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2015年12月08日

【オモシロ飲食店バイト】新宿「戦国武勇伝」の仕事をリサーチしてみた!

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動物のいるカフェ、ユニークなテーマを掲げるバーや居酒屋……。世の中には振り切った特徴を持つ、個性豊かな飲食店が数多く存在する。そこのスタッフさんは果たしてどんな思いで、いかなる働き方をしているのだろうか。

これは、そんな少し変わったコンセプトを持つ飲食店の、少し変わったお仕事について調査する企画。今回は、新宿の「戦国武勇伝」。戦国の世に生きた武将をコンセプトにした居酒屋である。

最近は武将に萌える女子も増えたとはいえ、戦国といえばやはり男の世界。そこで働くスタッフも、血気盛んな漢たちに違いない。真相を確かめるべく、JR新宿駅から徒歩3分、新宿歌舞伎町にある飲食店ビル4階の「戦国武勇伝」にやってきた。

エレベーターが開くと、いきなり甲冑がドーン!

エレベーターが開くと、いきなり甲冑がドーン!

さらに進むともう3体。これらの甲冑は本物を忠実に再現したレプリカとのこと。背中を向けたら、斬りつけられそうな迫力である

さらに進むともう3体。これらの甲冑は本物を忠実に再現したレプリカとのこと。背中を向けたら、斬りつけられそうな迫力である

 

戦乱の世を個室居酒屋で再現

一般的に、戦国時代とは15世紀末から16世紀末にかけ、日本各地で激しい勢力争いが繰り広げられた戦乱期を指す。このお店はそのなかでも、とくに激しく時代が動いた50年間にスポットを当てているようで、フロアは「本能寺の変」「関ヶ原の戦い」「慶長出羽合戦」「大阪夏の陣」などなど、戦国の“名シーン”ごとにエリア分けされているようだ。

こちらは「本能寺の変」エリア。左奥には、黒い炎に包まれる織田信長が。カウンター席の背もたれには槍が配されており、なんとも闘争本能を刺激されそうな空間だ。信長好きは、ここでお館様を偲んで飲んだりするのだろうか

こちらは「本能寺の変」エリア。左奥には、黒い炎に包まれる織田信長が。カウンター席の背もたれには槍が配されており、なんとも闘争本能を刺激されそうな空間だ。信長好きは、ここでお館様を偲んで飲んだりするのだろうか

想像していた通り、なんとも男っぽいロマンを感じるお店だ。ところが、意外にも来店客の7割は若い女性で、スタッフの男女比も女性が多めなのだとか。というわけで、今回は女性スタッフに話を聞いてみることに。早速、勤務歴3年のアルバイト店員、宮川理恵子さんを直撃してみた。

とってもキュートな宮川さん。心なしか幸村公も上機嫌に見える

とってもキュートな宮川さん。心なしか幸村公も上機嫌に見える

 

大人になってから知った歴史のオモシロさ

――宮川さんは、やっぱり歴史好きでいらっしゃるのでしょうか?

宮川さん:はい!(食い気味で) とくに、戦国時代と幕末が大好きです。もともと、このお店とは全くコンセプトの異なる系列店で働いていたんですが、『戦国武勇伝』がオープンしたときに、『絶対働きたい!』って思って。志願したところ半年くらいで異動させてもらいました。前のお店のフリフリのかわいい制服より、今の『くノ一』をモチーフにした衣装のほうが断然テンションが上がりますね!

――おお、じゃあ歴史にもお詳しいんでしょうね。

宮川さん:それが…じつは学生の頃は歴史が嫌いで、赤点ギリギリだったんです。でも、大人になって戦国や幕末にまつわるゲームをやり始めたらハマってしまって、どんどん興味が沸いてきましたね。「関ヶ原の戦い」って聞いたことあるけど、詳しく知らないなとか、誰と誰がなんで戦っていたのかとか。合戦を掘り下げていくと、そこには魅力的な人物がいて、いつのまにかその魅力にも取りつかれてしまったんです。

愛読書は司馬遼太郎とのこと。渋い

愛読書は司馬遼太郎とのこと。渋い

 

命を懸けて時代を変える! 武将の男気にメロメロ

――戦国武将の一番の魅力ってなんですか?

宮川さん:自分の信念を貫くために、命をかけて戦う。そんな男気溢れる姿がカッコイイですよね! 自分が死んでも主君や時代のためになるなら…とか、あり得なくないですか!? もう、カッコよすぎですよね!?

戦国武将のカッコよさに思わず悶える宮川さん

戦国武将のカッコよさに思わず悶える宮川さん

――ちなみに、イチオシの武将は?

宮川さん:私の推し武将は、石田三成ですね。知性の高さはもちろん、負け戦なのに君主のために頑張ろうとする姿に胸を打たれます。秀吉亡きあとにも意思を継いで関ヶ原の戦いに挑むんですが、そこまでして戦う忠誠心ってすごいし、素敵! 名家の出身というわけでもないのに、出世していくところや生き様もカッコいいですね。

――やはり三成みたいな男性がタイプなんでしょうか?

宮川さん:いやいや、三成公はリスペクトなので、恋愛対象としてみたことはなかったですね。でも、彼は君主に忠誠を尽くす人なので、私には小言とか不満を正直に打ち明けてくれるといいですよね。『秀吉様にはこう言ってるけど、本当は違うと思うんだよね』とか、本心を話してくれるといいなと思います。切れ者だけどワガママみたいな(笑)。私だけにしか見せない弱い一面を見せてくれると嬉しいかもしれません。

恋愛対象ではないと言いつつ、三成とのラブラブなシチュエーションをだいぶ具体的に語ってくれた宮川さん。戦国を語り出すと止まらない彼女にとって、この仕事は天職なのかもしれない。

ちなみに、お客さんの層も宮川さんのような歴女が中心とのこと。ネットコミュニティのオフ会に利用する人も多く、なかには伊達政宗と片倉小十郎の主従関係に萌えて、それぞれをテーマにしたドリンクを並べて撮影するなんていう、マニアをこじらせている人もいるようだ。

リピーターが多いこともあり、スタッフとお客さんの距離も近め。「ここで働いていると、スタッフとお客さんという垣根を超えて、同じ趣味を持つ仲間ができるという感じです」と語る宮川さん。リピーターのお客さんとTwitterのアカウントを交換したり、戦国ゲームのイベントに一緒に参加することもあるそう。

自分らしい働き方を発見

じつは美容師資格を持つ宮川さん。現在も、戦国武勇伝で働きながら、フリーランスの美容師としても仕事をしている。取材当日の出勤前もひとりカットしてきたとか。

――美容師と居酒屋のダブルワークってなかなかハードじゃないですか?

宮川さん:いや、そんなことないですよ! 自分のペースで仕事をしているので、大変さはそこまでないですね。以前は、美容院でスタイリストとして働いていたんですが、激務過ぎて体調を崩したりしていました。当時は、「こんな働き方でいいのかなぁ」って考え込むことがありましたが、戦国武勇伝で働くようになった今では、「仕事って楽しい!」と心から思えるようになりました。ここでリフレッシュできるからこそ、美容師の仕事も頑張ろうって思えるんです。

“いまが一番楽しい”と語る宮川さんからは、溢れんばかりのポジティブエネルギーが感じられた。

最初は恥ずかしかった「出陣の儀式」

では、宮川さんにお店のなかを案内していただきつつ、そのお仕事ぶりを拝見していこう。

お店に入ると軍配(武将が戦場で指揮を執る際に使うもの)が手渡される。「お客様には、殿様の気分を存分に味わっていただきたいです」とのこと

お店に入ると軍配(武将が戦場で指揮を執る際に使うもの)が手渡される。「お客様には、殿様の気分を存分に味わっていただきたいです」とのこと

軍配を手に、いざ、のぼり旗はためく店内へ。案内してくれる宮川さんから「戦の始まりじゃ!」と“出陣の号令”がかかると、他の店員さんは「はっ!」と呼応する。これも、お客さんを戦国時代へ引き込む演出なのだそうだ。でも、正直ちょっと恥ずかしかったりしませんか?

宮川さん:最初は絶対ムリって思いましたけど、今はノリノリですね。むしろ、出陣の掛け声がないとスッキリしません。初めてのお客さんにはぽかーんとされることもありますが、その反応も含めて楽しんでますね。

「いざ参ろうぞ!」と、ずんずん店内を突き進む宮川さん

「いざ参ろうぞ!」と、ずんずん店内を突き進む宮川さん

なお、今日は宮川さんが愛してやまない石田三成の個室を用意していただいた。

それぞれの個室には、武将の名前や家紋、甲冑の絵がほどこされた暖簾が掛けられている。ほかにも伊達政宗や前田慶次、小早川秀秋など20名の武将をモチーフにした個室がある

それぞれの個室には、武将の名前や家紋、甲冑の絵がほどこされた暖簾が掛けられている。ほかにも伊達政宗や前田慶次、小早川秀秋など20名の武将をモチーフにした個室がある

個室の壁には、武将の家紋が大きく描かれている。「石田三成が旗印に用いていた『大一大万大吉』という文字には、『一人が万民のために、万民は一人のために尽くせば、天下の人々は幸福になれる』という意味が込められているんです」と宮川さん。三成エピソードが止まらない

個室の壁には、武将の家紋が大きく描かれている。「石田三成が旗印に用いていた『大一大万大吉』という文字には、『一人が万民のために、万民は一人のために尽くせば、天下の人々は幸福になれる』という意味が込められているんです」と宮川さん。三成エピソードが止まらない

 

「武将総選挙」でメニューを開発

「あ、これもおもしろいですよ」と宮川さんが見せてくれたのがコチラ。なにやらメニュー表のようだが、「武将総選挙」と書かれている。

武将総選挙? なんですかソレは?

武将総選挙? なんですかソレは?

宮川さん:うちでは定期的に、お客様が好きな武将に投票する「武将総選挙」を行っているんです。選挙結果で上位になると、その武将をイメージした新しいメニューが誕生するので、推しの武将を当選させるためにお店に足しげく通ってくださるお客さんもいるんですよ。

ちなみに、不動の人気トップ3は、「伊達正宗」「真田幸村」「石田三成」なのだそう。正宗がまゆゆで、三成がゆきりんみたいな感じだろうか。

第4回の総選挙では、石田三成が2位にランクイン。ネーミングやイメージカラーの決定には宮川さんも携わったそう

第4回の総選挙では、石田三成が2位にランクイン。ネーミングやイメージカラーの決定には宮川さんも携わったそう

――新メニューの開発もできるなんて、楽しそうですね。

宮川さん:私をふくめ歴史好きのアルバイトの子が、協力することが多いですね。自分が開発に携わったドリンクの注文を受けたときは、心の中でガッツポーズしてます。社員さんも積極的に私たちアルバイトの意見を求めてくれますし、自分が一生懸命考えたものをかたちになるのは嬉しいです。普通の居酒屋だと、あまり体験できないことですよね

では、せっかくなので宮川さんが開発に携わった石田三成のカクテルをいただくことにしよう。

三成をモチーフにした新メニューのノンアルコールカクテル。その名も、『石田三成【佐和山の鋭利なる吏遼】 ~天下人を支えた大義を想う 不退転の意思~』。三成のイメージカラーである紫を巨峰とモモのシロップで表現。武将の輝きを表現しているかのような、ライトボールがグラスの中で煌めいている

三成をモチーフにした新メニューのノンアルコールカクテル。その名も、『石田三成【佐和山の鋭利なる吏遼】 ~天下人を支えた大義を想う 不退転の意思~』。三成のイメージカラーである紫を巨峰とモモのシロップで表現。武将の輝きを表現しているかのような、ライトボールがグラスの中で煌めいている

 

武将もやっていた必勝祈願のご作法

――なんだかキラキラしていてキレイですね! それでは、いただきま……

宮川さん:ちょっと待ってくださーい! じつは、ファーストドリンクのときに、戦国風の乾杯音頭というのをご用意しておりまして、ご一緒に乾杯いかがですか?

――お、おお…。じゃあお願いします。

宮川さん:かしこまりました! この乾杯音頭は、仙台伊達家に伝わる盃ごとのご作法「戦勝万歳」に由来しています。大殿の栄光とお家の存続、郷土の繁栄のため、皆で一致団結して戦いに勝つために行われる必勝祈願のご作法になります。伊達政宗も戦の場でやっていたといわれるものなんですよ。それでは、お手にグラスを持っていただいて、私が「戦勝!」というので、「万歳!」とおっしゃってください。

――分かりました。頑張ってみます…。

宮川さん:それではいきます。 戦勝(せんしょーう)!

――万歳(ばんざーい)!

「戦国感を出したいよね」ということで、スタッフで話し合い乾杯の音頭を決めたそう

「戦国感を出したいよね」ということで、スタッフで話し合い乾杯の音頭を決めたそう

…ひとりだとちょっと照れますが、飲み会では盛り上がりそうですね。宮川さん、色々ありがとうございました。

というわけで、今回は噂の戦国居酒屋に潜入してみたわけだが、宮川さんをはじめイキイキとした笑顔で働くスタッフさんの表情が印象的だった。やはり好きなことを仕事にするって、幸せなことなんだなあ。

ちなみに筆者が徳川家康をリスペクトしていることは、宮川さんには黙っておいた。

撮影・取材・文:末吉陽子(やじろべえ)

店名: 乱世の個室 戦国武勇伝
URL:http://www.diamond-dining.jp/shop_info/sengoku-buyuden/
住所:〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-6-2 T-wingビル4F
電話番号:03-3209-2277
営業時間:月~木 17:00~24:00、金・土・祝前日 17:00~翌3:00、日・祝日 17:00~23:30
定休日:年中無休(施設に準ずる・年末年始は別途お問い合わせください)
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