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2018年12月11日

マルチクリエーター志倉千代丸さんインタビュー「興味を持つことを癖にすれば、やりたいことは必ず見つかる」【クリエイターの原点 vol.3】

志倉千代丸 しくらちよまる ゲーム シュタインズゲート タウンワーク インタビュー

インターネットをきっかけに、動画や歌の配信、ゲームや楽曲制作などマルチな才能を発揮して今を走り抜けるデジタルクリエイターたち。そんな著名人たちの学生時代・駆け出し時代の貴重な経験や今に活かせていることを中心に『クリエイターの原点』として読者にお届けしていきます。第3回目は志倉千代丸さん!

『STEINS;GATE』『CHAOS;HEAD』などヒットゲームの企画・原作を手がけ、ミュージシャンとしても数々の曲を生み出しているマルチクリエーター志倉千代丸さん。小学6年生の頃からゲームをプログラミングしたり、ギターやドラムに夢中になったりと、好奇心旺盛な子どもだったとか。また学生時代に業種を選ばずにいろいろなバイトを経験したことが学びになったとおっしゃっています。多岐に渡るジャンルで活躍されている“志倉千代丸が出来るまで”をお伺いしました。

 

6年生のときにはもうゲームソフトをプログラミングしていた

志倉千代丸 しくらちよまる ゲーム シュタインズゲート タウンワーク インタビュー──志倉さんは作詞家、作曲家、音楽プロデューサー、SF作家、ゲーム企画・原作など多岐に渡って活躍されていますが、ご自身の肩書きを説明されるときってどうされていますか?

いつもそれを聞かれてすごく困るんですよ。以前アレクサ(Amazon社のAIアシスタント)に「志倉千代丸って誰?」って聞いたら、作詞家、作曲家、経営者、教育者、あともうひとつぐらいあって。教育者が入っていたから、「おお、わかってるじゃん」って思いました(笑)。

──志倉さんが今の仕事を始めるに至るまでの経緯というと?

僕は小学生プログラマーだったので、6年生のときにはもうゲームを作っていたんですよ。初めて作ったゲームはゴルフで、その次がハイパーオリンピックでしたね。

──あのハイパーオリンピックですか!?

おそらく今イメージされているものとはまったく別物ですけどね。たとえば走り幅跳びだったら、(キーボードの)4と6を交互に押すとボールが走るんです。で、線のところでスペースキーを押すと角度があがって、45度ぴったりで止めると最高記録が出るっていう。それを友達みんなで競っていたんですけど、8mとか9mとか現実的な記録に設定していたのに、急に14mとか飛ぶ奴が出てきて、これはゲームとしてダメだって調整したりしていましたね。それが小学生時代で、中学に入ったらプログラマーもやりつつ、バンドを始めたんですよ。パートはドラムだったんですけど、ヘルプを頼まれたらギターも弾いていて。そのときに音楽理論も学んだので、要するにゲーム作りと音楽活動をほぼ同時期に始めました。

 

自分が業界人になってデモテープを聴く側に行けばいいんじゃないか

志倉千代丸 しくらちよまる ゲーム シュタインズゲート タウンワーク インタビュー──すごいですね。プログラミングに、ドラムに、ギター。

でも、楽しんでやっていたので全然苦ではなかったです。やりたいことをやっていただけなので。ただ、プログラマーとしての僕が、バンドに役立ち始めたんですよ。いまでは当たり前になりましたけど、その当時まだあまり浸透していなかった打ち込み(コンピューターを使った音楽制作方法)をバンドに取り入れたんです。ですから、これでデビューできないわけがないと思っていたんですよね。まだデビュー前のバンドでそんなことをしている人たちはいなかったし、いま聴いても、あの当時にしてはクオリティの高い楽曲を作っていたと思います。

ですが、レコード会社にデモテープを送ったのに、全然返事がこなくて。「これはどうなっているんだ」と。一体誰がデモテープを聴いているんだろうと思ったけど、インターネットなんてない時代だからそれも調べられない。じゃあ、自分がデモテープを聴く側に行けばいいんじゃないかと。いわゆる業界人になって、こっそり自分のデモテープを送って、蓋を開けてみたら「お前だったのか……!」みたいな。そういう妄想を抱いたりしてましたね(笑)。ですから、音楽業界に進むか、もしくはゲーム会社に入るかの2択だったんですけど、結局ゲーム会社に入りました。

──ゲーム会社ではどんなことをされていたんですか?

作曲とプログラミングです。その会社には6、7年いて、その後に音楽レーベルに入りました。小さい頃からゲームと音楽をずっと作ってきたので、この2つの経験を活かせる仕事をすることができました。そんなこともあって、いつか独立して自分で会社を作るならば、ゲームと音楽の両方を仕事とする会社にしたいと思っていました。それが現実になって今に至っています。

 

闇雲にいろんなバイトを経験したことでいろいろなことを学べた

志倉千代丸 しくらちよまる ゲーム シュタインズゲート タウンワーク インタビュー──ちなみに学生時代はどんなアルバイトをされていましたか?

僕がやったバイト先が工場系だったので、大体ベルトコンベアがあったんですよ。流れてくる冷凍庫を仕分けしたり、焼かれたアイスクリームのコーンが流れてくるなかで箱詰め作業をしたり。また、ある工場ではベルトコンベアから出来立ての発泡スチロールが上からどーん!って落ちてくる現場があったんですね。その落ちてきた発泡スチロールの余分な出っ張りを削ってキレイにしたら、それを積んでビニール袋に詰めていくんですけど、出来立ての発泡スチロールって、まあまあ重たいんですよね。それを自分の身長を超えるぐらいまで積んでいくんですけど、めちゃめちゃ高く詰める先輩がいて。その仕事っぷりが、かっこよかったですね。

──今の仕事に直結するようなものは選ばなかったんですか?

今であれば効率性を考えてそうしますけど、好きな仕事を選べる時代でもなかったですからね。でも、ここは結構重要で。僕は闇雲に次から次へいろんなバイトを経験したんですけど、そこでいろいろなことを学べたんです。居酒屋でバイトした時も、例えば「これ、おかわり」って、飲み干したグラスを指さされても、“いや、いや、グラス全部同じなのにそう言われてもわかんないよ”とか。トイレに行く途中にすれ違ったお客さんから「俺のテーブルにビール」。“いや、いや、どこのテーブルに座っていたか覚えてると思う?”とか……。この仕事厳しいなって思いながらも、お客さんに言われなくても、状況を察して対応しないといけないということを学べたことは大きかったですね。

 

社会人を作る上での学びはどんなものにもある

志倉千代丸 しくらちよまる ゲーム シュタインズゲート タウンワーク インタビュー――なるほど、そうしていろいろ学ばれたんですね。

今の仕事って、僕がやりたかったことをやらせてもらえているんですよ。この仕事をすごく大切に思っているし、奇跡的にここに辿り着けたことに対して、自分は感謝の気持ちしかなくて。でも、あの当時にそういう厳しさを知っていなかったら、その気持ちも湧かないと思うんです。それは厳しさだけじゃなくて、誰かに助けてもらったこととか、人のために何かをすることとか。社会人を作る上での学びはどんなものにもあるんですよ。それはこの先に何の仕事に就くにあたっても、おそらく何らかの形で繋がっているんですよね。

 

好きなことがあるのであれば、その夢はもう半分叶っている

志倉千代丸 しくらちよまる ゲーム シュタインズゲート タウンワーク インタビュー──最後に、自分のやりたかったことを仕事にされた志倉さんから、好きなことを仕事にしたいと思っている方々へメッセージをお願いします。

好きなことを仕事にしたい……それはね、正直無理です。甘ったれてんじゃねえ。自分で選べるなんて思うな。(笑)

──おお……。

まあ、いまのは半分冗談ですけどね。もし好きなことがあるのであれば、その夢はもう半分叶ってますよ。あとは動くだけ、そこに突き進めばいいだけなので。その点、夢が見つかってない人、やりたいことが何もない状態の人のほうが大変なんですよ。それをなんとかしなきゃいけないと思って、僕はN高校(N高等学校。ネットと通信制高校の制度を活用した新しい高校)を作ったんです。たとえば、様々なカリキュラムをちょっとずつ体験することで、生徒が何かに興味を持てるようにしたりとか。

──まだ夢がないのであれば、まずは何かに興味を持つことが大切だと。

「よく見るのはYouTubeと、あれとこれです」というところからもうちょっと視野を広げて、自分から能動的に情報を探しに行くことが大切ですよね。とにかく世の中のありとあらゆるものに興味を持って欲しいし、興味を持つことを癖にして欲しいなと思います。そうすれば、やりたいことは間違いなく見つかると思いますから。

 

■Profile
志倉千代丸

埼玉県出身。ゲームクリエイター、サウンドプロデューサー、作詞・作曲・編曲家。学校を卒業後、プログラマーを経て、2005年に株式会社5pb.を設立。同社代表取締役社長に就任。2011年にはゲームソフトの制作、アニメーション作品への出資、音楽作品の企画・制作・販売を行う株式会社MAGES.を設立。ゲームクリエイターソフトの企画・制作、音楽コンポーザーとして活躍。アイドル、アニソン、J-POPなど数々の楽曲制作を手がける。また後進指導にも積極的でドワンゴ学園が運営するN高等学校の理事も勤める。

Twitter:@chiyomaru5pb
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Instagram:chiyomaru5pb

編集:ぽっくんワールド企画 撮影:内藤恵美 取材・文:山口哲生

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