ようなぴ(ゆるめるモ!)インタビュー「みんなが違いを認めあえればいい」【 アイドルシゴト Vol.6】
「アイドルシゴト」は、普段ステージ上からは見えない、アイドルのシゴト観についてふかぼるコーナーです。
今回は脱力支援アイドル「ゆるめるモ!」の白担当ようなぴさん。イラストやDJとしてもマルチな才能を発揮されていますが、もともと自分に自信が無く頑張ることができなかったそう。過去からどんな経験を経て、今があるのかをうかがいました。
「私は何かの可能性を秘めている」って漠然だけど思っていた
――アイドルになったキッカケは?
私自身がもともとアイドルヲタクだったんです。それに表現する側の立場への憧れもあって、オーディションを受けてみようかなと思ったのがキッカケです。
オーディションを受ける前は美大でデザインを勉強してました。今でもイラストとか作品を創ってます。自分の作品を世の中に発表するという表現方法もあったと思うんですけど、私の場合は体をつかってダイレクトに表現するほうが合っているなと思って、アイドルになる道を選びました。
――アイドルとしてうまくいく自信はあった?
自分に自信があったわけではないです。私は歌もうまくないし、特筆したものは何もなかったけど、なんとなく頭のどこかで「まだ諦めたくない、やってやる!」とは思っていて…。でも最初は一歩踏み出すのに勇気が必要でした。
――最初の一歩を踏み出す後押しになったものは?
一度、別のグループのオーディションを受ける機会があったんです。そのとき会場に集まっていた女の子たちをみて、みんな自信をもってやっていてすごいなって刺激を受けたんですよね。「恥ずかしいとか関係ないな、私も自信を持とう」って思うキッカケになりました。
それからは自信がないときも、「もうちょっと頑張ってみようかな、挑戦してみようかな」って前向きになるようになって。そんなときタイミングよく“ゆるめるモ!”がメンバーを募集しているっていう情報を目にして、メールをしました。
他人に勝つより、認めてもらいたい気持ちが強い
――何かに自信や劣等感を抱いていることはある?
ずっと自分に自信が無かったんです。劣等感が生まれるというよりは、自信が生まれる理由が無かったって感じです。
――なにか過去にチャレンジしたことはある?
なんにもないですよ。人生のなかで一番苦手なのは努力ってぐらい(笑)。がんばり方がわからなかったです。努力って自信につながると思うんですけど、自信につながるようなこと何もしていなくて。
――じゃあ他人に負けたくないって気持ちもなかった?
そうですね。あんまり勝負みたいなことに興味が無くて。例えば運動会で1位を取りたいとかもあまり思ったことないし。比べたりすることは大切だと思うんですけど、誰かを敵にしたり、蹴落そうみたいな考え方が苦手で。「その時を自分なりに満足できてればいいかな」って思います。
――自分が認められたいなって思うものはある?
それはあります。具体的に言うのは難しいですけど(笑)。自分が選んだものを否定されずに、周りの人に受け入れてもらえたらいいな、と思います。
「生きる上で大切な気持ち」を表現したい
――アイドルになって一番嬉しかったことは?
アイドルをはじめたとき、私のことを応援してくれるファンができる自信なんて全然なくて、もしかしたら一人もファンがいないままステージに立つかもしれないと思ってたくらいです。でも人気者になりたくてやっているんじゃなくて、自分が表現したいもののためにアイドルを選んでいるので、今はそんな私についてきてくれるファンの方がいることが嬉しいなって思います。
――ゆるめるモ! で一番表現したいのは何?
音楽はもちろんすごく重要だと思います。私はもともと音楽が好きで、音楽にたくさん救われて来たので。ゆるめるモ! の音楽に私自身すごく共感ができるし、それを自分たちの手でみんなに届けられるって幸せなことだと思ってます。ゆるめるモ! の音楽じゃなかったらこんなに長く続けられなかったかもしれないです。
でも、表現したいのは音楽だけじゃないです。生きる上で大切な気持ちだったりとか、「生きること」みたいな大きなものを考えているんです。
私は「多くの人は一般的な社会の価値観や目的にとらわれ過ぎているな」って感じることがあるんですけど、みんなそこだけにとらわれて苦しまないでほしいなって思います。大切なことは「本当の自分の気持ち」だと私は思うので、みんなが自分の気持ちに正直に生きていけるようなメッセージを送っていきたいです。
今後は音楽や映像にチャレンジしたい
――初めてのバイト経験は?
初バイトは高校生のときのファーストフードチェーン店。アルバイトって社会と接する初めての経験じゃないですか。だったら大きな会社のほうが安心して働けるかなって思って選びました。あと自分は接客の仕事に向いてるだろうなって気持ちもありました(笑)。
私の働いていたお店はいつも混んでるような人気店だったので、毎日ホント忙しくて大変でした。でも、そんな新しい経験はあまりできるものじゃないので、今振り返ると貴重だったなって思ってます。
――アイドル以外で興味を持っていることとか、今後やりたいいことってありますか?
結局シゴトにも繋がっちゃうんですけど(笑)、最近はDJでリミックスをするお仕事やイラストを描くお仕事をいただいています。私、音楽を作る側としては技術も経験もないんですけど、自分で描いたイラストを展示する機会があって、その展示会場で流す音楽を自分で作ることに挑戦したりしています。
イラストは自分の中で大きい存在。将来はイラストと音楽、自分が大切にしている2つを使って将来的にはアニメーションとか作れるようになれたらいいなと思ってます。やりたいことはいっぱいありますね。
――今後はどんな方向に進んでいきたい?
今はやっぱりグループの存在が私の中で一番大きいので、ゆるめるモ! で行けるところまで行きたい、それこそ世界とか目指していきたいと思います。
あと個人的には、さっきも言いましたけど(笑)、イラストで自分の世界観みたいなものを表現していきたい。観てくれる人たちが幸せな気持ちになったり、楽しい気分になったり、気持ちがラクになるような、いろんな意味での“エンターテイメント”を提供できる人間になりたいと思っています。
みんなが違って当然、それを認めあえればいいじゃん
――自分の好きなものや目指したいものを見つけるコツはありますか?
無理に見つける必要はないって思っています。好きなものが無いってことは、見方を変えれば何でもできるってことだし、とりあえず目の前にあることをやってみたらいいじゃんって思います。自分で選べるものがないんだったらまず目の前のものを肯定したらいいと思います。
――今のような価値観っていつごろから持つようになった?
私、割とハッキリした性格なので何かとストレートに発言してしまうことも多いんですけど、普通の人と違うとか、一般的な社会常識とは違う、大多数の価値観とズレた考え方を否定をされることに抵抗があるんです。「ほかとは違う」「普通じゃない」みたいな基準で判断してくるものに抵抗している感覚ですね。みんなそれぞれ違って当たり前、それを認め合えればいいじゃんって思います。
――本日はありがとうございました。最後にこれを読んでいる読者に向けて夢に向けて一歩踏み出すためのメッセージをお願いします。
以前の私は最初やりたいことがあっても、自分に自信がなかったから「私には無理」と思って手を付けなかったことがたくさんあって。でも、自信がないからこの企業を受けるの辞めようとか、自分のできそうな仕事を選ぼうとか考えてる人がいるのだとしたら、自分に対してもったいないことをしていると思います。
自信がないとか恥ずかしいとかって、自分に対してのただの言い訳でしかないと思う。そんなものは脱ぎ捨てて、自分のやりたいと思った気持ちに素直に応えて、もし挑戦してみてダメだったら、ダメにになってから考えたほうがいいんじゃないかなって思います。
グループ名には、「(窮屈な世の中を)ゆるめる」「You’ll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」といったメッセージがこめられている女性4人組ニューウェーブアイドルグループ。独自の世界観を表現した楽曲は多くの共感と支持を集めている。
公式HP http://ylmlm.net/
公式twitter @ylmlm_staff
取材・文:SADD 撮影:八木虎造
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。