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2019年04月23日

ピアニスト・まらしぃ インタビュー『学生時代からのストイックな動画制作スケジュール! 楽しみながら向き合う事が続けられた理由』【クリエイターの原点 vol.6】

まらしぃ_ピアニスト

photo:©Subcul-rise Record

インターネットをきっかけに、動画や歌の配信、ゲームや楽曲制作などマルチな才能を発揮して今を走り抜けるデジタルクリエイターたち。そんな著名人たちの学生時代・駆け出し時代の貴重な経験や今に活かせていることを中心に『クリエイターの原点』として読者にお届けしていきます。第6回目は、弾いてみたの先駆けであるネット界が生んだピアニスト、まらしぃさん!

ピアニストであり作詞・作曲もこなす、まらしぃさん。アニメ、ゲーム、ボーカロイドなどの楽曲を独自のアレンジでピアノ演奏する動画が注目を集めている。初の動画投稿から10年目となる現在、改めて当時のエピソードを中心に、バイトや学業との両立についてお話を伺ったほか、4月24日にリリースするベストアルバム『marasy collection〜marasy original songs best & new〜』についてインタビュー!

10年の歴史の中でターニングポイントになった楽曲を集めたベストアルバム!

まらしぃ_ピアニスト

——ベストアルバムをリリースされますが2枚組と豪華ですね。

収録する楽曲は自分で選曲したんですけど、それぞれの曲に思い入れがあるので絞りきれなくて。スタッフさんに「せっかくのベストですし、2枚組とかどうですか?」とワガママを言って増やしてもらいました(笑)。

——DISC1はまらしぃさんの歴史が分かるラインナップとなっていますね。

初めて作曲した「夢、時々…」や、過去アルバムの1曲目に収録しているものなど、自分の活動の転機になったものを入れています。それと、いつも聴いてくださる方が支持してくれる曲も意識して選びました。

——このアルバム用に、全曲新たに録りなおしもされていて。

はい。僕は楽譜に沿って1音1音をキッチリ弾くタイプではないので、極端に言うと今日弾いたものと、明日弾いたものでさえ同じにはならないんです。楽曲を発表した当時より、色々な経験をして引き出しも増えている今だからこそ弾けるものを納めたかったので改めて演奏しました。

――DISC2はタイアップ曲を多く含む構成になっていますが、特に思い出深いものはありますか?

1曲目の「Love Piano」は、YAMAHAさんの“みんなのピアノ発表会”のイメージソングになっていて、ピアノの魅力や演奏の楽しさを伝える活動のキャンペーンソングとしてお声がけをいただいたものなんです。自分自身が一度ピアノから離れていた時期がある分、“好きならいつでも始められる”とか“ピアノの楽しさに触れてほしい”という思いと重なるので、自分にとっても意味深い曲を入れることが出来ました。

――DISC2のラストには、新曲「風来」も収録されていますね。

今行なっているアジアツアーのイメージソングとして作曲したんですけど、アジアツアーも、ファイナル公演になる幕張メッセ(6 月8日)でのライブも初めてなので、“どんな感じになるのかな?”という期待感を曲にも込めました。

——特典DVDにもピアノプロジェクション演出のスタジオライブの様子が収録されていますが、まらしぃさんのライブは演出も凝っていて普通のクラシックライブとはまた違った雰囲気が魅力なわけですが。

ピアノ演奏というと、背筋を伸ばして聴くような敷居の高いイメージがあると思うんですけど、ライブではピアノと連動して映像を流すピアノプロジェクションを用いていたり、様々な演出を考えているので、幕張メッセも楽しみにしていてもらえたら嬉しいです。

ニコニコ動画を知ったキッカケは、音楽ではなく“ゲーム動画”だった

まらしぃ_ピアニスト

――では、ここからはルーツについてお伺いします。

小さい頃からピアノを習っていましたが、強制されるのがイヤで中学2年の終わりから大学1年の夏休みくらいまではピアノから離れていたんです。高校時代は全くピアノに触れず、学校の仲間とゲームに熱中していましたね(笑)。

ゲームでいうと、僕は「ぷよぷよ」がめちゃくちゃ強くて、かなり自信もあったのにインターネットの対戦に参加してみたら全然勝てなくて(苦笑)。すごく悔しくて上手な人のYouTube動画を見て猛勉強するなかで、ニコニコ動画の存在を知りました。

――音楽とは違うところで動画投稿サイトを知ったわけですね。

そうなんです(笑)。動画で勉強したおかげで「ぷよぷよ」は、ネット上でも勝てるようになりました。でも、さらに強くて有名な人がいて、その人と仲良くなりたいという思いから動画投稿につながっていくんです。

――どんなキッカケだったんでしょうか?

その人が『東方Project』というシューティングゲームも好きだと知って、動画を見たら、曲のカッコよさに衝撃を受けました。ピアノで弾くと難しいんですけど、“真剣にやっていた頃だったら弾けてたかな?”という興味が湧いたのと、“この曲をピアノで弾いて動画投稿したら、その人が聞いてくれるかも!”と思ってピアノを再開しました。

――ある種のラブレターのような(笑)。

あははは、とにかくその時は“ゲームが強いその人と友だちになりたい”っていう一心でした(笑)。でも、直接メールで送られても困るだろうから、たくさんの人が自由に見られる投稿という形にしたのが、僕の初めての動画作品です。ちなみに、その投稿のおかげで無事に、その人とは仲良くなれました! 思いが届いたようで嬉しかったです(笑)。

批判的なコメントは挨拶と一緒。動画投稿へのコメントがピアノを弾くモチベーションにつながった

まらしぃ_ピアニスト
――初投稿のために準備したものはありますか?

それが特にはなくて。映像が録れればいいと思っていたので、機材はウチにあった運動会を撮るようなビデオカメラのみです。三脚を立てるという発想もなかったので、当時中学生だった妹にカメラを持ってもらいました(笑)。

1曲の演奏が成功するまでの20分〜30分、妹はずっと立ちっぱなしでビデオを持っていてくれたので、さすがに申し訳なくてジュースをおごったというエピソードもあります(笑)。でも、そこで“手ブレ”を学んだので、次からは三脚を立てるようになりました。

――初投稿ですぐに視聴者数は伸びたんでしょうか?

結構すぐにランキングにも入って、たくさんの方に見ていただけました。「こういう曲も弾いてほしい」というリクエストをいただいたことで色んな曲を知れたし、批判的なコメントに対しても、「自分の演奏を聞いてくれている人がこんなにいる!」って挨拶のように感じて嬉しくて(笑)。そんなコメントたちが続けるモチベーションにもなりました。当時は大学生で時間もあったので、1ヵ月に3本くらい動画をアップしていましたね。

大学とバイトを掛け持ちしながら動画投稿をしてた

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――動画投稿と並行して、大学時代はバイトもされていると伺いました。

バイトは高校の時にレストランで働いたり、大学に入ってからは派遣に登録して名古屋ドームの駐車場で車を誘導するバイトとか、流通センターで果物の段ボールを下したりと、いろいろ経験しましたね。

今、コミックマーケットの即売会でCDを手売りする機会もあるんですけど、レストランで接客業を経験したことで、混雑した時もどうやってお客さんに並んでもらったらいいのかな、など自然と臨機応変に行動できるようになっている気はします。

――なかでも長く続けたバイトはありますか?

最後に働いた中華料理店のバイトは比較的長く続きました。小さなお店だったこともあって厨房はほぼ任されていたので、クリスマスとかは有無をいわさずシフトに名前が入れられていて(笑)。お店が終わったあと店長が「一緒に食べよう!」と買ってきてくれたケーキを2人で食べたのも良い思い出です。色々な国籍の人がいて、みんな助け合いながら働いていてあったかいんですよ。まかないも美味しくて幸せでした(笑)。

バイト、学校との両立のために動画撮影は週末に鬼集中!? まらしぃ式スケジュールとは

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——大学・バイト・動画投稿と多忙だったと思うのですが、当時のスケジュールを教えていただけますか?

普段はよく寝ていました(笑)。大学に行っていたのは最低限だったので、昼の12時くらいに起床して、大学とバイトに行った後、23時くらいに帰宅。その後は日によって、ニコニコ生放送をする日があったり、次に動画投稿するための曲を練習したりで、就寝は夜の3時くらいですね。

ただ、動画撮影をする日は、ミスなく弾けるまでやっていたので、週末に集中して頑張って仕上げることが多かったです。

驚異の集中モードスケジュールがこちら!

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一番時間がかかったものだと、昼の12時くらいに起きて朝方の4時までずっと弾いていたこともあります。編集作業に時間を割くというよりかは演奏にこだわっていたので、とにかくミスなく納得のいく弾き方が出来るまで、ずっとやっていました。

——動画は、何本かまとめて録っていたのでしょうか?

基本は1本ずつです。一番長くかかった時は、色んな楽曲をつなげて30分で1曲になったものを収録していたので、1度でもミスをしたら最初からやり直し。気が付いたら16時間くらい経っていました(笑)。集中すると時間を気にせずやってしまうので、いつも動画を撮るのは学校もバイトもない日を選んでいました。

――途中で休憩を挟んだりは?

1回途切れると集中力が落ちてしまうので、飲み物は必要ですけど、終わるまでは休憩も食事もしません。

そのスタイルは今も変わっていなくて、食事をして満たされてしまう感覚がイヤなんです。レコーディングやライブの日は基本的に起きてから何も食べないようにして、終わった後にご褒美のように“思いっきり美味しいものを食べよう!”と決めています(笑)。

ピアノを弾くのはゲームのレベル上げに近い感覚

まらしぃ_ピアニスト

photo:©Subcul-rise Record

――その集中力やモチベーションはどこからくるのでしょうか?

ゲームをやっている感じというか……。たとえば、少しミスをしたら“あと少しでクリアなのに!”っていう、ゲームのレベル上げに近い感覚。ただ、モチベーションにも波はあるので、気持ちが乗らない時はピアノに触らないようにして、ゲームと同じで、自然とまたやりたくなるのを待ちます(笑)。“やりたい”・“楽しい”という気持ちは今でも一番大事にしていることかもしれないです。

――それでは最後に、これから動画投稿を始めようと思っている方へのアドバイスもいただけますか?

僕が投稿を始めた時は、純粋にピアノ動画を投稿するのが楽しくて“有名になりたい”とか“職業にしよう”という感覚はなかったんです。最初に結果を求めなかったことも続けられた要因だと思うので、まずは始めてみること。そこから“続けたいかどうか”とか“楽しいと感じるか”を考えてみるのもいいんじゃないかなと思います!

◾Profile
まらしぃ
1990年3月10日 愛知県名古屋市生まれ/4才からピアノをはじめ9才で本格的ライブ活動を行う。
2008年にニコニコ動画に初投稿。2010年には初のオリジナルソング「夢、時々…」を投稿して以降は、作詞・作曲も手がける。ネットでの影響力は強くピアニストインフルエンサーとしては唯一無二の存在。2013年TOYOTA アクアでのCM演奏をきっかけに、ノーリツ給湯器、ソフトバンクでんき、富士通エフサス、ファミリーマートなどの数々の企業CMに楽曲提供、ピアノカバーがBGMとし使用されている。昨年はYAMAHAが主催する「Love Piano」のキャンペーンアーティストに起用、そのイメージソングを提供している。

◆まらしぃ OFFCIAL SITE(レーベル公式):http://www.subcul-rise.jp/marasy/
◆まらしぃ Official Twitter:@marasy8

撮影・文:原千夏(ぽっくんワールド企画)

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