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2019年02月06日

佳衣(DIAURA)インタビュー『大変なことほど自分を作ってくれる要素になる』【俺達の仕事論vol.42】

ディオーラ_佳衣

日夜、洗練されたメロディやリズムでファンを魅惑し続けるヴィジュアル系バンドのアーティストたち。いまは表舞台で活躍する彼らだが、そこに至るまでには様々な苦労体験や成長エピソードがある。この連載では、そんな彼らが日頃語らない過去の出来事やバイト体験について掘り下げます。

“独裁”をコンセプトに、重厚な音楽性と、圧倒的なライヴパフォーマンスが魅力のDIAURA(ディオーラ)のギタリスト・佳衣さん。バイトを通してパソコン入力や、音楽ソフトを使えるようになったという経験や、DIAURAで活動を始めた後もギリギリまでバイトを続けていたという貴重なエピソードを伺いました。

 

初のバイトで大失敗。店長の信頼を取り戻すまでは辞められないと思った

ディオーラ_佳衣——初めてのバイト経験から教えてください。

高校の時によく一緒に遊んでいた友だちが、夕方の新聞配達を始めたので、その手伝いで一緒に廻ったのが最初でした。だから、仕事というよりは友だちとの遊びの延長という感覚でしたね。

ちゃんと働いたのは東京に来てからですね。音楽の専門学校に行くために上京したんですけど、2年生になって少し気持ちにも余裕が出てきた頃に、親に頼る部分を減らしたくてコンビニでバイトをしました。それまでバイト経験がなかったから、バイト=コンビニしか思いつかなかったんですよね(笑)。

——初の社会経験はどうでしたか?

初出勤の日に遅刻してしまって(苦笑)。寝坊したうえに、割と長い踏切につかまってアウトでした。“もうちょっと早く起きてたら!”って後悔しましたね。店長には嫌な顔をされたし、半年くらいは態度も冷たくて。意地悪をされたわけではないんですけど、認められていないというか……。そこで辞めるのは簡単だったけど、ちゃんと信頼は取り戻したいなと思っていました。

——最終的には、店長にも認められるように?

はい。年末はみんなが休みをとりたがるんですけど、自分はシフトに入っていなかったので地元の青森に帰る予定で新幹線のチケットをとっていたんです。そこで、店長に『入れる人がいないんだけど出れない?』って聞かれて、『他に誰もいないなら出ます』って答えました。でも、実家に帰ることは親にも言ってしまっていたので、『1回帰りますけど、その日に1日だけ戻ってきます』って伝えたら、『さすがにそれは申し訳ないから大丈夫。でも、その気持ちはすごく嬉しい』って言ってもらえて。

——それは名誉挽回のためだったんですか?

いや、単純に“出る人がいないのであれば自分が出るしかないな”って、実際に頑張れば出れるわけで、変な責任感みたいなものがあったんだと思います(苦笑)。

 

若い時は感情が先立ってしまうけど、バイトを通して忍耐力がついた

ディオーラ_佳衣——素晴らしいですね! では、コンビニではどんな仕事をしていましたか?

レジと品出しと、あと揚げ物もやっていました。レジ打ちは楽しかったし、商品を袋詰めするのもキレイに収まると嬉しかったですね。ただ、接客自体は苦手でした。当時はまだ世間知らずだったし、若さもあって血気盛んだから、お客さんに横暴な態度を取られるとイラッとしてしまって(苦笑)。たとえば箸を入れ忘れて、それを強い言葉で指摘されると自分が悪くても“謝るのちょっと嫌だな”とか。お客さんにタメ語で話されると“こっちは敬語なのに?”って。若さゆえについ感情が優先してしまうというか。でも、コンビニでバイトをしたことで忍耐力はついたと思います。

——業務の中で得意だったことは?

品出しはめっちゃ早かったですよ。ダンボールを開けて商品を並べるんですけど、まずはコツを探しました。ダンボールのガムテープはハサミを使わなくても、指を横にスーっとズラせばすぐに開くんです。それを発見してからは誰よりも作業が早くなりました(笑)。そしたら“次はもっと早くいけるんじゃないかな?”って楽しくなっていくんですよね。割と効率はいい方だったと思います。

 

資材の運搬で疲労して、専門学校に行っても1日ギターが弾けなかった(苦笑)

ディオーラ_佳衣——コンビニでのバイトはどれくらい続けたんでしょうか?

1年くらいです。その後は、派遣で1回だけ肉体労働をしたんですけど大変でしたね。資材運びだったんですけど、鉄の棒を4−5本かついで、しかも階段で4階まで運ぶんです。最初に、パイプを1本だけ持って上がったら親方みたいな人に『なんで1本しかもってこないんだ!』って言われて(苦笑)。朝6時から働いて、バイトが終わって学校に行く頃には手がしびれて1日ギターが弾けなかったですからね。

——経験したからこそ分かることもあると(笑)。

そうですね。専門学校を卒業した後は、新しいバンドを始めるためにメンバー探しをしながら、“次は音楽に関わる仕事がしたいな”と思って、カラオケの歌詞を入力するバイトを選びました。すごく新鮮で楽しかったんですけど、その会社が新たに事業展開をして、そこで働いていた人がみんな着メロを作る部署に異動になったんです。

 

バイトを通して、音楽ソフトが使えるようになったのは有意義だった

ディオーラ_佳衣——予想外の展開ですね。

でも、それが結果的には良くて。業務としてはパソコンに曲が入力してあって、それをケータイに入れて音程とか音量を調整するんです。音楽知識はなくても出来る仕事だったんですけど、パソコンの知識は必要で。着メロの前は、歌詞入力をしていましたけど、そのバイトをするまでパソコンを触ったこともなかったんです。なのに歌詞の入力って……よく考えたら僕がんばりましたよね(笑)。

いろんな曲が聴けるのが楽しかったし、早く作業が終わった時は、着メロを作るソフトで自分の曲を作ったりして、そのバイト先でパソコンのブラインドタッチが出来るようになったり、音楽ソフトを使えるようになったのは本当に有意義でした。

——人間関係はどうでしたか?

バイト時代を振り返ると、この時期が一番楽しかったんですよ。新しく出来た部署だから初心者ばっかりだけど、“みんなでやっていこう!”っていう仲間意識が強かったし、職場っていうよりお金をもらえる専門学校みたいな感覚でした。毎日残業しても苦じゃなかったし、バンドでプロになろうとは思っていたけど、ちょっとだけバンドに対しておろそかになっていた時期かもしれないです(苦笑)。

 

大人になるほど人間関係は難しいけど、昔はすぐに人と仲良くなれてた

——佳衣さんは人と仲良くなるのは得意なのでしょうか?

大人になるほど人との距離感って難しいじゃないですか。“若い頃ってなんであんなにすぐに打ち解けられたのかな?”って不思議だし、あの頃の自分に聞いてみたい(笑)。でも、同じ目的にむかっていたというのは大きかったのかも知れないです。そこで働いていた人は、みんな生き生きしていたし、今でも音楽関係で働いている人もいて、当時は夢を語ったりしましたね。

その後、着メロが下火になってきたこともあってその会社は辞めたんですけど、そろそろバンドで活動する時間を優先したかったのと、だんだん髪の毛も派手になってきていたので、夜間に作業をする事務業に移行しました。デクスワークで夜はひたすらパソコンを打っていたんですけど、その時期がすごく辛くて。

 

バンドが軌道になってからもギリギリまでバイトは続けてた

ディオーラ_佳衣——どんなことが大変だったんでしょうか?

実はそこでは7年くらい働いたんですけど、DIAURAで活動を始めてからも初期の頃は続けていました。メンバーの中でも、最後までバイトをしていたから、夜勤が終わって朝方そのまま撮影に行くとか、ライヴが終わってメイクだけ落として、その足でバイトに行くこともありました。

——そうまでしてでも、続けていた理由を知りたいです!

お金を稼ぐというより、“ここでやめたら自分自身がダメになりそう”だと思ったんです。徐々に音楽だけで食べていけるようにはなっていたけど、当時は全てのことに少しも手を抜いちゃいけないみたいな感覚があったのかな……。

——そんな中、バイトを辞めた時はどんな思いでしたか?

スケジュール的に本当に続けられなくなって。バイトを辞めた時は“これで俺も音楽で生きていけるんだ”と思いました。DIAURAを始めてからは、“常に夢を追っている”という意識があったからこそ、苦労もちゃんと続けないといけないと思っていたような気がします。

——1つでも気をぬくと、全部ダメになりそうな怖さというか。

そうですね。バイトは楽しいこともあったし、それはすごく恵まれたことだったんですけど、僕は基本的に働くっていうことは、大変で当然だと思っているんです。でも、楽しいより大変なことのほうが乗り越えた時に身につくし、自分を作ってくれる要素だとも思っています。

深夜の事務業を続けていた頃は本当に辛かったけど、“この時間を終えたらライヴがある”とか、1つ1つを夢につなげていけたからこそ頑張れたので、みんなにもバイトを通していろいろなことを感じてほしいし、その先に夢が1つでもたくさん叶えばいいなと思います!

——最後に余談ですが、バイトでの忘れられないエピソードがあれば。

事務業のバイトは7年も続けたので、今でも“やばい、シフト出し忘れた!”っていう夢を見て焦ることですね(笑)。

 

■Profile
佳衣(けい)

DIAURA(ディオーラ)のギタリスト。ヴィジュアルシーンにおいて“独裁”をコンセプトに、作品のごとに世界観の異なる音楽性を提示。オーディエンスを引き込む圧倒的なステージングも魅力。ファンの名称は愚民。

◆DIAURA OFFICIAL SITE:http://www.di-aura.com/
◆佳衣 Official Twitter:@DIAURA_kei

*すべての詳細は、http://www.di-aura.com/

企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:原千夏 撮影:河井彩美

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