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2025年09月18日

「ずつ」と「づつ」どっちが正解? 迷いやすい「ずつ」「づつ」の例や使い分けなどを解説

「ずつ」と「づつ」、日常的によく使われる表現ですが、「少しずつ」と「少しづつ」など、メールや文書を書く際にどちらを使うべきか迷ったことはありませんか? ここでは「ずつ」と「づつ」、どちらを使えば良いか、その根拠や使い方などを解説します。

「ずつ」と「づつ」正しいのはどっち?

「ずつ」と「づづ」は意味合いとしては同じですが、どのような場面でどちらを使うのが正しいかなどを解説します。

公的な文書では「ずつ」がふさわしい

「現代仮名遣い」では「ずつ」を使うのが原則として正しいとされています。その根拠は、昭和61年(1986年)に発せられた内閣訓令「「現代仮名遣い」の実施によるものです。公的文書はもちろん、一般社会のなかで現代国語を書き表すためのルールを定めたものであり、公営放送であるNHKや新聞でも「ずつ」が使われています。

>「現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)」(文化庁)

「づつ」も間違いではない

原則として「ずつ」が正しいのは上述のとおりですが、「づつ」も間違いではありません。現代仮名遣いが定められる以前、いわゆる「歴史的仮名遣い」が使われてきた当時は「少しづつ」「ひとりづつ」という表記が一般的なものでした。原則として「現代仮名遣い」が正しいとされていますが、内閣訓令では「歴史的仮名遣い」が間違いとまでは言い切っていません。ビジネスで用いる資料など、公的な書類は、現代仮名遣いに則り「ずつ」を使うのが 最適ですが、個人的なブログや詩などで、あえて「歴史的仮名遣い」を使用しても間違いではないでしょう。

 

「ずつ」「づつ」の意味

「ずつ(づつ)」という言葉には、「ある分量を同じだけ割り当てる」「一定の量を繰り返す」という二つの意味があります。「ずつ」の品詞は副助詞で、数量や割合を表す言葉と組み合わせて使われます。

1.ある分量を同じだけ割り当てる
例1:ひとり2個ずつ受け取ってください。
例2:5人ずつひと組になってチームを作ります。
2.一定の量を繰り返す
例1:少しずつ、ゆっくりと列が進んでいった。
例2:わずかずつではあるが、上手に体を動かすことができるようになった。

 

迷いがちな「ずつ」「づつ」の例

「ずつ(づつ)」を単独で使用することは少なく、何らかの組み合わせで使うことがほとんどでしょう。「ずつ」か「づつ」か、迷いがちな例として以下の言葉があげられます。

「少しずつ」と「少しづつ」
「ひとつずつ」と「ひとつづつ」

これまで説明してきたように、現代仮名遣いとしては「ずつ」を使います。

<少しずつの例文>
・少しずつ次の打ち合わせの準備を進めています
・少しずつ新しい環境にも慣れてきました

<ひとつずつの例文>
・ひとつずつサンプルをお配りします
・ひとつずつ質問にお答えします

ただし「少しづつ」「ひとつづつ」を使っても、必ずしも間違いとは言えません。
例えば、小説では発表当時の表現を残すため、歴史的仮名遣いをそのまま使うことがあります。

林芙美子(1903年生~1951年没)作「なぐさめ」より
「少しづつ時がたち、少しづつ夜が白みかけてきたが都會はまだ動かない。」
坂口安吾(1906年-1955年没)「小さな部屋」より
「男は一人づつ怒つたやうな顔付をした。」

文学的表現として「少しづつ」「ひとつづつ」を使用することは間違いではありません。

出典:
「林芙美子全集 第五巻」文泉堂出版 1977(昭和52)年4月20日発行
「坂口安吾全集 01」筑摩書房 1999(平成11)年5月20日初版第1刷発行

 

「ず」「づ」の基本の使い分け

「少しずつ」「ひとつずつ」に限らず、「ず」と「づ」の表記に迷った際、どのように使い分けをすべきか基本のルールがあります。

基本は「ず」を使う

「ず」と「づ」の使い方に迷ったら、現代仮名遣いの原則に基づき「ず」を使えば概ね問題ないでしょう。「つまずく」「うなずく」などは「ず」か「づ」か迷いやすい表現の例ですが、「ず」が推奨されます。「静か」は「しずか」というふり仮名になります。「

「ず」を使うか「づ」を使うか迷いがちな例として以下のような言葉があります。

例文:
「黒ずくめの男」
「段差につまずいてしまった」
「しっかりとうなずいた」
「猛犬を手なずけることができた」

同じ音が続く場合は「づ」

例外的に「づ」を使うと決められている現代仮名遣いもあります。「同じ音が続くことでふたつ目の音が濁る場合は『づ』を使う」のがひとつ目の例外ルールです。
「つ」が重なることで音が濁る言葉は二音目を「づ」と表記します。

例文:
「続き(つづき)はまた来週」
「つづら折りの山道を歩いて登る」
「思いを手紙に綴る(つづる)」

二語の単語の組みあわせで生じた濁りは「づ」

二つ目の例外ルールは二語を組み合わせることで濁音になる場合は『づ』を使う」というものです。

例えば、「箱詰め」は「箱」に「詰める」、という二語を組み合わせた表現になります。このような場合は、「はこずめ」ではなく「はこづめ」という振り仮名になります。

例文:
「箱詰め(はこづめ)された果物」
「朝から晩まで働きづめで疲れた」
「小包(こづつみ)が届いています」
「これまでの説を裏付ける(うらづける)証拠」
「手作り(てづくり)の品をありがとうございます」

なお、元々の漢字の音読みが濁音の場合は、ふたつの言葉を組み合わせても「づ」ではなく元の通り「ず」を使います。図面(ずめん)、地図(ちず)、頭痛(ずつう)などがあります。

複数の単語の組み合わせでも「ず」を使う例:
図面(ずめん)
地図(ちず)
頭痛(ずつう)

 

「ずつ」「づつ」の類語・言い換え

「ずつ」に近しい表現や言い換え例を覚えておくと、メール文書や書類が単調にならず、便利なこともあります。多少のニュアンスの違いはあるので確認しておきましょう。

各々(おのおの)

「各々(おのおの)」は集団・複数の中で個々のモノや人を表す際に使われます。ビジネスメールや会議での発言など、かしこまった場面で「各々」を使うと、より洗練された印象になります。また「各自(かくじ)」も各々と同じ意味合いです。主に人に対して使われます。

例文:
「各々の立場から意見を述べてください」
「各々のタスクについて、進捗を報告してください」

それぞれ

一定の量や数を各人に分配することを意味する「ずつ」に対して、「それぞれ」は個別を意味し、複数ある物や人について、ひとつひとつ、ひとりひとりを表す言葉です。「めいめい」と表現すると、主に人に対して使われる表現になります。

例文:
「それぞれ夕食に必要な品を持ち寄って下さい」
「そちらの商品をそれぞれ2種類ずつお持ち帰りください」

個々

「個々」は「各々」「それぞれ」と比較すると複数のなかでひとつの「個」により焦点を当てる表現です。たくさんあるものの中から一つずつを切り出して強調するようなときに使われます。

例文:
「個々の事案については後ほどご説明をいたします」
「個々のご意見の中には、緊急の対応が必要なものがありました」
🔳執筆・監修:沼田絵美
国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・ディベロップメント・アドバイザー/フリーライター。就職氷河期の就活を経て、人材広告会社で営業として採用支援を10年経験。退職後は大学キャリアセンターの相談員やキャリア関連講師、企業の採用支援や採用広報の取材・ライティングなど「就職・採用」に関する仕事に取り組む。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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