俳優・駒木根葵汰さんインタビュー「自分を好きになるには、やりきったと満足できるぐらい頑張ることが大事」
“恋愛不器用アラサー女子”と“距離感バグ年下男子”が、サイレントカフェ「アサガオ」を舞台に溺愛胸キュンラブコメを展開するドラマ「やぶさかではございません」(テレ東系)で、カフェ店員の上下亮(カミシモ・リョウ)を演じる駒木根葵汰さんにインタビュー。本格的な恋愛ドラマに初めて挑む心境やリアルな恋愛観に迫ったほか、年齢を重ねたことで変化した俳優という職業への思いを聞きました。
一歩間違えば、めっちゃ壁ドンをしていた人間だったかも(笑)
――まずは出演が決まった時の心境から聞かせてください。
王道のラブストーリーを演じるのがほぼ初めてなので、オファーをいただいた時は気恥ずかしさが先にきました。お芝居を始めてから4、5年経ちますが、25歳というこの年齢から恋愛ドラマに踏み入るのは、かなり勇気が必要でしたね。
――主人公のアラサー女子・不思議麻衣を演じる松村沙友理さんとは今回が初共演ですね。
初めの頃は松村さんの目をなかなか見ることができなくて、プロデューサーさんから「本番以外で、(松村さんと)あまり会話してないよね」と言われるくらいよそよそしかったのですが(笑)、人との距離がバグっている役柄を演じていることもあり、1ヶ月ほど経ってやっと自然にコミュニケーションがとれるようになってきました。
――壁ドンなど胸キュンシーンが多く登場しますが、演じてみていかがですか?
やってみると意外とすんなりいけるもので、一歩、道がずれていたら僕はめっちゃ壁ドンをするようなタイプの人間だったのかもしれないと思いました(笑)。松村さんが毎回、すごく素敵なリアクションをしてくださるので、そのリアクション見たさでいろいろと試す楽しさを知りました。
恋愛は、追われた後じゃないと追うことができない草食系
――不思議さんに対して積極的に想いを伝える上下くんを演じながら、どんなことを感じていますか?
上下くんぐらいの年頃(28歳)って、10代後半や20代前半と比べて気軽に恋愛に踏み出すことに難しい世代にさしかかっていると思うんですけど、この世代であっても好きな人に積極的にアプローチするのは決して悪いことではないという、恋や愛の本質を思い出させてくれました。上下くんぐらい素直だとまったく嫌味がないし、気持ちはどんどん伝えていったほうがいいと感じましたね。
――上下くんは愛したい派で、不思議さんは愛されたい派ですが、駒木根さんは?
どちらの感情もありますね。愛したいという感情が強くても、愛が返ってこないとちょっと不安になってしまうので、僕は“愛し、愛されたい派”です。
――では、恋愛は追いたい派ですか? 追われたい派ですか?
僕は相手から追われた後じゃないと追うことができないんです。恋愛もそうですし、別のことでもなかなか主導的になれず、0から1を生み出すのが難しい性格なので、そういった意味では相手が気にかけてくれていることを感じたうえでアプローチし始める草食系です。
ネガティブな感情を経験したことで表現の幅が広がると気づき、意識が変化
――1月に25歳の誕生日を迎えましたが、以前と比べて仕事に向き合う姿勢に変化はありますか?
デビュー当時はまだ学生だったこともあり、なんとなく遊びの延長線上みたいな感覚でしたが、キャリアを重ねるごとに責任を担う立場も増えてきて、僕がしっかりやらないと人に迷惑がかかってしまったり、誰かに悲しい思いをさせてしまったりする可能性があると気づいてからは、きちんと“仕事”として捉えるようになりました。
――タイミング的にはいつ頃ですか?
「機界戦隊ゼンカイジャー」(2021年~2022年)に主演した21歳頃ですね。現場自体はすごく楽しかったのですが、楽しむだけではいい作品をつくれない。お芝居がうまくできなくて悩んで、ネガティブな感情に陥ることもありました。ただ、そんな悩みを持つことで、表現の幅が広がるケースもあると気づいたんです。
――そんな中、壁に対峙したり、挫折を経験したり……ということはありましたか?
ちょっとした壁に対峙しても、そこまで悲観的にならないところが自分の良さだと思っていて、しいてあげるなら、初めて出演した映画で「どうしてこんなお芝居しかできないんだろう」と悔しい思いをした時が挫折に近いものだったのかもしれません。そこから抜け出すためにワークショップに行ったり、いろいろな映画や本に触れたりとインプットすることに集中しました。
――作品を牽引する立場を経験したことで、意識の変化もあったと思います。
物事を自分中心に考えなくなりました。主演というポジションでスーパー戦隊の記念作品を任せていただきましたが、自分の力だけじゃ何もできないと痛感した現場でもあったので、引っ張るというより、周りとコミュニケーションをしっかりとって、お互いの足りない部分を補っていくことが大事だと感じました。
自己肯定感をキープするにはバランスが大事
――壁にぶつかると自己肯定感を保つのは難しいものですが、駒木根さんは安定しているように感じます、実際はいかがですか?
多少の自信はありますが、もちすぎると天狗になってまわりが見えなくなる可能性があるので、バランスが大事だと考えています。ただ、人前に立つときは堂々と胸を張って、自分の言葉で発信することを心がけています。
――自分を好きになるにはどうしたらいいと思いますか?
「やりきった」と満足できるぐらい頑張ることが大事なのではないでしょうか。僕の仕事でいうなら、しっかり役柄に向き合ったとか現場に向き合ったなど、物事の大小に限らず、一つでも達成できたと感じたら、自分をきちんと褒めるようにしています。
――駒木根さんのお話しをうかがっていると、自身を俯瞰でみている印象です。自分を客観視するために意識していることはありますか?
自分の発言に対して相手の顔が少しでも曇ってしまったら、この人には今後こういう言葉を使わないほうがいいなど、普段から人の表情を見て行動しているので、そこが関係しているのではないでしょうか。
どんな役柄を演じようと“自分でい続けること”を大事に
――これまでの活動で、転機になった出来事について聞かせてください。
高校生の頃にスカウトしていただいたことが大きいですね。僕が今、ここにいることの原点ですし、スカウトをきっかけに茨城から上京し、新たな生活と仕事を始めた。出会う人はクリエイティブな方ばかりで、さまざまな信念をもって仕事をなさっているので、そこに感化され、たくさんの刺激を受けました。そして、昨年は海外で仕事をさせていただく機会にも恵まれ、広い世界にふれたことで、もっともっと学びたいという欲が出てきました。
――具体的に学びたいものは何ですか?
語学のほか、日本や世界の歴史、どういうふうに現代がつくられていったのかなどにすごく興味があります。そのほか、テクノロジーの進化や哲学にも。最近は読書をする機会が増えてきたので、そこで得た知識を自分の中でしっかりと解釈して、30歳くらいまでには何か成し遂げたいですね。
――仕事をするうえで大事にしているのはどんなことですか?
自分でい続けることです。俳優は“誰か”を演じることが仕事ですが、その中にも自分というものを表現しないと、存在がなくなってしまうような気がするので、ちょっとしたエゴというか、どこかに自分を存在させていたいと考えているんです。ですから、役柄を構築するうえで、ある程度の提案を自分からもするようにしています。
――夢や目標に向かって奮闘する世代にアドバイスしたいことはありますか?
頑張れる時に頑張ることがすごく大事だと思うんです。人間、「今回は頑張ったからいいや」と怠けちゃう時がどうしてもあるじゃないですか。だけど、(怠けるのは)今じゃないよなっていうのを僕自身、すごく感じていて。頑張ったことは財産としていつまでも残ると思うので、体を壊さないギリギリを攻める。そして、知識も大切な財産の一つなので、学ぶことを諦めない。これは自分にも言い聞かせています。自分の気持ちに素直に生きてください。
■Profile
駒木根葵汰(こまぎね・きいた)
2000年1月30日、茨城県生まれ。SNSの投稿をきっかけにスカウトをうけ、2018年より芸能活動を開始。主な出演作にスーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』(テレビ朝日)、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(テレビ朝日)、『天狗の台所』シリーズ(BS-TBS)、「25時、赤坂で」(テレ東)、「伝説の頭 翔」(テレビ朝日)、「おとなりコンプレックス」(フジテレビ)など。
◆Official Site:https://www.horipro.co.jp/komaginekiita/
◆Official X:@kiita130
◆Official Instagram:@_kiita_0130_
■作品情報
ドラマNEXT「やぶさかではございません」
4月2日(水)深夜24時30分スタート
サイレントカフェ「アサガオ」で働く不思議麻衣(松村沙友理)は、カフェの同僚で人との距離感が近めな年下男子・上下亮(駒木根葵汰)とある日をきっかけに、お互いを“観察”し合う関係となる。一緒に働くうち、亮のことが気になり始める麻衣だったが、初恋にトラウマがあり、恋愛こじらせ中のため、一筋縄ではいかない。一方、亮も麻衣のことが気になり、クールな表情の裏側では麻衣に対する想いがあふれてしまう。はたして、2人はお互いの心の扉を開けることができるのか!?
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/yabusen/
【公式SNS】
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©「やぶさかではございません」製作委員会
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。