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2024年10月22日

カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」スーパーの品出しバイト編

カレー沢 コラム タウンワークマガジン townwork

私は自分の居住地域を「イオソの属国」と言っているがこれはネガティブな意味ではない。
日本昔話で言えば「いい庄屋」というレアキャラに支配されているようなもので、イオソのおかげで我々の生活は豊かになっている。
この物価高のせいかテレビでは「あの激安スーパーを徹底攻略!」みたいな番組が増えている。

しかし「この人気店の正体とは…!」という引きを2回ぐらい耐えて出てきたスーパーが完全な初対面というのは田舎ではよくある話だ。
テレビ局の方には「ドソキの話さえしとけば全員ついてくる」みたいな解像度で番組を作らないでくれ、とも思うが、万人に通じる話をしようと思ったら芸能人が「空気っていいよね」と言いあう番組しか作れないと思うので致し方ない。

そんな大体の話題に振り落とされる我が村だが、イオソ系スーパーの話だけは辛うじてついていけ「明日行ってみよ」ができるのである、もはや支配者というより救世主と言って良い。ただ、イオソ系スーパーも一枚岩ではないため、たまに全く知らないスーパーが出てきて「誰よその店!」と彼氏が見知らぬ女と歩いているのを見たかのような裏切りを感じることもある。

イオソ系で一番有名なスーパーといえば、何かがマックスしている奴だと思うし、実際北海道から沖縄まで分布している、一応言っておくがマックスしているのはマッドではない。
我が県にももちろんあるが、私が愛用しているのはイオソ系列でも「ザ・巨大」という名前のスーパーである。

私が住んでいるのは、あらゆるデリバリーサービスから無視され、唯一届けてもらえるのが花、という、空腹より心を満たすことを重視した妖精の都だが「巨大が近い」という一点だけで全てを許せる。

巨大はマックス何かより一回り価格が安い印象である、逆にいえばうちから一番近いスーパーがマックス何かだったら、私はもう一段階困窮していたということだ。

マメな人なら多少遠くても、安いスーパーに行くのだろうが、私のようにトイレを「遠方」と呼ぶ人間はつい近くを選んでしまうため、近くに激安スーパーがあるのは幸運としか言いようがない。

そんなわけで、週一ペースで巨大に赴いているのだが、格安店といっても貧乏くささはない。
むしろ我が村のどこよりも店内は明るく、新鮮な生鮮食品が山と積まれ、先週行った時は今が旬なのか、光り輝くシャイソマスカットの群れがお出迎えしてくれた。
もちろんカートはあるがジープが走り回ってはいない。
スーパーなんてどこもそんなものだろう、と思うかもしれないが、実はそうでもない。

昔、かなり山奥の会社に勤めていたのだが、その近辺に明らかにチェーンではないスーパーがあり、一度入ってみたことがある。
まず、店内が暗い、早朝の築地の方がまだ明るい。
電灯を半分ぐらいしかつけてないせいなのだが、節電なのか蛍光灯が切れているのかは不明である。

しかし正直、天井を見上げた瞬間照明のことなどどうでも良くなった。
屋根がないのだ。
さすがに青空が広がっていたわけではないが、一部天井が欠けており、その下にはバケツが置いてあった。
そして棚がスカスカである、買い占めや暴動が起こったというわけではなく、おそらくそれがそのスーパーなりのマックスなのだろう。

例え商品に問題がなくても、薄暗い場所にまばらに陳列された食品は買う気が起きず、何も買わずに店をでた。
商品そのものも大事だが、それを良く見せるための明るさや陳列がいかに大事かを学んだ。

そんなわけで今回は、お客の購買意欲向上の一端を担う「スーパー品出し」のバイトである。

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スーパーの品出しバイトとは、商品の整頓や並べ直しを行い、足りない商品をバックヤードから持ってきて補充する仕事である。
その際、お客から物の場所を尋ねられれば案内し、バックヤードの清掃や整理なども行う。慣れてくれば、商品の発注やシール貼りなど、その他の仕事をすることもあるようだ。

スーパーの商品は半分以上食べ物である、キレイに並んでいるのはもちろんのこと、景気よく並んでないと客はすぐに購買意欲を失ってしまう。
スカスカの棚に「爆売れ後」を感じるお客もいるかもしれないが、私の本が本屋に1冊しかないのを見て「100冊入荷したけど99冊売れたんだな」と思うのは、私と私の親までである。

多くの人間が「売れないから最初から置いてない」と感じるように、スカスカの棚に対しては「このスーパー大丈夫か?」という不安感を感じてしまうものである。

また、お客にとって値札だけ残っていて商品がないというのは、最初から存在しない方がマシなレベルのダルさだったりする。
いちいち店員に聞くのも面倒だし、小売店界の滅びの呪文「そこになければないですね」の発動を危惧して購入を断念するお客もいるかもしれない。

よって、街に灯を絶やさぬように、棚に商品を欠かさぬようにしなければいけないのだが、仕事内容は、商品を決められたとおりに並べ、なければ持ってきてまた並べる、という単純作業なので難しいということはない。

またずっとスーパーの商品と向き合うため、新商品や売れ筋に詳しくなるという。
先日「あのブルボソに新顔がいる」という投稿がバズっていたように、もしSNSをやっているのなら「スーパーの情報通」というのは使えるスキルである。

ただ、単純作業ではあるが、倉庫から物を持ち運びするので、足腰の負担、そして倉庫は温度が低いので「寒い」という意見もある。

あと、私もショッピングモール内の店舗で働いている時バックヤードを通っていたのでわかるが、店内の明るさに対して裏は薄暗かったりもする。

我々は、棚に商品がギッシリ並べられているのを見慣れてしまっているため、あまり意識していないと思うが、知らず知らずのうちにあの状態に「さてどれを買おうか」というワクワク感と購買意欲を刺激されているのだ。
そして商品は勝手に並ぶわけではなく、我々が買う気になる棚を日夜作り続けている人がおり、スーパー品出しバイトもその一つである。

そんな大事なことに気づかせてくれた、あのバックヤードより暗いスーパーには感謝している。

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カレー沢薫
1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビュー。SNSでは“自虐の神”と崇められる人気作家。
X(旧Twitter): @rosia29

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