寿司職人になるには? 修行や仕事内容、年収、向いている人、履歴書の志望動機の書き方
カウンターの中で寿司を握る寿司職人は、料理人憧れの仕事です。この記事では、寿司職人になるためにはどうすればいいのか、そして実際の仕事内容や年収、職人に向いている人、応募の際の志望動機の書き方などを解説します。
寿司職人になるには
寿司職人になるには、主に2通りの方法があります。一つは養成学校に入学し、すし職人に必要な知識や技術を学んでから寿司屋に就職する方法で、もう一つは店に弟子入りして、見習いとして数年に渡って修業しながら技術を習得する方法です。
養成学校で学んでから寿司屋に就職する
すし職人を目指すための養成学校にはいくつか種類があり、数週間から数カ月で卒業できる短期のアカデミーや、1年~3年かけて調理師専門学校のすし職人コースなどで学ぶ方法があります。寿司職人になるのに資格は必要ありませんが、調理師免許を取得しておくと有利です。
授業では、和包丁の使い方や出汁の取り方、煮る、揚げる、蒸す、焼くなど基本的な調理法を修得するほか、食材の理解や活かし方、盛り付け方法など実践的な内容を学びます。学校に通うメリットは、幅広い技術を身に着けられる点や、すぐ寿司を握ることが出来る点です。また、学校で就職を斡旋してくれるのも魅力でしょう。
ただし、アカデミーや専門学校で寿司職人の技術や知識を身に着けても、就職後すぐにお客様の前で寿司を握れることは少なく、実際にはしばらく見習いとして働きながらそのお店のやり方を覚え、店主に認められてからようやくお客様の前で握れるようになるのが一般的です。
寿司屋に弟子入りし、修行して学ぶ
寿司屋に弟子入りして修行するメリットは、給料をもらいながら現場で技術を学べる点です。養成学校のように初めから包丁を握れないところもあるため、全てを経験するまでには学校より時間がかかることも多くあります。一般的には皿洗いや出前、ホール担当から始まり、2~3年目に飯炊きや焼き物、煮物などのサイドメニューやまかないの調理などを任され、その後巻き物、最後に握りを客前でできるようになるという流れです。店舗により任され方や年数は異なります。
数人の小規模な寿司屋では、朝の仕入れ、夜の営業のための仕込みや営業まで担当するところも珍しくなく、仕事に関わる時間が長くなりやすい傾向にあります。一方で、師匠やお客様との距離も近いため、仕込みや盛り付け方、寿司の提供の仕方や会話術など、学校では経験しにくいことも間近で見ながら学ぶことができます。
寿司屋に弟子入りするには、ハローワークや求人サイトで探して応募する方法があります。
寿司職人の仕事内容
寿司職人の仕事内容は働く店舗の規模によって異なります。
個人店や店舗数の少ない寿司屋
個人店や店舗数の少ない寿司屋では、店舗ごとに毎朝市場へ出向いて魚の仕入れを行います。仕入れは寿司職人が行う場合もあれば、仕入れの担当がいる場合もあります。
仕入れ後は魚を捌き、たれに漬けたり酢で締めるなどの仕込み作業を行い、昼や夜の営業に備えます。ランチタイムを実施していないお店の場合は、日中数時間が空くこともあります。夜はお酒を飲みながらゆっくり食事を楽しむお客様が多いので、客に合わせて握るスピードを変えるなど、臨機応変に対応します。また、寿司職人との会話を楽しみにくるなじみの客なども多いので、丁寧な接客でお客さまをもてなします。
大型店、チェーン店など
複数階あるなど席数の多い大型店やチェーン店などでは分業化されていることが多く、店にもよりますが、仕入れは本部や仕入れ担当が行い、職人は捌くところから担当することが多いようです。
仕事内容は個人店と大きく変わりはありませんが、昼と夜、両方営業している店舗が多いので、それぞれに合わせた仕込みと調理を行います。
営業時間が始まると、混み合う時間帯はスピーディな対応が必要になります。
寿司職人の年収、給与
寿司職人に絞った統計ではありませんが、厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると、飲食物調理従事者の平均月収は23.5万円、平均年収は312.7万円です。入社1年目の平均月収は18.6万円、平均年収は227.2万円となっています。
出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
(職種)第14表/職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)/年収は、飲食物調理従事者 所定内給与額の12乗に年間賞与その他特別給与額を加算
寿司職人に向いている人
寿司職人は自分が握ったお寿司をお客さまに食べてもらう仕事です。「美味しい」と食べてもらえることに喜びを感じられる人や、食で人を笑顔にしたいと思える人が向いています。カウンター越しに会話を楽しみたいお客様もいるので、人と話すのが好きだといいでしょう。
また、職人になるには長い見習い期間を経験する必要があり、日々の業務では店長、職人、ホールスタッフのチームワークが欠かせません。目標を目指してコツコツ前向きに取り組める人や、やる気がある人、周りを見て何をすべきか判断できる人が向いているでしょう。
寿司職人の履歴書・志望動機の書き方
寿司職人の志望動機を考えるときには、「なぜ寿司職人になりたいと思ったのか」「なぜその店で修行をしたいか」を明確にしましょう。
寿司や日本伝統の食文化への興味、憧れの店への思いなど、寿司職人を目指したきっかけとともに、店のサービスや技術など、応募した店のどこに魅力を感じたかを合わせて伝えます。最後に「自分の店を持ちたい」「料理長を目指したい」など、将来どのような職人になりたいかという意欲を伝えるといいでしょう。
■「早く一人前になりたい」というやる気をアピール
「両親が寿司好きだったこともあり、小さな頃から寿司屋にはなじみがありました。カウンターで寿司を握る職人に憧れ、将来は寿司職人になりたいと目指すようになりました。御社の、日本の食文化を守りたいという経営理念にも強く共感しており、ぜひこの店で修行をさせていただきたいと思っています。やるからには、板前を目指す同世代の誰よりも早く一人前になりたいです」
■「将来自分の店を持ちたいので店舗業務全般を学びたい」と学ぶ意欲をアピール
「子供のころから寿司が好きで、よく親と一緒に魚を捌いて自宅で手巻き寿司や握り寿司を作っておりました。和食全般にも興味があり、いつか自分の店を持ちたいと思っております。御社は、寿司の美味しさはもちろん、職人さんやホールスタッフの接客が心地よく、もてなしの気持ちが伝わるお店だと感じました。修行は厳しいと思いますが、お客さまを笑顔にできる店作りをこちらで一から学ばせていただきたいと思っています」
まとめ
寿司職人を目指す際に、学校で学ぶか、弟子入りするか迷う場合は、将来どんな寿司職人になりたいかイメージしてみましょう。
国内の高級店や個人店で、お客さまとじっくりコミュニケーションを取りながら寿司を握る職人になりたいなら、実際の店に弟子入りしてみるのもいいかもしれません。一方、海外で店を出したいなど、短期間で技術を習得したいと考える人は、養成学校もおすすめです。