QuizKnock・伊沢拓司 & 水上颯Presents「令和10年の大学生バイト、大予想!」
新バイト1:
『YouTuberのアシスタントバイト』が当たり前に!?
――令和10年には、どんなバイトを大学生がしていると思いますか?
伊沢 YouTuber関連のバイトは確実に増えるでしょうね。実際、僕たちもYouTubeをやるにあたっていろんな大学生に関わってもらってもいるので。
今後は伝えるメディアがどんどん広がっていくでしょうから。
水上 実際、10年前にYouTuberという職業ができるなんて考えもしなかったですからね。
たとえ10年後にYouTubeがなくなったとしても、YouTuberと同様の存在やインフルエンサーという職業は残ると思うんですよ。
伊沢 YouTuberのアシスタント的なことを大学生がバイトでやったりね。僕の知り合いにYouTubeで使うBGMを作ってお金を稼いでいる人がいるんだけど、それをバイトができるようにすればよくない? プロがしっかり作る音楽じゃなくて、ちょっと音楽が得意な学生がBGMで流せるような簡単な曲を作る。
水上 バイトってお金を稼ぐだけでなく、スキルを蓄える役割もあると思うんですよ。だから、
音楽制作や動画編集や自分が得意なことを仕事にするのはすごくいい。ドローンの操縦が得意なら、資格を取ったりしてから操縦スキルを教える講習会を開いて講習代としてお金をもらったり。
伊沢 専門家ほどではないけれど、半技術職のようなバイトは今後、流行るかもね。インスタ映えする写真を撮るバイトとかできそうじゃない? 企業相手に「スタートアップ企業はこんな写真」・「老舗企業ならこんな写真」とか。
水上 美容院のヘアカタログみたいに、自分の得意ジャンルを写真で並べてアピールすれば便利ですよね。
新バイト2:
『シニア向け便利屋バイト』が大活躍!?
伊沢 アメリカに行くとUberが思っていた何倍もメジャーで。
日本もこれからますます公共のサービスを選択できる時代になると思う。利用者とサービスの間を埋める労働投資って必要になるから。
水上 仲間内でパソコンに詳しいヤツとかいるじゃないですか。そういう人が
簡単なパソコンの不調を直してあげるとか。僕の両親はパソコンが得意じゃないから、僕にいろいろ聞いてくるんですよ。でも、電源の入れ方がわからないとか、ネットを繋げるとかつまずいていることって僕でも分かるようなことだったりする。そんな
ちょっとした困り事を自分の得意分野で助けられるバイトって社会的な幸福度が上がる気がするんです。
伊沢 確かに。今後10年を考えると、
シニア層をサポートする目的のバイトは必須だよね。パソコンのセットアップやスマホの扱い方などデジタル面から、引っ越しや買い物の手伝いなどマンパワー系まで。若さと時間のある大学生がシニアさんの簡単な困りごとを解決するバイトは重宝されるはず。
水上 これまで友人や仲間内でしか使っていなかったスキルや労働力を地域の困っているシニア向けに使えば、労働力で人を繋ぐことができるし。いいバイトになると思います。
新バイト3:
『アイデアを出すバイト』が流行る!?
水上 これから必要とされるのって発想力だと思うんです。だから
アイデアを出すバイトは需要度が高くなるはず。ひとつのキラー発想があればそれで戦えたりするじゃないですか。突飛なものでもいいからアイデアが必要なときってあるし。たとえば1アイデアにつき500円とか。
伊沢 椎木里佳さんが女子高生を集めて情報発信をしているじゃない。きっと、女子高生たちにとっては情報を出すという新しいバイトをしているという感覚だろうね。
水上 YouTuberの企画出しとかこれから必要とされていくバイトじゃないですか。
伊沢 今もYouTuberのコンサルタントとかいるぐらいだから、必要性は高い。
水上 アイデアって人数がいたほうがいろいろな発想が生まれるから、雇用も増やせるし。「Yahoo!知恵袋」ならぬ「アイデア袋」みたいなサイトでどんどん投稿できたりするといいですよね。その
アイデアの良し悪しはAI判定に任せるとか。
伊沢 それはいいね。既出のアイデアやイマイチのものをAIが仕分けするっておもしろい!
新バイト4:
『ピンポイント家庭教師バイト』の需要が増える!?
――大学生バイトの定番といえば塾講師や家庭教師ですが、10年後の塾講師、家庭教師のバイトは何か変わると思いますか?
水上 今、Skype英会話が増えていますが、
今後はますます遠隔授業がメインになると思うんです。10年後なら映像がホログラムになっていたりして、移す壁さえあれば何処でも集団で受けられるようになったりとか。
伊沢 自宅にいたまま塾のサービスが受けられるようになるだろうね。僕の知り合いのYouTuberが各学年のカリキュラムを細分化して勉強動画をアップすることで収益を得ているんです。
今後はターゲットを絞ったピンポイントで教える授業が流行ると思う。たとえば東大の過去問をすべて解説しますとか。
水上 それはいいですね。その大学や高校の卒業生ならテスト傾向も把握しているだろうし。
「A高校1年生の英語の中間試験を解説します」とか、より細かいニーズにあわせた勉強動画を配信すれば、動画再生数は限られるかもしれないけれど、
教科や学年を増やして細分化していけば、どんどん全体としての再生数はあがりますよ。
伊沢 自分の志望校についての専門講師なんてなかなかいないから、重宝されるでしょ。組織化するなら英国理数社の教科ごとに講師を集めて、その下に各大学や高校専門の講師がついて動画をあげまくれば企業として成立するだろうし。
水上 そうすると雇用も広がりますよね。家庭教師や塾講師って生徒との相性も大切だから、生徒側がたくさんいる講師の中から、自分と相性のいい講師を選べるのはメリット。
バイトする学生側も中学、高校、大学と自分が歩んできた道を利用して稼ぐことができるっていいことだと思うし。
伊沢 大学生らしいバイトだよね。
背伸びせずに自分の強みを生かせる専門性のあるバイトは働く側にとってすごくいい仕事だよ。
新バイト5:
遠隔ショッピングモール、遠隔コンビニなどの『後片付け/商品補充バイト』が登場!?
――今、遠隔授業の話が出ましたが、今後、遠隔関連のバイトは増えると思いますか?
水上 遠隔医療はすでに進んでいますからね。手術支援ロボットのダヴィンチとか。
伊沢 ドラマのブラックペアンのやつだ(笑)。さすがに医療分野はバイトが介入するのは難しいけど、スマホ操作で遠隔でできるクレーンゲームあるじゃん。あれとかバイトができるよね。物を補充したり、整理したりする「中の人」は絶対に必要だから。
今後、遠隔ショッピングモールや遠隔コンビニとか遠隔◯◯が増えたら、その始末をする遠隔始末バイトは需要大でしょ。
水上 これも大学生のバイトとしてはぴったり! 専門性がない分、誰でもチャレンジしやすいし、大量雇用できるから採用されやすいだろうし。
伊沢 専門性が必要なバイトと誰でもできるバイトの2つは必ず必要だからね。
総論:
10年後は自分の強みやスキルを共有するバイトが増える
――これまでのまとめとして10年後のバイト環境はどうなっていくか2人の考えを教えてください!
伊沢 水上も言っていましたけど、
バイトはただお金を稼ぐだけじゃなくて、より自分の得意分野や個性を生かして働くことが多くなると思います。
水上 これまでの企業やオーナーがバイトを雇うという雇用形態も変わってくる可能性が高いですよね。発信ツールが増えた今、自分の強みでお金を稼ぎやすくなったので、雇用形態に捉われずに働けるでしょうし。
伊沢 いままでの労働力を企業や雇用主に貸す形が、自分の強みやスキルをプラットフォームに落とす形になる気がする。YouTubeのように多くの人が手軽に見られる共通の空間に落とすことで、必要な人とそのスキルを共有するような。マンパワーからアドバイザリーにシフトして、体力だけでなく知力も共有するようなバイトが増えると思いますね。
水上 きっとそれぞれの得意ジャンルを生かした業態がたくさん生まれるでしょう。でも、僕の理想は誰もが働かない世界。面倒な仕事はAIに任せて、我々は幸せな生き方をしたほうがいいですよ!
■Profile
伊沢 拓司(いざわ たくし) @tax_i_
1994年生まれ、東京大学経済学部卒。高校時代に『全国高等学校クイズ選手権』を個人として初の連覇。クイズ番組『東大王』でも優勝を果たす。2016年に知識集団「QuizKnock」を創設しWEBメディアを運営、現在は株式会社QuizKnockCEO。書籍執筆やYouTuberなどの活動も行っている。
水上颯(みずかみ そう) @sou_mizukami
1995年生まれ、私立開成高等学校卒業、東京大学医学部に在籍。高校時代には第32回全国高等学校クイズ選手権に出場し優勝。公益財団法人孫正義育英財団の財団生(平成29年度以降)にも選ばれており、その「異能」は孫正義も認める逸材。現在はTBS「東大王」にて東大王チームとしてレギュラー出演中。
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取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造 イラスト:さじろう