コミュ力養成講座 第23回「話が長い人」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
長花志代(ながばな・しよ)
話が長い先輩。30代。
第23回:話が長い人
①本題が終わってからが長い
②話が脱線しまくる
③相手の都合(状況)を考えない
④1聞いたら10返ってくる
一方通行で会話が成立していない。面白さもまとまりもないので、とにかく疲れる存在
一緒にいてとにかく疲れる人ランキングの常連、「話が長い人」。
本来、おしゃべりは楽しいはずなのに、彼ら彼女たちとのそれは苦痛でしかないから不思議です。その最たる理由は「会話になっていない」からに他なりません。
彼ら彼女たちの話はとにかく一方的です。
たま~に「どう思う?」といった質問を挟んではきますが、答えようとすると早押しクイズ王のごときスピードで、「なるほど! で、私は〜」と、すぐ自分のターンに戻されます。話の完成度が高ければまだ聞いていられますが、ボケも裏切りもオチもなければテンポもないため、まったく楽しくありません。
これが友人や後輩など親しい関係なら「話、長いよ!」とツッコめますが、先輩や上司相手ではそうもいきません。まずは、彼ら彼女たちの特徴を確認していきましょう。
最たる特徴は、【本題が終わってからが長い】です。
もちろん本題も長いのですが、それがようやく終わったと思ってからの雑談が、本題ぐらいボリューミー。推理ドラマですべて解決してからの後日談を何時間も見せられているも同然、「これ何の時間? いる?」状態です。
こちらが席を立たない限り、延々と続くため、切り上げるタイミングをミスったら終わりです。
【話が脱線しまくる】のも、大きな特徴でしょう。
話がいろんな方向に脱線するため、途中で「何の話だったっけ?」と何度も本題迷子になってしまいます。雑談であればまだいいのですが、まとめなければいけない仕事関係の話だったりした場合、あとで苦労するのはこちらです。
3つ目の【相手の都合を考えない】も彼らのあるあるです。
とにかく自分の話したい欲が優先されるため、相手の状況や予定、時間の余裕などは一切、気にかけません。モンスター級になると、「ちょっと今忙しいので」と伝えても、「そうなんですね、すいません! 実は僕もね」と続けてくる場合すらあります。
最後は【1聞いたら10返ってくる】。
これの厄介なのは、話すきっかけをこちらが与えてしまっている、ということ。相手はよかれと思って細かく話してくれている、と思うとなかなか「もういいから」とは言えません。
質問に対する答えが、奇跡的にも最初に出てきた場合は、「そこだけ聞きたかったの! 他のことは別の機会に聞かせて!」と逃げられるかもしれませんが、相手も百戦錬磨。なかなか答えを言ってこない場合もあるでしょう。たった一言を聞き出すために数十分をムダにしてしまうこともあるので、安易に質問するのは避けるのが無難でしょう。
以上を踏まえたうえで、対処法を見ていきましょう。
1歩目:スマホのタイマー機能を活用する
2歩目:脱線には脱線を!
3歩目:別の何かにイライラする
4歩目:アンサーをもらわずクイズを始める
【解説】
自分のほうが脱線する、クイズ形式にするなどで、話を途切らせる
話が長い人たちのなかに、「今日から突然話が長くなった」というタイプはいません。そう考えると、彼ら彼女たちと接する際にどう対処すべきか、あらかじめ準備しておくべきだと言えます。
基本は、時間がないときは近づかない・近寄らせない・視界に入らないなど、話に付き合うきっかけを作らないようにすることですが、もし話す必要がある場合は、すぐにその場から離れられる、もしくは離れてもらう手筈を整えてからにしましょう。
手っ取り早く確実なのは、スマホを利用することです。
彼らの話に付き合いたくない場合は、直前に3分なり5分のアラームをセット。この時の音はできれば普段の着信音と同じにしておきましょう。アラームが鳴ったら電話がかかってきたフリをして、その場から失礼するのです。
電話を受けたフリをしたら、その場で一人芝居をするのはハードルが高いので、「もしもし。ちょっと待ってくださいね!」くらいにして、彼ら彼女たちが見えなくなるところまで離れましょう。離れる際はマストで「すいません、長くなりそうなので失礼します」と、戻ってこないことをしっかり伝えましょう。これを忘れると意外と長めに待っていることがあります。
脱線癖には、こちらも話をさらに脱線させるという対処テクニックがあります。
彼ら彼女たちの脱線は、無意識にやっていることがほとんど。もしくは、「すぐに戻せるだろう」という軽い気持ちで脱線します。その話を、あえてさらに脱線させてみてください。
脱線話をさらに脱線させたら、本題とは1ミリも関係がなくなるため、さすがの彼ら彼女たちも「本題に戻そう」となります。自分の脱線はいいけれど、人の脱線は嫌がりがち、というイヤ~な習性も、この時ばかりは味方になってくれることでしょう。
ポイントは、「“私も”脱線しちゃいますけど」を頭につけること。そうすることで「あんたが最初に脱線したんだぞ」アピールができるため、次回以降の脱線に対する抑止力にもなります。
それでもさらに脱線するようなら、「そもそも私が悪いのか」と思わせられるまで、根気強く脱線させ続けましょう。時間の余裕があるときにオススメです。
作業に集中したい時は、モノに文句をつけると効果的です。
相手の状況を考えない彼ら彼女たちに、「ちゃんと聞いてなさそう」とか「時間がなさそう」といった察する力は皆無。少々の察してくださいアピールでは、ビクともしません。だったら、はっきりとイライラを出して伝えるしかありません。
とはいえ、上司や先輩にイライラをぶつけるわけにもいきません。矛先は、目を通している資料など何か手近なモノがよいでしょう。空気を読めない彼ら彼女たちでも、明らかに怒っている人にはさすがに長話をぶっ込んではきません。自分から立ち去ってくれることでしょう。
そして最後、「1聞いたら10を返す」を封じる秘策は、答えを「クイズにする」です。
そもそも、こちらは聞いた「1」に対する答えがほしいのであって、「2から10」を聞きたいわけではありません。とはいえ、自分から質問しておいて、それに答えてくれる人に対して「聞いたことだけ答えてくれればいいですから。余計なことは結構です」なんて言えるはずもありません。
けれどもクイズにすれば、2から10をすっ飛ばすことができます。例えば「どこか行ったんですか?」というこちらの質問に対して、彼ら彼女たちがどういう経緯で出かけることになったか、から話し始めたとしましょう。聞きたければ聞いてもいいですし、経緯なんてどうでもいい場合は、「あ、当てさせてください!」とクイズに持ち込むのです。
当てられたら、「なぜわかったのか」という、こちら発信の話題で盛り上がれます。そして、これが重要なポイントなのですが、当てられなくてもヒントとして、彼ら彼女たちの話を聞く必要性が生まれます。
彼ら彼女たちも話したいことを話せて、こちらも聞く理由がある――まさかのwin-win成立で、楽しく会話できることでしょう。
ただし、何でもかんでもクイズにすればいいというわけではありません。重めの話題やネガティブな内容の場合はやめておきましょう。人間性を疑われてしまいます。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
宝島社 刊
1,296円(税込)
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