カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」ポスティングバイト編
無職に伴う隠遁生活も早二年、たまに外界の人間に接すると、動機、めまい、吐き気、頭痛、腹など、死なない程度の体調不良が全て押し寄せる。
万が一働くとしても、出来るだけ人と接しない仕事であることがマストだろう。
さもなければすぐに「労災だ!」と言い出す厄介な人になってしまう。
今回紹介するアルバイトは、そんな条件をかなり満たしてくれていると言って良い。
「ポスティングアルバイト」これが今回のテーマだ。
うちの郵便受けの中にも「キッズ英会話教室」等、37歳児と40歳児しかいない世帯には全く無用のチラシが入っていることがある、それを配るのが「ポスティング」の仕事だ。
チラシを自転車やバイクなどで持って回り、郵便受けに入れて行くのが主な業務である。
作業自体は地味な単純作業なのだが、意外にも「スキル」により、収入や待遇が変わって来るアルバイトなのである。
まず、ポスティングには時給・日給制と歩合制がある。
時給・日給制は、指定された時間内にチラシを配布完了させ、時給を受けとるタイプである。
この場合、給料は定額になるが、その分時給や日給が保証されている、とも言える
歩合制の方は「チラシ1枚○円」と配った量に応じて報酬が貰えるタイプだ。
こちらは早く多く配れるほど収入がアップする。
また担当した地域のチラシの反響度が高ければ、単価が上がったり、チラシの枚数が増えるということもあるようだ。
一度に配るチラシが1枚から2枚になれば、単純に考えて収入が2倍である。
もしかしたら「こいつの配ったチラシは反響度が違う」「普通のバイトが1枚配る間にあいつは10枚配る」と言ったような、“トップポスティンガー”も存在するのかもしれない。
このように、誰にでも出来る仕事でありながら、歩合制は実力が物を言う世界なので、単純作業にはやりがいを感じない、という人にもおすすめ出来る。
気になるポスティング・チラシ配りバイトは
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また、配る時間帯は問わない、という場合も多いため、自分の自由な時間に働けるというメリットもある。
前述の通り、人と接しなくても良い、むしろポスティングの仕事は人と接しないようにすることが仕事、と言っても過言ではない。
お子さんのいないご家庭に、子ども英会話教室のチラシなどは、人によっては「無用!」、と感じる人もいる。
そういう人と鉢合わせしてしまうと、怒られたり、クライアントに苦情が行ってしまうケースがある。
よって、どれだけ人に会わず、気づかれずにチラシを入れるかがポスティングのコツなのだ、現代の「忍」と言ってもよい。
だからと言って、鎖帷子(くさりかたびら)に黒装束で配るのもダメだ。
不審者と思われても苦情が出るし、最悪ポリス沙汰になってしまう。
よって、いつ配っても良いと言っても「ポスティングに適した時間帯」というのはあり、その時間に配るのもポスティングのコツ、と言える。
私は今年度、地区の班長で広報誌を配るという仕事をしているのだが、近隣の住民と出くわさないよう、特に子どもに恐怖を与えないため、日が沈んでから配るようにしているのだが、運悪く住民と出会ってしまい、驚かれたことが何度もある。
このように、暗い中、近所をウロウロして、人様宅の郵便受けに何か入れようとしている奴というのは、相当な不審者なのだ。
よって、夜以降の配布というのは避けたほうが良い。
夕方など、住民が帰宅してくる時間帯も鉢合わせ度が高いのでお勧めできない。
皆が仕事や学校に行っている日中、それも昼食を取るため屋内にいる率が高い12時・13時がお勧めらしい。
長時間ダラダラ配るより、このボーナスタイムに、スターをとったマリオの如く超高速で配った方が、苦情や通報などのリスクを減らすことが出来るのだ。
しかし、ただポストを見ればチラシを突っ込むという節操のない配り方もいけない。
なぜなら先手を打って「ポスティング禁止」を掲げている家やマンションもあるのだ。
禁止されているのに「拒まれた方が燃える」という感覚でポスティングすると、当然高確率で苦情が来る。まず、禁止されてないか確認し、されていたら大人しく引き下がるのがルールである。
また、ポスティングは担当エリアが重要だという。
マンションや集合住宅地が多いエリアなら、戸数も多く、配りやすいので効率良く稼ぐことができる。
逆に、ハリウッド俳優しか住んでない様な高級住宅地は、1ブロックに数軒しかない上、移動距離も長くなってしまうので、効率が悪い。
よって、ハリウッド風エリア担当になってしまった場合は、旨味が少ないので配置を変えてもらうなど相談が必要だ。
また、チラシをもって長時間自転車をこいだり、歩いたり、ある程度体を使う仕事なので、雨の日は自分はずぶ濡れになってもチラシだけは死守しなければならない。
そういった天候や季節に左右される仕事と思っていた方が良い。
ポスティングはむしろ人に接さない方が高評価な「逆接客業」ということで、かなり私向けと言える。
しかしやるなら絶対、うちの団地担当にはなりたくない。すでに夜中に広報を配る不審者と思われているのだ、これ以上不審に思われるのはヤバい。
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働いていないから悪いというワケではないが、親戚の集まりの居心地だけに関しては「働いていた方が良い」と言わざるを得ない。だがバイトを始めようにも、接客業には向いていないし、体力にも自信がない。「ならば一体、何なら出来るんだ?」と聞かれたら、憮然とした表情で「息?」と答えるしかない。しかし、そんなタイプでも「出来るかも」と希望が持てるのが、今回紹介するアルバイトだ。「データ入力」。これが今回紹介するアルバイトだ。

相変わらず自宅から出ていない。私のような、家から出ない無職を「自宅警備員」と呼ぶことがある。自宅警備員の本格活動は、主に家族が寝静まったころに始まる。顔を合わせると小言を言われて煩わしいからだが、ある意味「寝ずの番をしている」と言っても良い。仕事は、冷蔵庫の在庫処理などだ。こうすることにより、家族が賞味期限切れの食品を食べてしまうことを防ぐ、つまり自宅だけではなく家族の健康をも守っているのだ。
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