パート・アルバイトも厚生年金保険に加入できる!加入条件と適用範囲の拡大、メリットなど解説

パートやフリーターなどのアルバイトも、一定の条件を満たすと勤務先の厚生年金保険に加入することになります。この記事では、勤務先で厚生年金保険に加入するための条件や加入のメリット・デメリットなどを解説します。
- パート・アルバイトなど雇用形態に限らず条件に該当すれば加入義務があります
- フルタイムの正社員の3/4以上で、2ヶ月を超える雇用見込みの場合
- あるいは、週の所定労働時間が20時間以上などの条件を満たす場合です。
厚生年金保険とは
厚生年金とは、会社員や公務員が加入する公的年金です。保険料は、毎月の給料をベースに算定される標準報酬月額に保険料率を掛けて算出され、勤務先がその半分を負担します。この保険料には国民年金の分も含まれているため、 将来は「老齢基礎年金(国民年金)+老齢厚生年金(厚生年金)」の2階建てで、原則65歳から支給されます。

厚生年金と国民年金の違いとは
厚生年金と国民年金の違いはいくつかありますが、中でも重要なのは「受給資格期間」の数え方です。年金を受け取るには、国民年金と厚生年金の加入期間をすべて合わせて「10年以上」あることが前提となります。国民年金には、状況に応じて保険料の猶予や免除制度があり、これらも10年の期間にカウントされます。
この「合計10年以上」という条件を満たしていれば、厚生年金は1ヶ月以上の加入で、その期間に応じた額が2階部分として上乗せして支給されます。
アルバイト先の厚生年金に加入した場合、厚生年金保険料は給与から差し引かれ、国民年金保険料を別に支払う必要はありません。厚生年金に加入していない20歳以上60歳未満の人は、第3号被保険者などを除き、原則として国民年金保険料を自分で支払います。
厚生年金加入のメリット・デメリット
加入のメリット
・障害厚生年金・遺族厚生年金がもらえる
・医療保険(健康保険)の給付が手厚くなる
・保険料は会社が半分負担してくれる
厚生年金保険をはじめとする社会保険に加入するメリットは、将来の年金が上乗せされること、また医療保険(健康保険)の給付が手厚くなり、病気やケガで働けない期間の「傷病手当金」などの保障が受けられる点や、万が一の際の「障害厚生年金」「遺族厚生年金」を受け取れることなどがあります。
加入のデメリット
例えば、会社員や公務員の夫(厚生年金・健康保険の被保険者)の扶養に入っている妻(第3号被保険者)の場合、妻自身の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は発生しません。そのため、扶養を外れると妻自身も社会保険料を支払うことになり、社会保険料の負担が世帯として増えるのがデメリットです。
なお、夫が自営業などの個人事業主で、妻が国民健康保険や国民年金に加入している場合、社会保険の扶養という制度は適用されません。そのため、自身で社会保険に加入した方が、かえって保険料の負担が減るケースもあります。
厚生年金保険の加入条件
法人(株式会社、合同会社等)や常時5名以上の従業員を雇う個人事業所(一部業種を除く)は、社会保険に加入する義務があります。これらの事業所で働く従業員は、パート・アルバイトを含め2ヶ月を超える雇用見込みや勤務日数、勤務時間などの諸条件を満たす場合に加入義務が発生します。
フルタイムの正社員の4分の3以上勤務する人
パートやアルバイトなどの雇用形態に関わらず、以下の条件をすべて満たす場合は社会保険への加入義務があります。
この条件は、会社の規模や年収額に関わらず適用され、学生であっても条件を満たせば加入対象となります
労働時間・日数:
「1週間の所定労働時間」および「1ヶ月の所定労働日数」が、同じ職場のフルタイム正社員の4分の3以上であること
雇用見込み:
2ヵ月を超えて雇用される見込みがあること
フルタイム正社員の4分の3未満でも加入条件を満たす人
フルタイム正社員の4分の3未満でも、次の条件をすべて満たすパートやアルバイトは社会保険への加入義務があります。
<社会保険の加入条件>
1.勤務先が対象企業等であること(原則として厚生年金保険の被保険者数が51人以上。2027年10月から36人以上へ拡大し、その後も段階的に拡大)
2.週の所定労働時間が20時間以上であること
3.雇用期間が2ヶ月を超える見込みがあること
4.学生でないこと(夜間学生や定時制学生などは加入対象となるケースあり)
手取りへの影響と将来の年金を踏まえて働き方を考える
社会保険料の負担額は収入にもよりますが、新たに社会保険に加入する場合は一定の負担額が発生します。加入条件を満たした場合は、社会保険に加入するかどうかを選ぶことはできません。今後の働き方は、保険料による手取りへの影響と将来受け取る年金額の両方を踏まえて検討しましょう。
渋田貴正
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/
※公開履歴:
2019年07月26日
2024年10月1日
2026年9月29日
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。