男装カフェでバイトしたい! 仕事内容、やりがい、大変なことなどを聞いてみた
コンセプトカフェの中でも、今、注目されている男装カフェ。働いているスタッフにバイトを始めたきっかけから、仕事内容ややりたい、大変なことなどリアルな事情を聞いてみました。
・お話を伺った方/仕事歴
千歳(ちとせ)さん/5年
紫雲(しおん)さん/4年7カ月
京(きょう)さん/2年
楽生(らいき)さん/2カ月
お客様に楽しんでもらえる接客が大事な仕事
――初めて男装カフェに来ましたが、スタッフのみなさんが優しそうな雰囲気で安心しました。
千歳さん「男装カフェはお店ごとにコンセプトがあるところが多いのですが、うちの場合は魔界×ヴィジュアル系×中二病というコンセプトなので、ちょっと怖そうなキャストがいそうですよね」
――正直、そう思っていましたけど、みなさん笑顔が素敵で落ち着きます。仕事内容としては、通常のカフェと同じなのでしょうか?
紫雲さん「通常のカフェよりも接客が中心です。お客様が来店されたら、システムやコンセプト説明から始まり、ドリンクやフードのオーダーと提供、あとはお客様が楽しく過ごせるように会話をするのがメインです。会話をしている中で、フードやドリンクのおかわりをすすめたりもします」
京さん「お客様もイデア(スタッフ)と話すのを目的でいらっしゃっている方が多いので、トークで楽しんでいただけるような接客が重要です」
――そうなると、男装カフェで働くにはトークスキルが高くないと難しいのでしょうか。
千歳さん「トークスキルよりも、コミュニケーション能力が大事ですね。例えば、お客様の目を見て話せたり、自分から話しかけたり、思いやりをもって接することができる、などです。お客様が退屈そうにしていないか広い視野で見ながら、もしそうなっていればさりげなく話かける気遣いができるほうが、トークが上手とか笑わせることができるなどよりも大切です」
「自分の好きなスタイルで働ける」ことが男装カフェバイトのメリット
――お客様の男女比や年齢層は?
紫雲さん「開店当初は女性が9割でしたが、現在は女性6割、男性4割ぐらいです。年齢層は幅広く、中高生から還暦を迎えた方まで、まさに老若男女。赤ちゃんを連れたお母さんがいらっしゃることもありますよ。でも、ボリュームゾーンとしては20~30代でしょうか」
――すごく幅広いんですね! ちなみに、みなさんがここで働き始めたきっかけがすごく気になります! もともと男装が好きでここで働くようになったんですか?
楽生さん「俺は男装よりもヴィジュアル系が好きだったのがきっかけです。学生時代にTwitterでこのお店からフォローされて知ったのですが、お店に来る機会がなかなかなくて。一旦、ヴィジュアル系関係から離れた時期があったんですけど、事故にあって生死をさまよったことがきっかけで、自分が生きたいように生きよう!と決意しました。それで、ずっと気になっていたヴィジュアル系の男装カフェで働きたいと思ったんです」
紫雲さん「俺も男装よりもヴィジュアル系が好きで、ここでバイトをしたいと思いました。ヴィジュアル系が好きで、接客業が好きだったので、このお店がぴったりだなと」
京さん「反対に俺は男装がしたくてこのお店に来ました。実は以前はメイドカフェでメイドをしていたんです。もともとコンセプトカフェが好きで、このお店もお客として通ううちに男装をしてみたいなと思うようになって。コンセプトカフェというとメイドカフェしか知らなくてバイトをしていたんですが、自分の性格的に女の子っぽい格好よりも、男装のほうがしていて楽しいと感じるようになって働き始めました」
千歳さん「ここでバイトをしたいという人は、男装が大好きというより、好きな格好で働きたいという人が多いかもしれません。うちのお店ではファッションやメイク、話し方など“男装”の規定はありません。それぞれが自分の個性を生かしたスタイルで働いてもらっています。ここに来て初めて男装する人もいますし。京ちゃんなんてそうだよね」
京さん「メイドから男装ですから(笑)。だから最初は試行錯誤しました。ヴィジュアル系に寄せてメイクを強めにしたらあまり似合わず、千歳さんに相談しながら今のスタイルを作っていきました。自分のキャラに合わせてナチュラルなメイクにしたらしっくりきたんです」
千歳さん「あくまでコンセプトカフェではあるので、自己プロデュース力はある程度必要だと思います。ただ、最初から“こんなキャラでいきます”とガチガチに決めると、続けているうちに疲れてくるんですよね。“こうなりたい”という希望があるのはわかるんですけれど、あまりにキャラと自分がかけ離れていると、仕事をしているうちにだんだんとキツくなってしまいがち。あくまで自分らしさを出さないと続けられないと思います」
お客様に合わせたトークを自分から発信する難しさ
――キャラを決めすぎると疲れてしまうというのは分かる気がします。好きなことを仕事にしていても、大変なことはありますか?
楽生さん「新人なので、接客が大変だと思うことは多々あります。以前も飲食店で働いていたことはありますが、マニュアルがあったのでお客様と話す内容は大体同じでした。でも、ここではお客様に合わせた会話をして、かつ楽しませる話題を提供するので難しい。この人はどんな話題を出せば心をキャッチできるのかといつも考えています」
紫雲さん「お客様の中には、推しのスタッフがいなくなると、話してくれなくなったり、つまらなさそうな顔をする方もいます。そういうときは、ちょっと心折れることもありますね。でも、推しがいることはいいと思うんです。それ以上にお店全体を好きになってもらえるように、積極的に話かけるようにしています」
――なんと前向きな! さすが接客が好きというだけありますね。それでは働いていてやりがいを感じるときは?
京さん「お客様が“このお店、楽しいね”と笑顔になってくださるときが一番のやりがいです。楽生も言っていたようにマニュアルがないですから、いかにお店を好きになってもらえるかはスタッフひとりひとりの接客にかかっているので、その言葉を言われたときは、自分たちの頑張りが認められたと思える瞬間です。他には純粋に自分が好きなスタイルで働ける楽しさはありますね」
採用基準は男装の上手さよりも会話のキャッチボールができるか
――男装カフェで働くのはどんな人が向いているのでしょうか。やはり男装が好きという気持ちは大切でしょうか?
千歳さん「男装が好きというよりも、面接の際にきちんと会話ができるかを重視しています。目を見て返事ができて、話を素直に聞き入れる姿勢があるかが一番大切です。正直に言うと、仕事の意気込みや男装が好きという思いはいくらでもうまく言えると思うんです。それよりも、教えられたことを素直に聞くことができるか、きちんと会話のキャッチボールができているかを見ています。あと、男装の経験がなくても大丈夫です。初心者から始めたスタッフも多いですし、メイクやヘアスタイルは入ってからいくらでも教えられますから。それよりも、お客様やスタッフの仲間を思いやれる心が大切です」
まとめ
知られざる男装カフェの仕事内容がイメージできたでしょうか。男装初心者でもバイトOKとのこと! 挑戦してみたい人は、ぜひ参考にしてください。

男装Café&Bar ZAC
住所:東京都豊島区池袋2-10-8大晃第8ビル4F
営業時間:平日17:00~23:00、土日祝15:00~22:00
休み:不定休
※新型コロナウイルス感染拡大防止の為、営業時間が変わることがある。HPで要確認
HP:https://v-zac.com
Twitter:@ZAC_BAR
取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造