廣瀬大介インタビュー2 ~バトンでつなぐ「明日のつくり方」~
ヘルプで他店に行くと、ちょっと浮いていた
―高校生の時からアルバイトをされていたんですね。
高校生の頃は、お小遣いが欲しかったし、周りもバイトし始めたりしたこともあって、焼肉店でホールのアルバイトをしていました。
それこそタウンワークで(笑)近所のバイト先を探しましたよ。最初は兄が同じ焼肉店の他店舗で働いていたから、という特に深い理由ではなかったですが、2年くらい働くうちに中央線内の系列店の中で一番優秀なホールスタッフとして選ばれたりもしました。
中央線沿線って、焼肉店すごく多いんですよ。だからその中で選ばれたことはかなり名誉なこと(笑)。まだ高校生だったからホールリーダーにはなれなかったけど、賞をもらえたことはうれしかったです。
ホールの接客っていろんな形があって、いろんな正解があると思うんです。スピード重視なのか、お客様への丁寧さなのか。もちろん両方実現できるのが理想ですけど、僕の場合はお客さん重視!
たとえば近くのお客様が困っていても、「今お伺いします」って声をかけておいて一度スルーしちゃうことが多いんですが、そこもちゃんと立ち止まって、膝をついてお伺いする、みたいな。
焼肉店って回転が早いので、普通はお客さん一人ひとりに時間をかけるよりもお店をまわすスピードが大切なんです。だから僕は接客が丁寧すぎるって言われていました。ヘルプで他店に行くとちょっと他のスタッフから浮いていたくらいです(笑)。
でも「今日はいるかなと思って来たよ」って言ってくれるお客様もいたりしてうれしかったですね。年配の方から若いカップルまでいろんな人が顔を覚えてくれるんです。焼肉店でリピーターってすごくないですか?(笑)そのうちクレーム対応で呼び出されるスタッフになったりもしました。でもその役目を高校生に任せていいのかっていう疑問はありますけど(笑)
もちろんいいことばかりじゃなくて、心残りもありますよ。それはキッチンに入れなかったこと。
キッチンは盛りつけ一つとっても、どれだけ早くお肉を皿に盛れるかというスピードが命なんです。僕は真面目すぎたのか、多く盛りすぎたらお店の利益が減っちゃうし、かといって少なすぎたらクレームになっちゃうし…って(笑)すごく考えすぎちゃうせいでうまくいかなかった。「邪魔だ」って追い出されちゃったんです(笑)。
厳しいけれど、憧れられる存在
―そのお仕事にそこまで全力になれた理由はなんでしょう?
店長がそういう方だったんです。当時は店長もまだ若かったと思いますが、まだまだ子どもの自分からすればすごくカッコいい大人だった。
いつも必ず笑顔で丁寧。しっかり頭を下げてお辞儀して、帰り際にも頭を下げてお見送りしてって。相手が年下でも同じです。とにかく徹底していてすごいなって。そういう店長の姿を見ていて、自然とそれが当たり前だと思うようになりました。
今思い出しても、店長はいい顔してましたよ。やっぱり人柄ってあるんじゃないですかね。やる気があって熱量の度合いがすごい人でした。新店のオープニングの時も、疲労がたまって身体は辛いはずなのに、仕込みの方法は自分しかわからないからって、休まず一人キッチンに入って仕切っていましたし。
厳しいし、怒れば恐いけれども、こっちが憧れられる存在でもある。ちゃんと下のスタッフに愛情を持って接して、かわいがってくれる。そういう姿に惹かれました。
実はその焼肉店は一度途中で辞めてるんです。理由はその店長が異動になったから。お世話になった店長がいないなら僕もって言って辞めたんですが、その店長が「一緒にやらないか」って異動先の店舗に誘ってくれたんです。それで引き戻されました(笑)。それくらい、影響を受けた人でした。
尊敬できる店長との出会いが、接客への情熱につながっていったんですね。次回は廣瀬さんのこれからについて。独自の視点で語っていただきます!
廣瀬大介 Daisuke Hirose
1991年6月3日、東京都生まれ。2010年gunjiPRODUCE Vol.98『ミュージカル~LOVE~真夏の夜の夢』で俳優デビュー。以降、舞台作品を中心に活動中。主な出演作品はミュージカル『薄桜鬼』シリーズ、ミュージカル『ヘタリア』~Singin’ in the World~、『大正浪漫探偵譚~君影草の設計書~』、『刀剣乱舞』虚伝燃ゆる本能寺など。
撮影:田形千紘
※撮影地:焼肉トラジ 国際フォーラム横店 http://www.ebisu-toraji.com/shop/tokyo/ginza/tkf/
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