時給の重みを実感するためにバイトの時給を可視化する
時給というものがある。一時間に働いてもらえる金額のことだ。時給には最低賃金というものがあり、1時間働くと最低いくらもらえるか決まっている。東京なら932円、大阪なら883円など地域で多少の誤差がある。
現代において給料は基本的には1ヶ月分が銀行口座に振込まれる。時間単位でお金を稼いでいる実感が湧かないのだ。1時間で自分がどのくらい稼いだかの実感が湧けば、バイトにさらなるヤル気が出るはずだ。そこで時給でやれることを紹介したいと思う。
887円
最低賃金は地域ごとに異なる。東京は932円、大阪は883円、愛知は845円だ。最低賃金なので、バイトする場所でさらに異なるのだけれど、法律の最低賃金はこのような感じだ。この三大都市の平均は「887円」ということになる。

887円です!
ただ887円と言われても実感が湧かない気がする。1時間だけ働くことは稀だし、多くの場合は1カ月まとめて支払われ、さらに振り込まれるので、1時間にもらえる金額に実感が湧かないのだ。1時間働くとこんなことができる、とわかった方が、もっと仕事にヤル気が出るのではないだろうか。

そこで可視化します!
1.どこまで行けるのか?
まずは1時間働くとどこまで行けるのかをやってみようと思う。東京駅から887円あれば、どこまで行けるのだろうか。券売機の上に値段が書いてあるので、どこまで行けるのか簡単にわかるのだ。

この範囲なら大体行ける!
887円ぴったり、というところはなかった。840円の次が、920円になるようだ。今回は840円で行けるところに行こうと思う。840円でも結構遠くまで行けるのだ。ということで、840円の切符を買って電車に乗り込んだ。

840円の切符を買って、

電車に乗り込み、

高い建物から、

窓の外は、工場地帯になり、

やがて静かな風景になった
電車は東京駅からしばらくは人が多かったけれど、やがて少なくなっていき、窓の外の流れる景色も、都会から工場地帯、そして静かな住宅街へと変わっていく。887円とはそのような距離を移動できる金額なのだ。乗車時間も1時間ほどだった。

840円の駅「鎌取駅」に到着しました

ここどこ?
東京駅から840円は千葉県の「鎌取駅」という場所だった。ここはどこ? という感想が自然と出てくる。特に何もないのだ。観光地だったり、駅を降りたらすぐに海だったりはしない。調べるとニュータウンらしく、千葉・東京方面に通勤・通学する人が多いそうだ。

見慣れた景色な気はする

地元の駅って感じですな!
840円でずいぶん遠くに来た気がする。ブリヂストンオープンゴルフトーナメントが行われる袖ヶ浦カンツリークラブの最寄駅だ。ただ887円なので、ここまで来ても「47円」もまだ余っていることになる。

コンビニで、

47円分のお菓子を買いました!
つまり1時間働けば、東京駅から鎌取駅まで行って、蒲焼さん太郎、酢だこさん太郎、チロルチョコを食べることができるのだ。充実した鎌取ライフを送れるのではないだろうか。ただし帰りの電車賃は考慮していないけれど。

かなり遠くまで来た気がする!
2.食べ物はどれくらい買える?
次は887円分の食べ物を買ってみようと思う。わかりやすい可視化になるのではないだろうか。887円ではどんなものを、どれくらい買うことができるのだろうか。

887円分です!!!

すごい量です!
ご存知「うまい棒」を887円分買った。食べきれないほどの量を買うことができた。消費税もかからないので、約89本買うことができるのだ。ポイントは7円という部分。うまい棒は10円なので、ギリギリ買えないのだ。

こういう状態になります!
3.“金”はどれくらい買える?
1本だけはこういう状態だけれど、すごい量だ。1時間働けば、一日で食べるには苦しい量のうまい棒を手に入れることができるのだ。では、「金」ではどうだろうか。金も食べることができる。

この量です!
金は約0.2グラムほどだった。この日(1月22日現在)の金相場は4843円ほどなので、887円で買える金は約0.2グラムということになるのだ。大量のうまい棒を見てからの金0.2グラムはもはや見えないに等しく感じる。

もはや見えないに等しい!
4.服は買える?
次は887円で服を買おうと思う。1時間働くことで買うことができる服が分かるのだ。どんな服が買えるのだろうか。やはりオシャレには気をつけたいので、どんな服かは大切だ。

これです!
この服、残念ながら887円ではない。2500円ほどする服である。つまり3時間弱働かなければ買えないのだ。しかし、887円を可視化したい。ということで、以下のようになった。

887円は、こうなりました!

887円の服です!
2500円から887円分だけを残してカットしてみた。これが887円分の服なのだ。意外にもカッコよく見えるのが分かると思う。カットすることでワイルドさが生まれるのだ。1時間はワイルド、と覚えていただきたい。
5.887円の花束は?

次は花を買います!
最後は花束を買おうと思う。これからのイベントを見ると、バレンタインデーやホワイトデーなど、花を買う機会もあるだろう。1時間の時給887円ではどんな花束を買うことができるのだろうか。

じっくりと花を選んで、

887円の花束を、

作ってもらいました!
花屋さんに「887円で花束を作ってください」とお願いして、887円ピッタリの花束を作ってもらった。意外にも豪華なのが驚くポイントだ。887円でも十分に花束として成立するのだ。

887円の花束と3000円の花束
一般的に花束というと3000円くらいだけれど、887円の花束と比べても別に問題ないのではないだろうか。むしろ887円の方が、泥のついた1万円札のような温かみを感じることすらできる。人は1時間くらい働くのがちょうどいいのもしれない。

1時間だと服は破れてるんだけどね!
時給ってすごい!
ということで、三大都市の最低賃金の平均887円を可視化した。意外にもいろいろなことができるし、いろんなものを買うことができるということもわかったと思う。今後は1時間働けば「鎌取に行ける」みたいなモチベーションを持ってバイトするといいかもしれない。すると、急な残業を頼まれてもヤル気がでるだろう。うまい棒なら1週間ぶんくらい買えるのだ、1時間で。

結構幸せです!
文:地主恵亮
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。