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2019年02月21日

女優/アーティスト・大原櫻子さんインタビュー 「日頃から自分の夢を口に出し、伝えることできっかけが近づいてくる」

大原櫻子太平洋戦争末期、53人の園児たちの命を守るために誰もやったことのない疎開保育園を敢行しようと奮闘した保母の姿を描いた「あの日のオルガン」。ヒロインのひとり・野々宮光枝を演じた大原櫻子さんにこの作品について、平和への思い、また、23歳の仕事観を伺いました。

 

子どもたちとの空気感を光枝という役に活かしました

大原櫻子

――今回、演じた“みっちゃん先生”こと光枝をどんな人物だと捉えていましたか?

光枝はしっかりした保母さんというより、子どもの目線に近い立場にいる女性だったので、難しいことを考えず現場に入り、子どもたちと接してみて生まれてくる空気感をそのままお芝居に活かせればと考えていました。

――実話だけに、演じるにあたっても役作りへの苦労や葛藤があったと思います。

光枝は天真爛漫で、ちょっと能天気なところがあるので、映画を観た方に「戦時中はそんなに甘くないでしょ」といった印象を与えてはいけないとまず思いました。でも、光枝なりに一生懸命な部分もあって、そこを表現するためにはどうしたらいいんだろうって考えた時に、先輩保母の楓さん(戸田恵梨香)と同じ信念をもつことが大事だと思ったんです。

――その同じ考えとはどういったことでしょうか?

光枝は子どものことが本当に好きなんですね。一方の楓さんは、なんとしても子どもたちを守らないといけないという強い責任感をもっている。戦火の中で、人さまの子どもを預かるなんて並々ならぬ思いがないとできないことだし、楓と光枝の共通点は“子どもを愛する心”だと。その軸さえしっかりしていれば、観てくださる側にも光枝がただ天真爛漫で、楽しいことが好きなだけの女の子じゃないということが伝わると思ったので、そこの部分を意識して演じていました。

 

泣きながら歌うシーンは「無」で演じました

大原櫻子
――戦争を通して、光枝も保母として成長しましたよね。現場では大原さんが子どもたちの面倒をよくみていたと伺いました。

私が面倒をみていたというより、子どもたちは私のことを遊んでくれる相手っていうふうに見てたんだと思います(笑)。光枝を中心に子どもたちが円になって、オルガンを弾くシーンがあるんですけど、ひとりの子を正しい位置に並ばせると、反対側で別の子がグチャグチャしている。そっちを正すとこっちがグチャグチャとなってしまって「じゃあ、歌を歌いましょう!」って提案したんです。そうすると、みんな歌うことに集中してくれておとなしくなるんですよ。

――本当の先生みたいですね!

ただ「ちゃんとしなさい」ときつく言ってしまうと、ただの怖いお姉さんになってしまって、その後の撮影に支障をきたすと思ったので、「さっき、あのおじさんが言っていた位置に5秒で行った人は偉いですよ~。5、4、3……」ってゲーム性を加えると、途端にみんな従ってくれました。

――子どもたちとのシーンのほか、印象に残ったのはよっちゃん(佐久間由衣)と自転車で二人乗りをするシーンや、光枝が大事な人の死から立ち直る歌唱シーンでした。

よっちゃんと自転車に乗るシーンは2人にとってとても大事な場面で、「よっちゃんがここを離れて他所(よそ)へ行っちゃう」と、その別れを思い出すと今でも泣きそうになります。私にとって友達は家族の次に大切な存在ですから。私はまだ大事な人を失った経験がないのですが、後半でオルガンを弾きながら歌うシーンは、もう何も考えられなかったです。ある意味「無」で演じていました。

 

楓や光枝たちのような女性がいたから、私たちはこの時代で生きることができている

大原櫻子

――大原さんの歌声が胸に響きました。この作品では、当時の女性たちの強さも描かれていましたね。

崖っぷちの状況で子どもたちを守ろうとするのは、恵まれた現代で生きている私たちにはない強さだし、自分の甘さも痛感させられました。そんな強さをもっている女性を素敵だと思う一方、現代の余裕ある生活をしているからこそ出てくる発想というのもある。ただ、それをわかったうえで豊かな暮らしができているのと、知らずに生活しているのとは違うし、楓や光枝みたいな先人がいたから私たちが今この時代に生きることができている。そこは知っておかなきゃと思いました。

――私たち現代人が忘れてはいけないことですね。それでは、この作品で大原さんがもっとも伝えたいのはどんなことでしょう?

あまり知られていない疎開保育園というものが実在し、53人の子どもたちの命を救った。そして、それを支えた強い女性たちがいたことは特に同世代の方に観てほしいです。さらに、これをきっかけに平和や戦争について改めて考えてほしいですね。

 

歌もお芝居も表現するということでは同じだと考えています

大原櫻子

――ところで、楓さんが何度も「文化的生活」という言葉を発していましたが、大原さん自身の“文化的生活”に欠かせないものは?

やっぱり“歌”になっちゃうのかな。音楽は欠かせませんね。家でも「動くスピーカー」って呼ばれてるんです(笑)。

――そのスピーカー、一家に一台ほしいです(笑)。大原さんは女優と歌手のふたつの顔をもっていますが、表現に違いはありますか?

伝え方の違いはありますが、表現の違いはどうだろう……。表現するという意味では同じだと思います。監督の作り上げる世界観に、いかに順応できるかがお芝居で、音楽は作詞・作曲をしてくださった方の届けたいものを、聴いてくださる方へいかにお伝えできるかという違いはありますが、お芝居と音楽はイコールである部分もあります。歌ってる時に歌詞を伝えるのは、セリフを伝えるのと同じことですから。

 

夢を口にしだした途端、オーディションの話が舞い込みました

大原櫻子
――女優としてアーティストとして、また新たな顔を見せていただけることを期待しています。最後に、大原さんと同世代の皆さんへ夢に近づくためのアドバイスをお願いします。

まわりの人にひたすら自分の夢を言うことが大事だと思います。周囲の人に「私の夢はこう」って言っていると、それを聞いた人から夢のきっかけをもらえることがあるって、以前姉から教えてもらったんです。

――大原さんも自分の夢を言葉にしてきたんですか?

私は「女優になりたい」という夢を誰にも言ってなかったんですね。どうしてかというと、実現した時にまわりを驚かせたかったから。だから、「夢はなに?」と尋ねられても、「教えな~い」って隠していました。でも、姉の言葉を聞いてから夢を口にするようにしたんです。そうしたら、友達からデビューのきっかけとなる映画のオーディションの話が舞い込みました。そのオーディションに合格し、私はこの世界に入ることができたので、夢をもっているならばぜひ口に出して、いろんな方へ伝えてみてください。

 

■プロフィール
大原櫻子
(おおはら・さくらこ)
1996年1月10日、東京都生まれ。2013年、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」全国ヒロインオーディションで5000人の中から主人公に抜擢され、スクリーン&CDデビュー。2017年にはミュージカル「リトル・ヴォイス」、2018年は「劇団☆新感線 メタルマクベス disc3」に出演するなど舞台活動も精力的に行っている。

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編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子

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