将来の夢がない高校生へ。葉一さんが教える『夢を見つける方法』
「将来の夢は?」「卒業後の進路は?」など聞かれるシーンが増え、将来について考え始める高校生も多いのではないでしょうか。今回は「とある男が授業をしてみた」で人気の教育YouTuber・葉一(はいち)さんに「夢を見つける方法」について聞きました。
将来の夢は簡単に見つかるものではない
周りの友達は夢を持っているけど、自分にはない…そんな風に悩んでモヤモヤしている人向けに、夢は必要なのかから、お話しします。
将来の夢がないことで悩む必要はない
一般的に、若者は夢を持つべきという風潮がありますが、僕は、夢はないよりはあったほういいけれど、夢がないからと言ってダメということはないと言いたいです。夢は、そう簡単に見つかるものではなくて、明確な夢があることの方が奇跡だと思うのです。夢というのは言わば自分の目指すゴールであって、自分の興味・関心の先にある完成形。夢があり、叶えられればベストですが、そこに至らなくても凹む必要はないのです。
ただし、必要ないからと言って、自分の興味や将来に無関心ではいけないと思います。自分の興味・関心とは常に向き合うべきだし、向き合い続けることが自分の将来につながっていくと思います。
夢は変わっていいし、複数あってもいい
自分の興味・関心を突き詰めて夢を持ったとしても、やっぱり違うと思うことはあります。違うと思ったら、潔くやめてOK。興味・関心は変わっていいし、むしろ様々な情報を得て変化するのが普通です。興味・関心が変わるのは行動を起こした証拠。「初志貫徹しなきゃ」なんて考えず、いろいろなことに興味・関心を向けてほしいです。
また、夢を一つに絞る必要もありません。複数あるなら、それらを全て叶える方法を探ってみるといいでしょう。その際には、どれも仕事にしたいのか、趣味でいいのかそれぞれ考えてみましょう。仕事にするとそこには責任が伴いますし、嫌なこともあります。それでも全てを仕事にして成功させたいと思うなら、ぜひ同時に追いかける方法を考えてみてください。
将来の夢を見つける方法
簡単に見つからないとは言え、進路を決める上で何らか方向性を示すものはほしいですよね。そこで、ここからは、夢を見つけるヒントを紹介します。
情報収集をして、自分のアンテナに引っかかるものを探す
例えば、将来やりたい仕事を見つけたいなら、仕事紹介の動画を見る、仕事に関する本を読んでみる、親や塾、学校の先生など周囲の大人に、今の仕事をどうやって決めたのか聞いてみるなど、自分から動いてみましょう。他人から自分がどう見えているか、自分にどんな仕事が向いていそうかなどを聞くのも有効です。
ポイントは「行動し続けること」です。色んな情報や人に触れることで、自分が気になるもの、興味があるものに出会うチャンスが増えますし、進む道の選択肢を多く持てます。その数は多ければ多いほど将来の可能性が広がります。
気になるものを更に更に自分で調べていく
気になるものを見つけたら、更にそれに関する情報を調べてください。そうすると、また自分の興味のアンテナに引っかかるものが見つかることがあります。アンテナにひっかかったら、更に知るために調べる。調べる途中で、「こっちの方がもっと面白いかな」と違う選択肢が出てくることもあります。この繰り返しを面倒と思わず、面白がってできるかが、自分の夢に近づく人とそうでない人の差です。「後で調べよう」は絶対にNG。99%やらずに終わります!
やりたくないこと、向いていないものから探っていく
自分にとって明らかに苦手、違うと思うものをそぎ落とす作業も有効です。まずは、仕事紹介サイトなどで、「接客・営業」「企画・デザイン」「開発・エンジニア」「医療・介護」「保育・教育」など職種の大きなくくりを眺めてみて、違うなと思うものを削除していき、残ったものから絞り込んでいくという方法です。
「車好き」などジャンルは絞れているなら、好きなのは乗ることなのか、デザインすることなのか、触れることなのかを考える。乗ることが好きなら、それ以外は選択肢から削除し、残った選択肢から興味・関心が沸くものを考えてみるのもいいでしょう。大学に行き、時間に余裕ができたら、候補に近い職種のアルバイトをしてみて、自分に合うか試すのもおすすめです。選択肢から外したけれどやはり好きかも……と後から気が付いたら、そのとき持っている選択肢に加えていくのもいいでしょう。
志向性から自問自答して掘り下げていく
「人のために何かをすることが好き」「人と会話をすることが好き」など、自分の性格や好きなこと、何に心を動かされるかといった志向から考えるのもいいでしょう。志向がわかったら、自分の感情に対して「なぜそう思ったか」自問自答します。人のためになりたいと思うなら、「なぜ人のためにと思うのか?」→「人の役に立ちたいから」、「なぜ人の役に立ちたいのか?」→「役に立てたときの笑顔が好きだから」と1段ずつ掘り下げて考えていくと、他のキーワードが出てくることもあります。
今の時代、答えをすぐに知りたがる人も多いですが、夢や興味は誰かが教えてくれるものではないし、簡単に見つかるものでもない。答えを最初から知るのは効率的ですが、自分自身に問いかけ、考えて見つけないと自分の夢にはなりません。
夢のまた夢…な職業を目指してもいい?
やりたいことを考えている中で、ごく一握りの人しかなれない難しい職業しか思いつかない…、それでもやってみたいと思うなら、どんどんチャレンジしてみるのも一つの選択肢です。高校や大学など、学生生活を送りながらでもできることはあるはずです。例えば声優であれば、スクールに通えなくてもYouTubeで発生練習の動画があるし、高校生が受けられるオーディションもあります。結果がどうであれ、やりきったという思いがあれば、次の道に繋がっていくものです。アニメ業界で裏方の仕事を目指すなど、やりたい道を少し変えてみるのもいいのではないでしょうか。
実は僕自身、高校生のときアーティストになりたかったんです。数多くのオーディションを受けましたが全部落ちました(笑)。もちろん打ちのめされましたが、やることをやったから次に一歩踏み出せました。本当にやりたかったら、まず、今自分に出来ることは何か考え、行動してみることが大切です。
壁にぶつからない人生はない。悩んだら、憧れの人ならどう行動するかを考えて
この記事を読んでくれている人の中には、夢がない自分に焦ったり、劣等感を感じたりしている人がいるかもしれません。また、「自分は才能がない」「大きなことを成し遂げられるわけがない」と思って将来像を描けない人もいるかもしれません。でも、みなさんが持っている可能性は自分が思う何百倍も大きい。自分を狭める枠は取っ払い、自分のアンテナを信じて将来に向かって一歩一歩前に進んでいってください。
そしてこの先、描いた夢にチャレンジするうえで壁にぶつかることがあるかもしれません。そんなときは、自分の憧れの人やキャラクターならどうするだろうと考えてみてください。自分が好きなあの人だったらどうするかな、と考えてみる視点は、皆さんに新しい視点や考えを与えてくれるはずです。
葉一さん
大学卒業後、営業職、塾講師を経て2012年にYouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」を開設。小学生から高校生までの単元を広くカバーし、丁寧でわかりやすい授業動画で人気を博す。勉強のやり方に悩んでいる子や、受験生向けのメッセージを込めた動画もある。2023年9月現在、チャンネル登録者は194万人を超える。
YouTube:@toaruotoko
X(旧Twitter):@haichi_toaru
取材・文 荒川文乃