レコードカフェ・バーでバイトしたい! 仕事内容、やりがい、大変なことについて聞いてみた
上質な音楽と落ち着いた空間の中で飲食が楽しめるレコードカフェ・バー。音楽好きなら一度は働いてみたいと思うかもしれません。でも、具体的な仕事内容や音楽に詳しくないといけないのかなど気になる点も多くあります。そこで、中目黒のレコードカフェepulorで働くAさんに聞いてみました。
Aさん/アルバイト歴6カ月
レコードカフェの仕事内容
大きく分けると通常のカフェ・バー業務とレコードに関する業務の2つです。カフェ・バー業務では、店内の清掃から、オーダーを取りドリンクを提供する接客、会計やドリンクづくり、買い出しなどの仕事があります。レコードカフェ・バーは比較的、小規模のお店が多いので分業制ではなく、カフェ業務にまつわる一通りの仕事を任されることが多いと思います。
レコード業務に関しては、お店の雰囲気に合わせてレコードを選んで音楽を流したり、レコードやレコードプレーヤーを磨いたりなど管理する仕事があります。
レコードカフェ・バーバイトのやりがい、楽しいところ
自分が選んだレコードをかけたときに、お客様が喜んでくれたり、「この音楽好きなんだよ!」と声をかけてくださるとやりがいを感じます。声をかけてくださらなかったとしても、好きな音楽が流れるとお客様のテンションが上がるのが見てわかるので、「あのお客様、この音楽が好きなんだな」と感じられるのも嬉しいですね。
レコードカフェ・バーは音響にこだわっているので、自宅には置けないような高価なスピーカーで上質な音を聴けるのも楽しいところです。仕事に来るのが目的ではありますが、僕自身、音楽が好きなので、音楽を聴きに来ている気持ちもあります。だから、バイトに来るのが楽しみですし、モチベーションにもなります。
このお店では昼はコーヒー、夜はワインを中心に提供しているので、働きはじめてから音楽だけでなく、コーヒーやワインの知識も増えました。自分の引き出しがどんどん広がっているのも、レコードカフェで働くやりがいだと感じています。
レコードカフェバイトの大変なところ
ここで働くまでレコードを触ったこともなかったので、まずはレコードプレーヤーの使い方やレコードの扱い方から勉強しました。レコードは思っている以上に繊細なので、傷つけないように丁寧に扱うのがコツです。お店には1000枚以上のレコードがありますが、その中で今の雰囲気やお客様に合わせてレコードを選ぶのは慣れるまで大変でした。例えば、雨の日でゆったり過ごしているお客様が多ければ、気持ちがリラックスできるような音楽を選んだり、反対にワイワイと活気があるときはポップな曲を選んだり。そのさじ加減が難しくて、先輩が流すレコードをよく聴いて「こんなときはこんな音楽を流すんだな」と働きながら覚えていきました。
1000枚もあれば、すべてのレコードを把握するのも大変ですし、知らないアーティストもたくさんいます。先輩がかけた曲を聴きながら、「これは誰だろう」と思ったらすぐ調べたり、アーティスト名を控えて自宅で調べて聴くなどして少しずつ覚えていきました。
レコード業務は通常のカフェ業務の合間に行うので、まずはカフェ業務をしっかり覚えることが前提です。僕の場合は、ワインはこれまであまり飲んでこなかったので、お客様に味を説明するのが難しく、ワイン担当のスタッフに味の特徴や説明方法を教えてもらったり、自分で学んだりしました。カフェ業務とレコード業務の両方を覚える苦労はあるかもしれません。
レコードカフェで働くのに向いている人
好奇心や探究心がある人が向いていると思います。どんなに音楽に詳しくても、世の中にある音楽すべてを把握するのは難しいです。必ず知らない音楽に出会うので、そのときに「もっと知りたい、学びたい」という気持ちがないと、ただ「覚えるのが大変」と思うだけもしれません。音楽だけでなく、コーヒーやワイン、レコードプレーヤーの知識など覚えることはさまざまです。新しい知識と出会うことを楽しいと感じたり、もっと知りたいと思えるようなタイプが合っていると思います。
そして、マルチタスクが得意な方も向いていると思います。カフェの業務をしながら、お客様や店内の雰囲気を把握して音楽にも気を配るなど、やることは多いです。ひとつのことに集中してしまう人よりも、視野が広く、今の状況を読み取ってすぐに行動に移せる人ではないと、仕事がキツイと感じてしまうかもしれないです。
音楽の知識はどれくらい必要?
詳しいに越したことはないですが、必ずしも詳しいことが採用の条件ではないと思います。僕自身もここで働く前はPOP系しか聴いておらず、JAZZなどの知識はまったくなかったので。音楽に詳しいこともよりも、ある程度、飲食業の経験があるほうが採用されやすいと思います。レコードに関われるのは、カフェ業務がある程度できてからになるので、まずは接客やドリンクの作り方、会計などに慣れていることが重要です。
まとめ
レコードカフェの仕事は、音楽の知識よりも飲食店業務の基本が重要なのがわかりました。飲食店経験があり、次のステップに進みたい人や音楽が好きな人はトライしてみてはどうでしょうか。
epulor
https://epulor.jp/
取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造