大野雄大(Da-iCE)インタビュー『バイト時代、仕事に対して甘えがなかったことが成長につながった』
メジャーデビュー6年目を迎え初のベスト盤をリリースしたダンス&ボーカルグループ・Da-iCE(ダイス)の大野雄大さん。10年以上続けたという塗装業のバイトについてインタビュー! さらに、ベスト盤を通して改めて感じたというボーカリストとしてのターニングポイントについてもじっくり伺いました。
歌は“その人自身”だからこそ、人生のスパイスを入れていきたい
——初のベスト盤『Da-iCE BEST』がリリースされましたね。
6月6日に、デビュー6年目で、シングル16枚の楽曲を収録したものをリリースするという“6”にちなんだベスト盤になりました! もともとDa-iCEは、メンバー5人と、関わってくださる方を含めた6面体=サイコロという意味のグループ名でもあるので感慨深いです。
——グループ名は大野さんの提案なんですよね?
はい。最初に提案した時は、そこまで深く考えていたわけではなかったんですけど、今は“6面”である必要性を強く感じています。それと個人的には、濁点が入ったグループ名に憧れていたから“ダイス”が良くて。もし“タイス”だったら、きっとここまでは続いてなかったでしょうね(笑)。
——グループ名って大事ですね(笑)。では、改めて歴代の曲を並べて聞いてみていかがでしたか?
写真のアルバムと同じように、音楽も思い出が蘇るものだと思うんです。“この時期こんなことあったな”とか、“この時期は音楽面で試行錯誤していたな”とか、色々なことを思い出しました。
それと、ボーカルもその時々の歌い方があると感じましたね。歌のレッスンを始めて間もない時期は、無理して違う自分を演じたり、必要以上に強く太い声を出そうとしていたけれど、徐々に本当の自分の声が分かってきた気がします。
——自分の声を知った特別な出来事はあったのでしょうか?
ベストアルバムの『Another BEST』に、ファン投票と、メンバーセレクトの楽曲が収録されているんですけど、そこで僕が選んだ「着れないままのコート」のレコーディングでの気づきが大きかったです。
この曲のレコーディングをした時は喉の状態が悪くて……。声帯結節が出来て、声は伸びないし裏声も出ない状態だったんです。そんな中でも、なにが出来るかを考えた時に、今まで以上に歌に気持ちを乗せることを意識しました。歌の中に入り込んで歌う大切さを再確認できたのは、ヴォーカリストとしても大きな変化でしたし、そうやって歌ったことで自分の声の特徴がハスキーなんだと認識したんです。
今はハスキーさも武器だと感じているし、もっと磨いて切なさや色気も表現していけたらいいなと思っています。
——お話を聞くと雄大さんの歌へのひたむきさが伝わってきます。
ありがとうございます。歌はその人が感じてきた喜怒哀楽の感情や優しさとか痛み、そのすべてが反映する“その人自身”だと思っているんです。なので、少しずつ、歌に人生のスパイスを入れていけたらいいなと思っていますし、これからも聴いてくださる方に寄り添ったり、大切な思い出の1つになっていくような歌を歌っていけたらいいなと思っています。
塗装業を10年経験——職人の世界は“見て学ぶ”が基本だった
——では、ここからバイト経験についても教えてください。
回転寿司店で1年だけバイトをしたんですけど、平行して始めた塗装業はメジャーデビューした後も少し続けていたので、バイトとはいえ10年働きました。
——最初の寿司店でバイトを始めたキッカケは?
寿司が好きだったから(笑)。あとは、近所だったのと先輩が働いていたのも大きかったですね。握りは出来ないので基本は皿洗いとかレジで、たまに軍艦とか味噌汁も作っていました。
——バイトを始めた当時は、もうDa-iCEを結成していたんでしょうか?
最初の頃は別のアカペラグループを組んでいました。当時は、まだ歌だけでは食べられなかったので、練習時間とかレッスンに通っている日以外は毎日バイトをしていましたね。
——では、寿司店と平行して塗装業を始めることになったのは?
友だちと公園にいる時に職人さんに声をかけられました(笑)。友だちも何人かは塗装業で働いていたから興味はあったのでやってみたんですけど、とにかくハードでした。ただ、そのぶん“働いたー!”っていう充実感はすごくありました(笑)。
バイトで学んだのは自分で何をすべきかを考えることの大切さ
——塗装のお仕事って、どんな作業があるんでしょうか?
最初は何も出来ないので運搬がメイン。たとえば、ペンキが入った10キロ〜25キロある缶を、両手で4つ持って階段を何十往復も駆け上がるとか。そのうち塗装作業もするようになるんですけど、職人の世界は教えてもらうというより、先輩の仕事を“見て学ぶ”というのが基本でした。
だから急に「これやっとけ!」って言われた時に、出来ないって答えると怒られるんです。普段から見て覚えて、初めてだったとしても「出来ます!」って積極的に取り組むことで成長していく感じでしたね。
——仕事の指示を待っていてはダメだと。
そうですね。ぼーっと突っ立ってる時間があるなら、そこで何をすべきかを考えて自分で出来ることを探さないといけない。それは、どんな仕事でも同じだと思うし、本当に社会勉強をさせてもらったと思います。
——反抗心が生まれたりは?
それはなかったですね。今思うと叱られることって必要だと思うんです。たとえば怒られずに優しく「そこで突っ立ってるんじゃないぞぉ」って言われたら、たぶん僕は「はい、じゃあ何すればいいですか?」って聞き返していた気がして(笑)。怒られるのが怖かったとはいえ、そのおかげで自分で考える力が身についたと思うので、愛ある叱りは有難いことだったなと思っています。
——楽しかったことは?
手が器用だったので、窓枠とかを塗らせたら誰にも負けない自信はありました(笑)。足場を組むのも好きだったし、昔から好奇心旺盛だったので何をしていても楽しかったですね。あっ、でも1つ辛かったことを思い出しました! 天井のペーパー掛けは、粉が全部、顔に降ってくるのがイヤでしたね(笑)。
飛び散ったペンキにパニック。失敗もいつかは笑い話に!?
——そんなポジティブな雄大さんですが、失敗もありますか?
いっぱいありますよ。屋根の塗装をした時に、塗る順番をちゃんと考えずに、なぜか円を描くように外から塗っていったら、案の定“やっべぇ出れない”とか(笑)。ペンキが完全に乾くには8時間くらいかかるので、結局は屋根から降りるために、自分でつけた足跡を塗り直したり(苦笑)。
——全体の見通しが大切だと。
そうですね。あとは、ペンキを持ったまま滑って転んじゃって、玄関前に飾ってある大きめの岩がペンキまみれになって……。大切にされている高価なものだから震えましたね。ひたすら謝ったあと、薬剤で汚れを地道に落としました。ほかにも転んだ時にハケが吹っ飛んで隣の家の壁を汚してしまったり……。コントみたいですけど、本当にあるんですよ!(笑)
——笑い話になっていますけど、その時の心情を思うと……。
もう“どうしよう”ってパニックですよ。隣の家にうかがって謝罪して、元どおりに直しつつ、一緒に室外機の掃除をしたりとか。足場を組むような大きな現場じゃなければ、1人で任せてもらっていたので自分で責任をとるしかなかったですね。もちろん、仕事の後には必ず報告はしていました。
歌への思いを後押ししてくれた社長の言葉
——ではバイトを通して、印象に残っていることはありますか?
歌での活動が本格的になり始めた頃、迷惑をかけたくなくて「なかなか現場に出られなくなるので日当を下げてください。それでも働かせてください」って社長にお願いしたんです。そしたら、「日給は下げなくていいから来れる時に来い。そっち(歌を)頑張れよ」って言ってもらえたのは、夢を応援してもらえているようで嬉しかったし今でも心に残っています。
仕事以外でも、たまたま休みの日に社長と焼肉屋で出くわしたんですけど、社長が先に帰る時に僕たちの分の支払いもしてくれていたりと、大人のカッコよさも学ばせてもらいました。
——では、これからバイトを始める方にアドバイスをいただけますか?
職人さんたちのプロ意識の中で働くのは大変でしたけど、仕事に対しての甘えがなかったことが成長につながったと思っています。きっと、どんなことも未来の自分につながると思うので、色々なことに自分から積極的に取り組んでみてください!
大野雄大(おおの ゆうだい)
Da-iCE(ダイス)のボーカル兼パフォーマー。Da-iCEは、2011年1月にアカペラボーカルグループで活動していた雄大、ソロボーカリストとして活動していた想太、ダンサーとして活動していた大輝、徹、颯が出会い活動を開始。2014年1月に「SHOUT IT OUT」にてメジャーデビュー後、2017年1月には悲願の日本武道館公演を成功させた。
その他、大野雄大(from Da-iCE)としてソロ活動も開始。
◆Da-iCE OFFCIAL SITE:http://da-ice.jp/
◆大野雄大 Official Twitter:@Da_iCE_UDAI
*すべての詳細は、Da-iCE OFFCIAL SITEへ。
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:原 千夏
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初のベストアルバムを引っ提げてのライブツアーを展開中のDa-iCE・岩岡徹さん。デビュー以前のバイト歴、そして就職活動を経験したことで得たお仕事観をインタビュー。さらに、Da-iCE としてデビュー6年目に懸ける思いを伺いました。
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