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2018年11月27日

アーティスト・そらる インタビュー 『動画投稿という“打ち込めるもの”に出会えたことが今に繋がった』【クリエイターの原点 vol.2】

そらる 銀の祈誓 音楽 歌い手 ゴブリンスレイヤー タウンワーク

インターネットをきっかけに、動画や歌の配信、ゲームや楽曲制作などマルチな才能を発揮して今を走り抜けるデジタルクリエイターたち。そんな著名人たちの学生時代・駆け出し時代の貴重な経験や今に活かせていることを中心に『クリエイターの原点』として読者にお届けしていきます。第2回目はそらるさん!

2018年7月22日にソロ活動10周年。歌、作曲、作詞、エンジニアと多方面で才能を発揮し、自身が所属するAfter the Rainでは、日本武道館やさいたまスーパーアリーナを始め、ソロ活動では横浜アリーナでの公演を成功させるなど、活躍の場を広げるそらるさん

歌が好きで純粋に面白い場所だと思ったという動画投稿との出会いや、バイト代で機材を購入し、大学に行きながら投稿を始めたという当時のエピソードを中心にお話しを伺いしました。11月28日にリリースされる『銀の祈誓』の制作秘話と合わせてお届けします。

 

守りたいものがある強さーーアニメの主人公ともクロスする内面を描いた新曲

そらる 銀の祈誓 音楽 歌い手 ゴブリンスレイヤー タウンワーク
——10th Anniversary Year第1弾シングル「銀の祈誓」は、アニメ『ゴブリンスレイヤー』のエンディングテーマとなっていますが、ご自身で作詞・作曲する初のアニメタイアップということで、どんな想いがあったのでしょうか?

「もともと原作のファンだったので、タイアップのお話をいただいた時は嬉しさと驚きがありましたし、作品のファンの方たちに喜んでもらえるものにしたいという気持ちは強かったですね」

——アニメは既に放送されていますが、楽曲ができた達成感もありそうですね。

「はい。ただ、達成感は歌入れが終わった時が一番大きかったような気がします。今は、『ゴブリンスレイヤー』を観てくださる方からの反応が楽しみな一方で、“慣れないな”とか“気恥ずかしいな”という気持ちもまだありますよ(笑)」

——歌詞には“命枯れるまで足掻き抗う”という強さが感じられますが、それはそらるさん自身の中にもあるものなのでしょうか?

「主人公のゴブリンスレイヤーの内面の強さを描いたんですけど、きっと自分の中にもあるものなんだと思います。たとえば、自分にとって大切な人が傷つけられることは許せなかったりとか、ゆずれない部分に関しては頑固だったりしますね。自分の気持ちが自然とアニメのストーリーに重なりました」

——加えて、「ゆきどけ」や「嘘つき魔女と灰色の虹-acoustic ver.-」も含め、シンガーとしてはもちろん、コンポーザー(作曲家)としての魅力も堪能できる作品だなと感じました。

「動画投稿を主体としてこれまでずっと活動してきて、いろいろな人が生み出した歌を歌ってきたわけですけど、そういう経験があるからこそ、自分がどういう曲を書きたいのかをイメージしやすいんじゃないかな。あと、「銀の祈誓」に関しては、アニメの制作チームからの要望を踏まえて曲を作ったことで、自分ひとりでは思いつかないような切り口でアプローチが出来たと思います。新しい発見も今後の活動に生きていけばいいなと思っています」

 

歌うことが好きだった自分にとって、投稿サイトは純粋に魅力的に感じた

そらる 銀の祈誓 音楽 歌い手 ゴブリンスレイヤー タウンワーク——そらるさんは今年の7月に活動10周年を迎えられますが、まず動画投稿を始めたキッカケから教えてください。

「幼いころから歌うことが好きで、カラオケにもよく行っていたし、高校や大学では弾き語りをしてみたり、バンドサークルに入ってバンドを組んだりもしていたんですけど、大学生の時に、ニコニコ動画の存在を知ったんです。自分で曲を作ったり、それをただ純粋に歌って聴いてもらうっていう世界が、すごく楽しそうに見えたし、そこで聴いた音楽が魅力的に感じて“自分もその世界に足を踏み入れてみよう”と思いましたね」

——ネットに投稿して不特定多数の人に歌を聴いてもらうのは、最初は怖くなかったですか?

「今と当時では文化としての規模が違っていて、今は投稿者が何万人もいて、聴いてくれる人も何十万人、何百万人といますけど、当時はまだまだ狭い世界で、動画を投稿しても数十再生とか、そういうレベルでしたからね。自分たちだけが楽しめるような場所だったし、ただの趣味、遊びでしかなかったから、期待はあったけど怖さはあまりなかったんです」

 

最初に買った機材は1000円程のマイク。楽器屋さんでもなく、近くの電機屋でした

——興味や好奇心のほうが勝っていたと。いざ動画投稿するにあたっては、どんな機材を用意したのでしょうか。

「最初は楽器屋さんでもなく、近くの電機屋に行って1000円くらいのマイクを買いました。ネットで調べて、フリーの録音ソフトは使いましたけど、最初はそのマイクをパソコンにつないで“ただ歌ったもの”を録音しただけっていうレベルでしたけど」

——とはいえ、動画ファイルをアップロードするためには、エンコード(変換)する必要もありますよね。

「それもネットで調べて、自分なりになんとかやっていました。当初は音質も画質も全然よくなかったと思いますけど、最初のうちはそれすらよく分かっていなかったですからね(笑)。べつに完成度が高くないと投稿しちゃダメっていうわけではないし、最初はただ“楽しい”っていう感覚でやっていました」

 

好意的なメッセージは嬉しかったし、次へのモチベーションに繋がった

そらる 銀の祈誓 音楽 歌い手 ゴブリンスレイヤー タウンワーク——そらるさんにとっては、その楽しさが最大のモチベーションだったわけですね。

「そうですね。あとは、少ない再生数ながらもいくつかコメントがついて、好意的なメッセージをもらえば素直に嬉しかったし、“じゃあ次はこうしよう”とか、“こんな歌を歌ってみよう”とか、そういうモチベーションにつながっていた気はします」

——ちなみに、動画投稿するために必要な機材はどうしていたんでしょうか?

「バイトをしたお金で買っていました。デパートの自転車売り場だったんですけど、ほかのバイトに比べて時給が高かかったから、そこでバイトをしながら、スピーカー、ヘッドフォンと揃えていきました。最初はなにも機材がない状態だったし、機材の良し悪しも分からないから、好きな歌い手さんのブログを見て同じ機材をそろえたりしていましたね」

 

学校に通ってバイトをしながら、歌を作る腕を磨いていった

——音響エンジニアでもあるそらるさんですが、エンジニアの勉強もイチからされたのでしょうか?

「今はミックスをしてくれる人が少なくないみたいですけど、当時はいなかったから、自分で勉強してやっていくしかなかったというか。でも、いざやってみたら料理みたいなもので、歌という素材があって、それをよりよく聴いてもらうために自分のさじ加減で仕上げていくところが面白いなと感じたんです。

だから大学時代は、学校に行ったあと18時から23時くらいまでバイトして、そのあと家に帰って、ネットを使って独学で音響とか動画投稿の勉強をしていましたね。その頃、シングリンク(歌い手に限らず曲を作る人、絵を描く人、演奏する人、動画を作る人などが集まり交流するサイト)で、エンジニアを探している人を見つけて、200件くらいは請け負ったんじゃないかな」

——とにかく場数を踏もうと。

「そうですね。まだまだ技術不足でしたけど、いろいろな人の音源をいじって我流で勉強をしました。当時は、大学に行きつつバイトをして、音楽に関する情報を独学で学びながら、投稿もしていた感じでしたね。

そらる 銀の祈誓 音楽 歌い手 ゴブリンスレイヤー タウンワーク

▲学校・バイト・楽曲制作との3足の草鞋をこなすそらるさん。楽曲制作に必要な機材購入のために、バイトも頑張った

その後、大学を途中でやめて上京して、音響の専門学校に通うんですけど、そこは動画投稿や音源制作に直接活かせるミックスやマスタリングの技術的な部分というよりは、音響アシスタントになるために必要なことが中心だったので、ちょっと違うなと。でも、それはそれで今に生きている部分でもあります」

——動画投稿開始から2年ほどでミリオン再生を突破して、その後の活躍は言わずもがなですが、動画投稿をして良かったと思うことはありますか?

「打ち込めるものに出会えたことですね。それが今にも間違いなく繋がっています」

 

動画投稿は自由だから、無理せず自分のペースでやってみたらいい

そらる 銀の祈誓 音楽 歌い手 ゴブリンスレイヤー タウンワーク——打ち込んでいたものが、仕事になるというのは夢がありますよね!

「でも僕が10年続けてこられたのは運が良かったから、という側面もあると思います。上京2年目くらいまでは後悔したこともあったし……(笑)。だって、普通に考えて『俺、音楽で食べていきたい!』って言う人が周りにいたら止めませんか?(苦笑)」

——たしかに現実を見るように言うかもしれませんね(笑)。ただ、純粋に好きだという想いで歌い続けてきたそらるさんだからこそ、夢を追う人に言ってあげられることもあるのではないかと。

「楽しいことばかりじゃないし、うまくいっているように見えても悩むことはたくさんある。それでも“やっぱり好きだ!!”と思える人は、思いきりやったらいいと思います。でも、今は歌い手にせよYouTuberにせよ、無理に仕事にしなくても自分のペースで好きなことが出来るわけで、楽しい趣味としてとどめておくっていう考え方も出来ますからね。もし“自分の歌を聴いてほしい、動画を投稿してみたい”っていう欲求があるなら、その自分の衝動に正直に、怖がらずにどんどんチャレンジしてみたらいいと思います」

■Profile

そらる

2008年に動画投稿サイトでの活動を開始し、今年10周年を迎える。動画の総再生数は2億再生を突破するなど第一線で活躍中。2012年6月に、1stアルバム『そらあい』でのデビュー後、自主製作でのCDの作成も続けるほか、歌い手・まふまふとAfter the Rainとしての活動も行なっている。
2017年8月にはAfter the Rainとして自身初の武道館2daysや、ソロ活動では横浜アリーナを含めたツアー『SORARU LIVE TOUR 2017 ~夢見る セカイの歩き方~』を敢行し全公演ソールドアウトを記録。

◆OFFICIAL SITE:http://soraruru.jp/
◆Official Twitter:https://twitter.com/soraruru
◆YouTube:https://www.youtube.com/user/soraruYT
◆ニコニコ動画:http://www.nicovideo.jp/mylist/7359936

撮影:河井彩美 取材:杉江優花(ぽっくんワールド企画) 企画・編集:森 晶 

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