ファンのみんなと接点を保つためにSNSや、自分のコミュニティを開いたりしているのですが、“立ち止まってしまった”とか、“行き詰まってしまって辛い”という声も多くて、みんな必死に何かを壊そうと頑張っている。そんなみんなに、“もしかしたら違うやり方もあるかもしれないよ”と伝えられたらいいなと。

――どうしても“頑張らなきゃ”と思ってしまいがちですよね?

僕もそういうタイプだし、今まで行き詰まった時に力技で頑張っていた時期もあるんですけど、今思うと“あの時、なんであんなに悩んでいたんだろう”と感じることも多くて。だから、たまには“時間に委ねてみてもいいんじゃないか”という思いを込めています。

――そして、5月には河口湖ステラシアターでのライブが決まっていますね。

応援してくれる人たちや自分たち自身もワクワクするようなことがしたくて、いつもとは違う会場を選びました。シチュエーションや、セットリストも特別なものにして、みんなで一緒に楽しみたいですね。

――すごくファン想いなバンドだと感じます。

きっと少しだけ臆病なんです(笑)。ずっと愛して欲しいという気持ちが強いバンドなので、「俺たちについてこい」というよりは、「一緒に歩んでいけたら」と思っています。

喫茶店での接客業は、仕事の1つ1つに丁寧に対応することを学んだ

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――ここからはバイト経験について伺いたいと思います。

初バイトは新聞配達です。欲しい物がたくさんあったので働こうと思いました。おこづかいの範囲を超えて、労働してお金をもらう。それで好きなものが買えるということに、すごくワクワクしたのを覚えています。

――特に印象に残っているバイトはありますか?

高校生の頃に働いた喫茶店ですね。その喫茶店のご飯が美味しくて、働く前からよく行っていたのと、制服の蝶ネクタイがカッコよかったんです。そこが一番長く働いたし、初の接客業ということもあって学ぶ事も多かったです。

――例えばどんなことがありましたか?

忙しいお店だったので、お客さんを待たせないためにスピード感を持つことと、スマートに接客をすることですね。たとえば、お水の入れ方1つでも、一定の量とスピードで水を注ぐとか、音をたてないとか、すべてに配慮とコツがあるんです。先輩に教えてもらって練習しました。

――やってみないと身につかないことですね。

そうですね。以前、ファン旅行に行った時に、一気に400人くらいにウェイターとして水を注ぐ実演をしたことがあって、そこでも活かされました(笑)。

――お店にはすぐに馴染めましたか?

最初はよく怒られていました。接客に限らず掃除にも厳しかったので、1つ1つのことを“ちゃんとやろう”と意識するようになったのは、ここで働いた経験からかもしれません。

接客自体は比較的スムーズに出来ましたが、パフェを4つまとめてぶちまけるという大失敗をして…。お客さんが優しい方たちで逆に気遣ってもらってしまったんですけど、“これは大丈夫じゃないよな”と(苦笑)。お客さんの対応に救われました。

ピンク色の髪の毛で受けた居酒屋の面接。店長に言われた言葉とは!?

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――バイトは、基本的なことを学べる場だったんですね。

そうだと思います。もう1つ、地元では居酒屋でもバイトをしました。そこは、面接にピンク色の髪で来た僕を見て、オーナーと店長が笑いながら「お前マジ!? 面接だぞ」って(笑)。でも、「働く日までに黒に戻してくるのであれば入れたいんだけど、どう?」と提案されて。頭ごなしに「帰れ」じゃなくて「お前面白いね」という感じで接してもらったので反発せずに受け入れられました。その店長は怖いけれど、ちゃんと向き合ってくれる人でしたね。

――居酒屋では、どこを担当されたのでしょうか?

最終的にはホールリーダーとして、現場でのお客さんの誘導から、バイトスタッフへの指示まで全てやっていました。それ以外に、どうしたらお客さんの回転率があがるかとか、店長とお店を良くするための話し合いをしたり(笑)。スイッチが入ったんでしょうね、それがすごく楽しくて。直接、時給につながるわけではなかったんですが、一生懸命に取り組んだことがやりがいになっていました。

コンサート警備の仕事は、今でも初心に返るキッカケになる

―では、上京してからのバイト経験も教えてもらえますか?

カレー店など飲食店の接客業をメインに色々とやりました。ただ、バンドの練習やライブがあるとシフトが決められないので、地元でのバイトのようにじっくり取り組むというよりは、派遣で選ぶことが多かったです。

――派遣のバイトで印象的だったものは?

コンサートの警備スタッフを一度だけしました。昔買ったボロボロのスーツを田舎から送ってもらって行ったんですけど(笑)。イメージとしては、ステージに背を向けて警備をしながら、音楽くらいは聴けるかなと思って期待していましたが、運悪くホール外の配置になってしまって、ちっちゃく音漏れが聞こえる程度だったのは残念でした(苦笑)。

――今では、シドのライブで大勢のスタッフさんが働いているわけですが。

警備や設営なども含め、たくさんのバイトの方たちが動いてくれているのを見ると当時を思い出しますし、いつまでも力を貸してくれている1人1人に感謝できる自分でありたいなと思います。

――人を思いやれるのも経験しているからこそですね。

気持ちは入りますね。派遣以外だと、時給がよくて選んだパチンコ店は、自分と同じように夢を持って上京した人が多くて刺激になりました。

時間が大切だからこそ、就業時はメリハリをつけて働くようにしていた

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――今でも連絡をとっている方はいますか?

はい。でも当時は地元にいた頃とは違ってバンドがメインで、バイトは食べるために必要なものという位置付けだったので、すごく付き合いが悪かったんです。とにかく時間があるなら全部を音楽に使いたかった。でもバイトをしないと夢を追うこともできない。

それもあって、パチンコ店に限らず、バイトの終了時間がきたら仕事が残っていても時間ぴったりに帰っていたりと、あまり可愛いバイトではなかったと思います(笑)。その代わり遅刻はしなかったし、時間内はしっかりと働く。そのメリハリは自分で意識してつけるようにしていました。

――バイトの経験が今に活きていることはありますか?

どのバイトにしても、仕事をする上で時間を守るということの大切さはすごく感じました。アーティストは、ルーズなイメージもあると思いますが、シドはメンバー全員がバイト経験者ですし、そこはしっかりしていると思います。

――最後に、バイトを始める人へのアドバイスをお願いします。

色々なルーツを持った人と出会えるのは面白いと思いますし、仮に人見知りですぐに馴染めなくても、学校とは違ってバイトは“仕事をしに行く場所”なので、まずは目の前の仕事に一生懸命に取り組んでみる。そこから少しずつ変化も生まれると思うので頑張って下さい。

 

■Profile
マオ
(シド)

2003年結成。マオ(Vo)、Shinji(g)、明希(b)、ゆうや(ds)からなる4人組ロックバンド。2008年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。結成10周年となった2013年には、初のベストアルバムをリリースし、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員した。
昨年9月には2年ぶりとなるアルバム『承認欲求』をリリースするなど、精力的に活動中。今年は5月に、スペシャルライブとして、河口湖ステラシアターでの2days公演が決定している。

◆シド Official HP:https://sid-web.info/
◆マオ Official Twitter:@mao_sid

撮影:花井透 取材・文:原千夏(ぽっくんワールド企画)
ヘアメイク:坂野井秀明 スタイリング:奥村渉
衣装提供:kiryuyrik 03-5728-4048 / GalaabenD 03-6455-2065

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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