純喫茶でバイトしたい！仕事内容、やりがい、大変なこと、向いている人を聞いてみました

昔ながらのレトロな雰囲気の純喫茶で働いてみたい。そう考えている人のために、今回は約50年の歴史を持つ純喫茶・珈琲貴族エジンバラの店長・西田さんと大学生スタッフの加藤さんに、仕事内容ややりがい、大変なことなどを聞いてみました。

お客さまを席にご案内し、水とおしぼりを出すことから始める“フルサービス”が基本

＿＿昔ながらの喫茶店の雰囲気が懐かしいですね！コーヒーもこだわりがあると聞きました。

西田「創業時からサイフォン式でコーヒーを抽出しています。オリジナルの貴族ブレンドや炭火焼コーヒーなどストレートコーヒーのほか、カフェウインナやカフェアイリッシュなどのアレンジコーヒーも含めると、コーヒーだけでも数十種類あり、多種多様なこだわりのあるメニューをご用意しています」

＿＿お店の周りにもコーヒーが飲めるカフェやチェーン店がいくつかありますが、エジンバラとの違いは何でしょうか。

西田「私たちが提供しているのは、お客さまが来店したら席にご案内し、水とおしぼりを出し、オーダーを受けて注文の商品をテーブルにサービスする……といった“フルサービス”です。周りにセルフサービスの店やカフェも増えましたが、住み分けは出来ていると思います」

始めはホールを任され、接客の基本を学ぶ

＿_アルバイトとして採用されたら、始めはどんな仕事をするのでしょうか？

加藤「始めはお客さまと直接関わるホールの仕事を任されます。お客さまを席にご案内して、オーダーを聞き、注文の商品を提供することが仕事の基本です」

＿＿こちらはコーヒー専門店だけにドリンクの種類も多いですよね。

加藤「種類が多いので、お客さまに『飲みやすいのはどれ？』『酸味が少ないコーヒーは？』などよく聞かれます。はじめは聞かれるたびに先輩に教えてもらい、一つひとつ覚えていきました。お客さまが少ない時間には、サイフォン式のコーヒーの淹れ方を教えてもらったりもしますよ」

＿_どんなお客さまが多いのですか？

西田「数人で仕事の打ち合わせをする方もいれば、パソコンを持ち込んで動画編集をしたり、買い物や映画帰りに一息つく方も。ほかにも試験勉強をする学生や、御苑帰りのおじいちゃんおばあちゃんなど、さまざまな方が利用しています。空きスペースを利用してお客様が自由に読める本棚もあるので、読書にふける方もいらっしゃいますよ。土日の午後などは130席あるテーブルがフル回転です。」

＿＿コーヒーを淹れるスタッフは決まっているんですか？

西田「エジンバラではコーヒーを淹れる担当を『メイン』と呼んでいますが、経験を積んだアルバイトスタッフにも任せます。メインはコーヒーの抽出以外に、フロア全体を見てフロアスタッフに指示を出します。例えば、まだオーダーをしていないお客さまをチェックしてオーダーを取るように促したり、忙しくてもレジ待ちが起こらないよう気を付けるなど、店全体の舵取り役ですね」

常連さんとのコミュニケーションもやりがいにつながります

＿＿常連さんも多いんですか？

加藤「多いですね。常連のお客さまはスタッフの顔も覚えていて、『今日は誰が淹れたコーヒーなの？』など気軽に声をかけてくださいます。私自身しばらくシフトに入れなかったことがあったのですが、店に出たときに『久しぶり！』と声をかけていただき嬉しかったですね」

＿＿それは嬉しいですね！大きく成長できそうな職場ですが、実際に働いていてどうですか？

加藤「はじめは『友達を呼べる店で、制服を着て接客の仕事をしたい』という気軽な理由で始めたんですが、自分でも驚くほど成長したと感じます。例えば周りを見ることができるようになったこと、ものごとの優先順位をつけられるようになったこと、そして自分だけでなくお客さまや同僚目線でものを考えられるようになったことなど。エピソードには事欠かないので就職活動にも役立ちました（笑）」

指示を待つのではなく、全体を見て自分で判断することが大切

＿＿加藤さんはじめスタッフの方は忙しそうですね。

加藤「席数が130席あり、とにかく目を配るべき範囲が広いので大変です。常に仕事の優先順位をつけ、スタッフ同士が連携を取りながら動くことが求められます」

＿＿考えながら動くことが大事なんですね。

加藤「はい。例えばお客さまがコーヒーをこぼしてしまった、レジでお客さまが待っている、注文のコーヒーを持っていかなくてはいけないなど、やらなくてはいけないことが同時に起こるのは普通です。そんなとき指示を待つのではなく、自分は今これをやる、他は周りのスタッフに頼むといったことを瞬時に判断しなくてはいけません。常に店全体を見て行動するのは大変ですが、全ての歯車がうまく回っているのを感じると充実感を感じますね」

マニュアルがなくても、自分が今何をすべきか選択できる人に来てほしい

＿＿仕事面でスタッフに求めることはありますか？

西田「マニュアルのあるお店は多いと思いますが、ここはマニュアルを用意していません。その代わり、スタッフには、サービスの正確性と情報共有は徹底して身につけてもらうようにしています。例えばレジでお金をいただく際に『1000円からお預かりします』と言うのは間違いです。また、あるお客さまが『水はいらない』とスタッフに伝えたとしたら、そのスタッフはフロア全てのスタッフにその情報を伝えます。自分だけが『あのお客さまは水はいらない』と理解するのではなく、全員が情報を共有することを徹底してもらっています」

＿＿どんな人がエジンバラのスタッフに向いているでしょうか。

西田「一言で言えば『選択ができる人』です。130席が埋まる忙しさの中で、お客さまが今何を求めているかを常に考え、自分が今何をすべきかを瞬時に判断できる。そんな人に来ていただきたいです。しなければならないことが重なったときに瞬時に自分で判断できる人が、理想ですね」

＿＿履歴書や面接ではどういうところを見ていますか？

西田「履歴書は丁寧に書いてあればいいです（笑）。それより面接の第一印象や、質問に対してすぐに返事が返ってくるかを見ています。また、チームで動く仕事ですから、分からないことは分からないときちんと質問してほしいですね」

＿＿チームといえば、お話を伺っていて、西田さんと加藤さんは店長とスタッフという関係ですが仲がいいなと感じました。

加藤「そうですね。皆さんフランクで家族のように接してくれるので、社員、アルバイト関係なく仲がいいです。居心地がいいので、シフトに入っていない日も学校帰りに店に寄り、大学の課題をしてから帰ることも多いんです」

西田「アルバイトの子が、家族や友人をよくお店に連れて来てくれます。自分の働くお店を紹介したいという意識を持ってくれている事は、とても嬉しいです」

まとめ

インタビューを終え、西田さんと加藤さんが撮影に向かった後、アイスコーヒーに付いてきたガムシロップをこぼしてしまいました。拭くものないかな……と思った瞬間、別のスタッフの方がさっとおしぼりを持ってきてくれました。この素早さこそエジンバラの美学だなと思った出来事でした。
接客に興味がある人、純喫茶に興味がある人はぜひ応募してみてください。

■取材協力

珈琲貴族エジンバラ
住所：東京都新宿区新宿3－2－4　新宿M＆Eスクエアビル2階
営業時間：24時間営業は休止中
※コロナ感染防止のため短縮営業中
休み：年中無休
HP：https://edinburgh.jp/

取材・文　荒川文乃／撮影　八木虎造