疲れをとる、コリをとる「マッサージの仕事」、資格なしでもできる?
首や肩などのコリをほぐしたり、癒しを与えるマッサージの仕事は、資格がなくてもできるのでしょうか?この記事では、資格が必要なマッサージ業務と無資格でもできる業務、マッサージ系の国家資格と民間資格などについて解説します。
資格の有無でできる業務と働ける場所が異なる
一般的に「マッサージ」には、身体の痛みや不調の治療を目的とするものと、筋肉のコリをほぐすもの、リラクゼーションや美容を目的としたものなどがありますが、法律上では「マッサージ」は、治療を目的とした医業類似行為となり、施術するには、医師免許か、あん摩マッサージ指圧師という国家資格が必要となります。
一方で、コリを改善させるためのもみほぐし行為や、リラクゼーションや筋肉弛緩を目的とした施術、痩身や美容目的の施術など、治療以外の行為は法律上の「マッサージ」にはあたらないため、資格がなくてもできます。
では具体的に、資格の有無での働ける場所の違いを見ていきましょう。
資格が必要な場所
主に医療機関で、患者の痛みや不調に対する治療を目的としたマッサージ行為を行うには国家資格が必要になります。患者は治療に対して診察費を支払います。保険治療を行うところや、保険外治療を行うところ、さまざまありますが、施設名や診療内容、メニュー名に「マッサージ」と謳うことができます。
・病院やクリニック
・接骨院
・整骨院
・指圧院など治療院
資格がなくても働ける場所
利用者が治療目的ではなく、もみほぐしやリラクゼーション、痩身目的で来るお店での施術は、国家資格がなくても未経験者やアルバイトから働くこともできます。入店後、1~3か月程度の研修を行ってからお客様の施術をすることが多いようです。これらの店舗は施術する時間で料金が決まっており、店名やメニュー名に「マッサージ」と謳うことはできません。
・もみほぐし店
・足つぼ、リフレクソロジーサロン
・ストレッチ、骨盤矯正などのサロン
・エステやボディケアサロン
・アロマ、リフレクソロジー、スパなどのサロン
マッサージの専門資格は「あん摩マッサージ指圧師」のみ
法律で定められた医業類似行為であるマッサージの専門の国家資格は、あん摩マッサージ指圧師のみとなります。資格を取得するには、高校卒業後に厚生労働大臣が定めた養成機関である大学、短大、専門学校などで3年間以上学び、受験資格を得ます。その後、年1回実施の国家試験を受け、合格するとあん摩マッサージ指圧師の資格が得られます。
尚、理学療法士も医師の指示のもとであればマッサージを行うことができますが、単独で行うことができるのは、あん摩マッサージ指圧師のみとなります。ほかにも医業類似行為を行える国家資格には、はり師、きゆう師、柔道整復師がありますが、これらはマッサージを行うことはできません。また、柔道整復師と混同されやすい整体師は国家資格ではありません。
マッサージ系の民間資格の例
国家資格ではありませんが、もみほぐしやリラクゼーション系のお店で働く際に役に立つ民間資格はさまざまなものがあります。数か月間のスクールや通信教育で取得できるものもあるので、お店でアルバイトなど働きながら取得することもできます。将来的にサロンを開業したいと考える人は、民間資格を取得しておくとお店の信頼度にもつながります。
・アロマセラピスト
エッセンシャルオイルを使用したボディマッサージで、心身のバランスを整えます。リラクゼーションサロンやホテル、高齢者や医療患者のケアを目的にしたサロンで勤務します。
・リフレクソロジスト
足裏の反射区というツボを刺激して血行や新陳代謝を活発化させます。日本では英国式と台湾式の2つが普及しています。資格取得時には、身体のしくみの基本知識から施術技術までを身に着けます。
・整体師
手指を使った施術によって、骨のズレや筋肉の疲労、コリを改善させます。資格によっては、リフレクソロジーも同時に学べるものもあります。
・カイロプラクテスト
アメリカ発祥の手技で、背骨の構造や機能異常を正すことで神経や筋肉の働きの不調を改善します。姿勢矯正や栄養・睡眠などの生活指導を行うこともあります。
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