コミュ力養成講座 第20回「世話焼きパイセン」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
瀬羽 好子(せわ よしこ)
世話焼きパイセン。30代。
第20回:世話焼きパイセン
①求められていないのにアドバイス
②周りへの迷惑を気にしすぎる
③自分が正解だと信じている
④頼らないと怒る
善意がベースになっている分、簡単に拒否もできない
最初は優しくて頼れる先輩と思っていたのに、仲がよくなればなるほど過剰になっていき、いつの間にやら上から目線――言う通りにしないと不機嫌になるなど、その存在をあちこちで煙たがられているのが、今回の世話好きパイセンです。
その行動原理に、「こちらが求めている・いない」は関係ありません。「自分がしてあげたい」がすべてです。だからこそ、「求められていないのにアドバイスしてくる」のです。
どうしてそうなってしまうのでしょう? それは彼ら彼女たちの成功体験によるところが大きいと考えられます。
アドバイスしたことで喜んでもらった原体験が、世話好きパイセンの脳内に「喜んでもらった=褒めてもらった」という記憶として強烈に焼き付いているのです。「褒めてもらったらもっとしたくなる!」のは人の性(さが)。特に普段、褒められるシーンが少ない人ならなおさらです。
とはいえ、アドバイスは相手に求められてこそのもの。求めていないアドバイスをもらったほうは、もちろん参考にしません。結果的に世話好きパイセンにとっても時間のムダなので、お互いマイナスでしかありません。
「周りの迷惑を気にしすぎる」というのも、「人に喜んでもらってナンボ」の彼ら彼女たちならではの特徴です。
喜んでもらうのと対極に位置する「周りに迷惑をかける」という行為は、世話好きパイセンにとって言語道断。少々、いやだいぶ過敏になるまでに、さして時間はかからなかったことでしょう。
注意したことを周りの人へアピールすることで、「あの人はちゃんとした人だ」と思われるという副産物も見逃せません。周りに知らない人がいればいるほど、ジャッジが厳しくなるのは、そのためです。
そして、自らの価値観を疑うことなく、誰かにアドバイスや注意ができるのは「自分が正解だと信じている」ことに起因します。
自分の普通は世間の普通、自分の常識は世界の常識――「私の言う通りにしておけば、間違うことはない!」とすら思っているフシがあります。結果、アドバイスも「〜しなさい」「〜しなきゃダメ」と命令口調になってしまうのです。
そんな彼ら彼女たちですから、「頼らないと怒る」は当然のことでしょう。
「おせっかいはやめてください!」ときっぱり拒絶できればいいのですが、彼ら彼女たちが「善意」の看板を盾にしている以上、それを口にするには相当なメンタルの強さが必要となります。だからといってやんわり断っても、“遠慮”や“強がり”としてしか受け取ってもらえません。
ほとんど八方ふさがりのように見える世話好きパイセンとの付き合いに、果たして光明はあるのでしょうか?
1歩目:気を遣わせる
2歩目:前例を作っておく(初めてのことはやらない)
3歩目:バカなフリをする
4歩目:頼らない理由を褒めながら言う
【解説】
根が善人なので、感情に訴えかけるのが効果的
前述した通り、彼ら彼女たちがおせっかいになるのは、感謝されることで気持ちよくなれるからです。
とはいえ、全方向的に誰にでも世話を焼くというわけではありません。相手のことが好きすぎるか、仲良くなりたいと思っていることが発動条件になります。世話好きパイセンにとって、過剰なお節介はコミュニケーションツールなのです。
お節介をすべて無視、はっきり「うぜーな!」と言えば世話好きパイセンは自然と離れていきますが、さすがにそれは人の道にもとるというもの。アドバイスと真逆の行動を取り続けたり、アドバイス通りにしようとする人の邪魔をしたりも同様です。同じ職場にいる以上、業務に支障が出てしまうのは想像に難くありません。
基本的に善人な彼ら彼女たちですから、その感情に訴えるのが効果的です。さっそく亜里ちゃんの対処法を検証していきましょう。
まずは、「求められていないのにアドバイス」してしまう癖の対処法です。「聞き流す」という選択肢もありますが、たとえ建前であったとしてもアドバイスを受け入れたと認定されてしまうと、その通りにするまでしつこく言い続けてきます。
そこで使えるのが、その件については「触れてはいけない」と思わせること。
持ち物やプライベートなトピックは、「親の形見なので」「親友からの贈り物」など、センシティブな理由を匂わせましょう。察する力は高めなので、二度と触れてこないことでしょう。
「周りへの迷惑を気にしすぎる」は、一見すると悪いことではなさそうに思えてしまいます。けれども実際は、「周り=自分」です。「私はいいけど、周りが迷惑」と言うのは、単純に自分が悪く思われないようにするために過ぎません。彼ら彼女たちは、悪い人ではないけれど残念な人なのです。残念ながら。
なので、世話好きパイセンの言う「周り」が本当に「周り」なのか、はっきりさせてしまいましょう。周りも迷惑しているなら謝罪して改めればOKです。問題視しているのがパイセンだけだったとしても、謝罪して改めるのが上策。はっきりさせるだけで、寛大なマインドになれるものです。試しにやってみてください。
「自分が正解だと思っている」も残念な特徴です。
もしもあなたが世話好きパイセンの「普通」や「常識」に納得できないのなら、真に受けるでもなく、反論するでもなく、ただただ「言ってることがわからない」姿勢を貫きましょう。最初こそ「普通(自分)」や「常識(自分)」をゴリ押ししてきますが、いくら言われても全然ピンとこない感じを出せばOK。「あ、この人には何を言ってもダメだ」と思わせるのです。「普通(自分)」と「常識(自分)」は彼ら最大にして唯一の武器なので、それが通用しない人にはもう何も言ってきません。「変わってる人」と思われこそすれ、嫌われることもないので、無難かつ効果的なテクニックだと言えるでしょう。
最後の「頼らないと怒る」には、頼らなかった理由に褒めワードをちりばめて対処しましょう。世話好きパイセンの最終目標は「褒められること」なので、これはガチガチの鉄板です。
「○△さんは正解しか出さない」「○△さんを頼るのは、僕の中では反則にしている」「○△さんに頼ったら成長できない」など、ストックをいくつも事前に用意しておくとGOODです。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
宝島社 刊
1,296円(税込)