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2020年05月26日

猟牙(RAZOR)インタビュー『パソコンで作曲を始めて広がった世界――キッカケ1つで未来への選択肢が増えることを知った』〜俺達の出発点vol.5〜

猟牙 RAZOR ビジュアル ヴィジュアル 掟 インタビュー townwork タウンワーク

華麗な容姿とそれに劣らぬ実力で、日々メロディアスな音楽を奏でるアーティ ストたち。そんな彼らは、過去のどんなことを経て今の活躍を手にしたのか― ―。この連載では、過去から現在に渡って彼らを支えてきた音楽や思い入れのある物についてご本人に赤裸々に語っていただきました。

2016年11月にRAZORを結成。圧倒的な声量とカリスマ性を誇るヴォーカルの猟牙さんが原点として挙げたのは、作曲ツールとしての“パソコン”。パソコンを手にしたことで“作曲”に夢中になったという当時のお話を中心に、今に与える影響などについて伺いました。

 

パソコンを手にして“作曲”をするようになったことで世界が広がった

猟牙 RAZOR ビジュアル ヴィジュアル 掟 インタビュー townwork タウンワーク——アーティストのみなさんに原点や支えになっているものについて伺っていますが、猟牙さんがパソコンを挙げた理由から教えて下さい!

パソコンを手に入れて作曲をするようになったことで、ずいぶんと意識が変わったので原点として挙げました。今日持ってきたパソコンは初代のものではないんですけど、初めて買ったのは前のバンド(BORN)で事務所に所属した時。仕事をするうえでパソコンがあったほうがいいと薦められて購入しましたが、当時は持っていることが当たり前の時代ではなかったので、“高い買い物だし、そんなに必要かな……?”と思っていました。でも、手にしたら“これがないと生きていけない!”っていうくらい大切なものになりましたね(笑)。

——どんなところで役立ったのでしょうか?

まずは原稿チェックやデモ曲の受け渡しなどの、業務的なことに使っていました。その後に、音楽ソフトで曲を作ることを覚えたんです。

――それが猟牙さんに大きな変化をもたらしたと。

はい。僕はヴォーカリストなので、それまで楽器をちゃんとやっていなかったのですが、Acid Black Cherryのyasuさんが楽曲をパソコンで作っていると知って自分でもやってみたいと思いました。それまでは、鼻歌でメロディをつけていたのが、音楽ソフトを入れてパソコン上で曲作りが出来るようになったことで“俺でも作れるんだ!”と感動して、アッと言う間にのめり込んでいきました。様々な雑誌のyasuさんのインタビューも読みまくって、情報をかき集めましたね(笑)。

 

当時のメンバーに初めて曲を聴かせた時のことは今でも覚えてる

猟牙 RAZOR ビジュアル ヴィジュアル 掟 インタビュー townwork タウンワーク――すぐに曲は作れるようになったのでしょうか?

いきなりは無理だったので、まずはライヴのSE(SOUND EFECT/効果音)を作ることから始めました。ツアー中でも、部屋に入ると寝ないで朝まで作曲をしたり、ライヴ会場に入ってもずーっとパソコンを触っていて。最初はゲーム感覚でもあったし、好きなアーティストの音楽を打ち込みで真似しているうちに形になっていくのが楽しくて。SEを誰かに聴いてもらえる場所があることもモチベーションになりました。

——それだけ夢中になった曲作りの醍醐味とは?

もともと音楽は好きで、学生時代から色々なジャンルの楽曲を聴いていたのですが、リスナーとして“こういう音楽が聴きたいな”とか、“もっとこういう曲があったらいいのに”というのを形にするのが、当時から変わらず自分のベースになっているし醍醐味でもあります。

——では、最初に1曲を通して楽曲が作れた時のことは憶えていますか?

めっちゃ憶えていますよ、あれは忘れられない。ツアー先の青森のホテルでした(笑)。真夜中に当時のバンドメンバーに電話して、相手は完全に寝ていたのに「曲が出来たんだけど聴いてくれない!?」って連絡しました。「今ぁ?」って言われたんですけど、「うん今! 俺の部屋に来て!」って。嬉しかったんでしょうね(笑)。

——反応はどうでしたか?

目の前で聴かせるわけだから多少は気恥ずかしさもありましたけど、ドキドキとワクワクが入り混じったような感覚でした。「出来てるね」って言ってもらった時は嬉しかったですね。今のバンドでもライヴ前や曲間のSEを担当することは多いです。

 

曲作りを覚えて幅が広がった分、技術と感覚のバランスは大事にしたい

猟牙 RAZOR ビジュアル ヴィジュアル 掟 インタビュー townwork タウンワーク——作曲に夢中だった期間は、どれくらい続きましたか?

曲を作っていない時も、何かしら音を鳴らしていたり、常にパソコンや音楽ソフトには触れていたので、どっぷりハマっていたのは3〜4年くらいですね。その後も作曲はしていますが、今のバンド(RAZOR)になってからはメンバーに剣という有能なコンポーザー(作曲家)がいるので大まかには任せる部分も多いです。でも、最近は特に2人の間でも変化があって……。

――変化というのは?

剣も基本的には1人で作り込むタイプなんですけど、今回作ったアルバム『掟』では、俺が鼻歌を歌って、そこに剣がギターを弾いてセッションで作り上げるみたいな、すごく原始的な作り方をした曲も入っています。もともと音楽ってそういうものだと思うし、それがすごく楽しくて。2人で永遠と作業していましたね。

——技術を一度習得してから、ラフに作るとまた違う感じ方がありそうですね。

そうなんですよね、ある程度のことはやれるようになったうえで、また原点の魅力に気づいたというか。そこにメンバーが各パートの演奏を乗せてくれる。そのワクワク感がたまらなくて…。今までは気にとめていなかったドラムやベースラインも聞くようになったりと、曲作りの基礎が分かるようになってからは、確実にその振り幅は広がったと思いますね。

そういえば以前、先輩に「猟牙は感覚の人だから、あまり曲作りに特化せずにリスナーの目線でいたほうがいいよ」と言われたことがあって、そのバランスが大事なんだなと。今は、知識を得たうえで、感覚を大事に曲作りが出来ているし、毎回やり方やモードを変えていけるという利点もあります。

 

どの職業でも向き合っている人がいる。物事ができあがるまでの過程を考えるようになった

猟牙 RAZOR ビジュアル ヴィジュアル 掟 インタビュー townwork タウンワーク——ちなみに、納得のいく曲が出来た時はどんな感じですか?

手応えがあるものが出来た時は、テンションがあがって一人で「これ良いんじゃない?」って声に出して言っていますね(笑)。ただ、一晩寝かすと“あれ?そうでもないかな”って…。曲作りって、音楽の土台だからゼロから何かを生み出すことの凄さと難しさを感じる日々です(笑)。

でも、そういった創り出すことの難しさを知ったことで、余計に今まで聴いてきたアーティストの偉大さが分かるようになったし、周りのミュージシャン仲間への尊敬も生まれました。さらに言うと、音楽だけでなく、ヘアメイクさんや、料理を作る人とか、技術を持って物を創り出す人はすごいなと思います。もっと派生させるなら、ここにあるマスクやメガネ1つとっても、やり方は違えど誰かが作り出しているわけで…。目につくもの全部が誰かの創作の上になりたっていると考えると、自分たちは奇跡に囲まれて生きているんだなと!

——いきなり視点が大きくなりましたね(笑)。

作曲をして社会を知るという(笑)。ちょっと壮大になり過ぎましたけど、作曲をすることで、“物事ができあがるまでの過程を考える”ことが出来るようになったんだと思います。

 

気分が落ちている時も、パソコンがあると“なんかしなきゃ!”って思える

猟牙 RAZOR ビジュアル ヴィジュアル 掟 インタビュー townwork タウンワーク——では、作曲を始めたからこそのターニングポイントはありますか?

前のバンドを解散した時にピアノの音色にハマっていて、次にバンドを組む時はキーボードを入れるようなキレイな音楽をやろうかなと。もしくは、歌モノのシンガーを目指そうかなと迷ったりもしました。結果的に、今のメンバーに誘われて、アグレッシヴなサウンドのバンドをやっているんですけど(笑)。

――とはいえ、RAZORのサビの突き抜け感とかメロディアスさは秀逸だなと。

ありがとうございます。もしかしたら、作曲時に培ったものがあるかもしれないですね。ピアノの音色も昔から好きでしたけど、なかなか聴く機会がないじゃないですか? でも、身近にパソコンや音楽ソフトがあることで、気軽に触れることが出来た。そこで余計に惚れ直したというか。キッカケ1つで、いろんな発想が湧いたり、未来への選択肢が増えると思うと面白いですよね。前の事務所に入った時にパソコンを買っていなくても、どこかのタイミングや、何かしらの形で作曲はしていたかもしれないですけど、あの時期に購入を勧めてもらえたことには感謝しています。

——ここまで作曲について伺ってきましたが、“パソコン”そのものへの愛着もありますか?

人って気分の浮き沈みがあるじゃないですか。たとえば、家にいて何もする気が起きない時でも、パソコンがそばにあると“あっ、なんかしなきゃ!”って思うんですよ。“こいつがあるじゃないか!”と(笑)。

――やる気を起こさせてくれるものであると。

そうですね。それと、パソコンには音楽ソフト以外にも、気に入った風景の写真を入れていたり、この自粛期間は時間があるからフライヤーを作ってみようかなとか。これからも自分を伸ばしていくための相棒として大事にしつつ、可能性を広げていけたらと思います!

 

■Profile
猟牙
(RAZOR)

2016年にヴォーカルの猟牙、ギターの剣を中心にRAZOR(レザー)を結成。ラウドな楽曲からエモーショナルなバラードまで、ジャンルにとらわれない多様な楽曲と、猟牙の描く独自の歌詞が注目を集める。昨年のドラム脱退後、現在は新メンバーにNIKKYを迎え、5月27日に2nd Full Album『掟』をリリース。

◆RAZOR Official HPhttps://razor-web.jp/
◆猟牙 Official Twitter@Ryoga_britannia

企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:原千夏

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