Quizknock・伊沢拓司 & 鶴崎修功 presents 「もし学園祭をプロデュースするなら――模擬店・理想のラインナップ」

流行りのタピオカは差別化よりも「ドミナント戦略」で儲けを出す！

――ちょうど学園祭シーズンなので、今回は学園祭で「こんな模擬店やサービス、イベントがあれば楽しい！」というものを考えていただきたいです。

伊沢　やっぱり今年はタピオカですよね。東大だと模擬店で包丁を使うのがNGだったので、タピオカみたいな包丁いらず、ほぼ調理いらずみたいなフードっていいんですよ。原価率もそこまで高くないから儲かるだろうし。

鶴崎　確かにタピオカは儲かりますよね。ただ、今年はかなり競合店が増えそうですけど…。

伊沢　でも、タピオカって何でも使えそうじゃない？　ドリンクの中身を変えてもいいし、焼いてもいいし。「焼きタピオカ」とかあったら目新しくて人が集まりそう。周りと差別化すればアイデア次第で客は呼べる。

鶴崎　焼きタピオカは斬新ですね。確かにタピオカは差別化しやすいのかも。

伊沢　反対に協力するのもアリだけどね。

――協力ですか？

伊沢　模擬店ってどうしても単独運営になりがちでシナジーが生まれにくいじゃないですか。それで結局、みんなあまり儲からずに終わっちゃう。経済効率を考えるなら、模擬店同士、手を組んだほうが儲かると思うんです。だからタピオカをドミナント出店するとか。

鶴崎　ドミナント戦略ですか（笑）。

伊沢　3、4クラスで組んで同じタピオカドリンクを販売して儲けを共有する。模擬店って出店場所が重要だから、3～4店舗あればどこかはいい場所に出店できるだろうし。それに複数店あることで、最初はスルーしたお客さんも「この店、さっきも見た」「また、あるこの店」と気になり始めて最終的に「ちょっと買ってみようかな」になる。

鶴崎　店側に「系列店なんです」とか言われたら笑っちゃいますよ。でも、系列店と言われると、ちゃんとしたものを出しているのかなと思うかも。

伊沢　そこもポイントだよね。何店舗もあったら信用度もあがるでしょ。今のタピオカ戦国時代を生き残るならドミナントタピオカだね。

「何それ？」と思わせる「炙り屋」で注目を浴びる！

鶴崎　タピオカもいいんですけど、スイーツだったら、僕、パフェが食べたいんですよ。

伊沢　パフェ！？　クレープとかではなく。

鶴崎　クレープってもう飽和状態じゃないですか。そこでひと手間かけた一段上のスイーツとしてパフェを提供する。手間をかける分、少し値段を高くして差別化すればいいかなと。

伊沢　どこで食べるの？

鶴崎　手持ちで食べられるパフェにするんですよ。パフェって大きめの器で食べるイメージですけど、そこは学園祭風に手持ちパフェとして販売する。

伊沢　確かに手持ちパフェってあまり聞いたことがない。差別化するなら、やっぱり聞いたことのないような斬新なメニューのほうがお客さんは食いつくよね。この間、たまたまクリームブリュレを炙ってクレープにしたスイーツを食べたんだけど、すごく美味しかった。だから「炙りパフェ」にするとか。

鶴崎　炙りパフェ…。確かに炙るのは簡単にできますからね。

伊沢　あと、炙ったら、ちょっと値段上げられるじゃん（笑）。

鶴崎　炙り料として（笑）。

伊沢　「炙り〇〇」で稼げそうじゃない？　食品用のガスバーナーがあればできるでしょ。

鶴崎　いっそのこと「炙り屋」として出店すればいいんじゃないですか。他で買ってきたフードを炙ります、みたいな。完全なる炙り専門店。

伊沢　いいね！「100円で炙ります」なんて店を出したら元手はバーナーだけだし、結構、儲かるんじゃない？　「お客さん、どれぐらい炙ります？ストップ言ってくださいね」とか（笑）。

周辺の模擬店と手を組んで賃料で儲ける「こたつ専門店」

――100円だったら、ちょっと炙ってみたくなりますね（笑）。具体的に「この飲食店があったらいい」というお店はありますか？

鶴崎　吉野家。吉牛が学園祭に来たら、全店負けちゃうなぁ。

伊沢　全店負けって、そんなに（笑）。でも、意外性で人気になるかも。

鶴崎　吉野家、絶対にいけますよ！（力説）。素人っぽい店構えの模擬店の中で吉野家の看板があったら「えっ？吉野家出てるの！？」みたいになりますから。

伊沢　確かに（笑）。牛皿限定とかでもいいかもね。

鶴崎　アリです、牛皿。

伊沢　学園祭の季節って結構、寒いから温かいフードや汁物って人気出るし。

鶴崎　駒場祭（東大の学園祭）も10月や11月ですからね。結構、寒いんですよ。

伊沢　東大にさ、みかん愛好会ってサークルがあるじゃん。あそこが学園祭でこたつ出しているよね。

鶴崎　「こたつでみかん」みたいな出し物ですよね。

伊沢　そうそう。あれをこたつ専門にして出店するとか。周辺の模擬店と提携して、提携店でフードを買うとこたつに入れるって仕組みにして。学園祭って食べる場所が限られているし、フラフラ歩いて疲れるから足を伸ばして休みたくなると思うんだよね。屋外で冷えた体をこたつで温まりながらフードも食べられるなんて最高じゃない？

鶴崎　こたつ専門店は提携店から賃料をもらうシステムですか？

伊沢　そう！　お客さんを呼ぶのに苦労する室内の模擬店とかは気合いを入れないとダメだろうから、こたつを武器にするのは相互メリットがあると思うんだよね。1店舗につき2～3万円を賃料として、提携店を20～30店舗集めたら相当儲かるはず。こたつの上にイベントやサークルのチケットとかチラシを置けば、広告費としてとれるし。

鶴崎　伊沢さん、儲けることに関しては熱いですよね（笑）。ただ、こたつって結構、材料費かかりません？

伊沢　そうなんだよなー。こうなったら、こたつを持ってる学生から借りるしかないな。

鶴崎　ひとり暮らしのこたつって衛生面に不安が残りますけどね。

――模擬店以外だと、こんなサービスやイベントがあれば盛り上がる！ってものはありますか？

伊沢　人の出入りがよくて、フードもドリンクもはけて屋内でもできるとなるとやっぱりクラブかな。

鶴崎　クラブって結構ありません？

伊沢　うん、ある。でも、誰でもDJができる体験型とかにすればやりたい人は結構いるんじゃないかな。ワンドリンク制にすれば入場料を取ってもいいし。DJブースがあればできるから元手もそこまでいらないし、すごい儲かると思う…って、オレ、儲かることしか考えてないな（笑）。

鶴崎　やっと気が付きました？　選ぶ基準が「学園祭にこれがあれば楽しい」とか「あれば盛り上がる」じゃなくて「これは儲かる」になってますよ（笑）。

ステージの隙間時間を有効活用「インスタ映えする撮影会」

――伊沢さんらしくていいですけどね（笑）。ちなみにステージはどうですか？　こんなステージがあれば儲かるじゃなくて、盛り上がる、の方で（笑）。

伊沢　盛り上がるでいうとYouTuberの握手会やっちゃうとかね。

鶴崎　ステージ系だと有名人を呼ぶのは当たり前になってますから。

伊沢　そうなんだよね。誰かを呼ぶって、もうやりきっている感じがあるもんなぁ。俺、前から思っていたんだけど、ステージイベントって隙間時間が多いじゃん。その隙間時間を有効活用できるイベントがあればいいと思うんだよね。例えば、バンドのセッティング時間を活用して、ステージの照明と楽器を貸して「インスタ映えロック写真撮影会」を開催するとか。バンドをやっていなくても、ロッカーっぽい写真を撮ってもらえる。

鶴崎　照明や機材付きでステージに立てるってなかなかないですからね。学園祭のステージって結構大きいから確かに映える。

伊沢　あと、モッシュダイブ体験会とか。ライブハウスでモッシュする勇気はないけど、体験会なら「ちゃんと受け止めるんで飛んでください！」とステージの下で数人のスタッフが受け止めてくれれば安心してできる。

――それいいなー。お金払います！

伊沢　でしょ！　普段できないことを手軽にできるって楽しいし盛り上がると思うんですよ。それを最新のiPhoneで映えるように撮ります！みたいな係がいれば尚、よくない？

鶴崎　最新のiPhoneで映える写真を撮る係はいいですね。

伊沢　みんな学園祭に行ったら映える写真を撮りたいじゃん。でも、人が多いし混んでいるし、フードも買っちゃって写真を撮る余裕がない！なんて人にぴったりでしょ。これは、絶対に儲かる！

鶴崎　やっぱり儲かるに戻っちゃいましたね、伊沢さん…。

 
■Profile

取材・文：中屋麻依子　撮影：八木虎造　イラスト：さじろう