カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」100円ショップバイト編
無職になって二度目の夏、ある日、窓からポスティングの仕事をしている人が見えた。
そういう仕事も良いかもしれない、と思ったが、その日も結局一歩も外に出なかった。
しかし、外に出るとつい金を使ってしまうものだ。
つまり「外に出ない」というのは無職のライフハックである。無職としての大切な仕事術なのだ。
無職に就きたいという人はメモっておこう。
今回紹介するのはそんな、あまりお金を使いたくない人の味方とも言える店のアルバイトだ。
「100円ショップの店員」である。
「100円ショップ」、「100円均一」と店名に大きく書かれ、親しみを込めて「100均」とも呼ばれるこのお店は、ちょっとした消耗品が欲しい時など非常に便利な存在である。
安いだけでなく、どの商品も「これを100円で売って大丈夫か、店の社員はこの価格帯で三食食えているのか」と心配になるくらいハイクオリティだ。
しかし、使う側としては頼もしい存在でも、働くとなったらどうだろう。
まず主な業務は「レジ打ち」「商品の品出し、陳列」「掃除」だ。
内容としてはスーパーと似ているが「スーパーを経験しているなら、100均はぬるゲー」と評す人もいる。
何故なら、100円ショップの商品は基本は全て「100円」だからである。
「そこのお前、レモン1個に含まれるビタミンはレモン1個分だぜ」みたいなことを言ってしまったが、これは重要なことである。
商品の値段が全部同じなので、他の小売店より、レジ業務が簡単なのだ。
たまに100円ではない商品を置いている店もあるので油断は禁物だが、100均のバイトでお客さんから商品の値段を尋ねられて窮することは少ないだろう。
ただ惜しいことに、100均で商品の値段を聞いてくる者もあまりいない気がする。豊富な商品値段知識を披露する機会は少ないかもしれない。
このように、値段を覚える必要はあまりないが、商品に関してはある程度把握する必要はある。
100円ショップは商品の種類が多いため、お客さんとして利用する際もなかなか目的の品が見つからないことがある。
私は若干コミュニケーション能力に難があるので、店員には聞かず永遠に店内を彷徨い続けるが、多くの人が100円ショップに永住するより「店員に聞く」ことを選ぶと思う。
100円ショップで働くなら商品位置は覚えなければならない。
さらに、100円ショップ界は群雄割拠で生き馬の目を抜く世界らしく、商品の入れ替わりも早いようで、その点は少し大変との声もある。
しかし、100円ショップのアルバイトには、服装、髪型、ネイルなどが比較的自由、という特徴もあるようだ。
ウルヴァリンレベルのネイルだと厳しいが、常識的な範囲であれば、バイト中でもオシャレが可能である。
また、「高校生可」のところも多いので、レジの簡単さも含めて、初めてバイトするなら100円ショップが良い、という人もいる。
ただ、仕事に慣れ「こやつデキる」と見込まれた場合は商品の「発注」を任されることもあるらしい。
どの商品が売れるかなど意識しながらの仕事になるので、学生ならば貴重な社会経験になるが、たまにツイッターなどで「間違ってプリンを1000個発注してしまいました、半額で良いので買いに来てください」という悲痛なつぶやきを見かけるので、発注業務は特に注意が必要だ。
そして「100円ショップの商品に詳しくなれる」こともメリットである。
100円ショップの商品というのは安いだけではなく、むしろそこにしか存在しないような、知る人ぞ知る掘り出し物があったりする。
よくツイッターで「こんなヤバいものを100円ショップで見つけた」という、つぶやきを見かける。
さっきからツイッターの話ばかりしているが、本当に私はツイッターばかりしているのだから仕方がない。
そしてそういうつぶやきは「バズっている」ことが多い。
つまり、100円ショップでアルバイトをし、そこで見つけた、人が知らないような良い商品を紹介すれば、SNSの人気アカウントになれるのこともあるのではないだろうか。
だからどうした、という話だが、少なくともカレー沢時間にすると一日68時間ツイッターをやっている私にとっては大きなメリットなのである。
自分のSNSに「売り」が欲しい人にも100円ショップでのアルバイトは良いかも知れない。
あと「セール」のような、値段が変動したり、特に混雑するイレギュラーな日がなさそうなのもよい。一度仕事を覚えれば長く続けていけるだろう。
しかし、稀に店舗によっては在庫処分などで「4品100円」などのセールをしているのを見たことがある。そんな日は、店員と言えど、気が付いたらイチ早く買ってしまうかもしれない。ましてや、現在無職の私にとってはまたとないビッグチャンスなのは言うまでもない。
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バイトなど仕事を選ぶとき、給料や勤務時間重視で仕事内容はこだわらないという人と、どうせなら少しでも自分の好きな分野で働きたいという人に別れると思う。今回のバイトは、人によっては「好きな物に囲まれた仕事」と言える。今回紹介するのは「パン屋」のアルバイトだ。
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