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2021年10月27日

【専門家監修】パートの社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件とは?メリット・デメリットと損しない働き方

パート 社会保険 タウンワークマガジン townworkパートとして働く場合、年収や労働時間などによって社会保険の加入対象になる人とならない人がいます。今回はパートとして働いている人向けに、パートが社会保険に加入するメリット・デメリット、損をしないための働き方についてご紹介します。

社会保険とは?

社会保険とは、年金保険、医療保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5種類を指す国が運営する公的な保険制度のことですが、狭い意味で、会社勤めなどの雇用者を対象にした健康保険(けんぽ等)と厚生年金保険の2つを示す場合もあります。

社会保険の加入条件に当てはまると加入義務が発生し、保険料は、雇用者もしくは雇用主、または両者で負担します。加入条件は、それぞれの立場や働く日数や時間、収入額によって異なりますが、夫や親などの社会保険の扶養に入っている人でも、その条件に当てはまると自身の勤務先で加入することになります。そうなれば扶養から外れ、自ら保険料を払う事になります。

ここでは、パートやアルバイトで働く人が社会保険の対象となるケースについて解説します。

 

パートの社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件

社会保険完備の会社で働く場合、1カ月以内の短期契約でないパートやアルバイトも社会保険の加入対象になります。以下のうち、いずれかの条件を満たす人は加入する義務があるので、詳しく見てみましょう。

①勤務時間及び日数が、正社員の4分の3以上

パートやアルバイトなど短時間労働者の社会保険の加入条件は、常時雇用者(≒フルタイムの正社員)の月の労働日数と1日の労働時間が4分の3以上であることが必要です。
この条件は、社会保険完備の勤務先で働く場合、会社の規模、年収の額、社会人か学生かに限らず、適用されます。

②年収106万円以上など5つの条件を満たす

通称、106万の壁に関係しています。勤務先が従業員数501名以上(厚生年金の被保険者数)の場合、週の労働時間が20時間以上で、なおかつ決まった月収が8万8000円以上、雇用期間が1年以上である(見込みを含む)パートやフリーターなどは、社会保険の加入対象になります。
ただし、この条件は学生には適応されません。

<5つの条件>
1.週の所定労働時間が20時間以上であること
2.賃金月額が月8.8万円以上(*1)(年約106万円以上)であること
3.1年以上の使用されることが見込まれること
4.従業員501名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いていること(*2)
5.学生でないこと(※夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある)

(*1)以下は1ヶ月の賃金から除外できる。
・臨時に支払われる賃金や1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
(*2)厚生年金の被保険者数が500人以下の企業でも、「労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することに合意すること)に基づき申し出している」又「地方公共団体に属する事業所」であれば、501人以上の要件を満たすことになります。

 

令和4年と令和6年に、社会保険の適用範囲が拡大

令和4年(2022年)10月と令和6年(2024年)10月には、法改正により、段階的に社会保険適用の範囲が拡大され、対象者が増えます。変更点は、事業所規模と使用期間の二つで、変更内容は以下のようになっています。

<令和4年(2022年)10月の改正>
事業所規模…501名以上から101名以上へ
使用期間…1年以上から2カ月を超える期間へ

<令和6年(2024年)10月の改正>
事業所規模…101名以上から51名以上へ
使用期間…2カ月を超える期間のまま変更なし

 

パートが社会保険に加入するメリット

「パートは扶養の範囲内で働けばいい」と考える人もいるかもしれませんが、社会保険の加入にはメリットもあります。

自己負担額が減る

厚生年金保険料と健康保険(協会けんぽ等)の健康保険料は、労働者側と雇用者側が原則として折半して支払います。そのため、社会保険に加入すれば、支払うべき保険料の半分を企業が負担してくれることになります。
例えば自営業や個人事業主などの場合、国民健康保険と国民年金は全額自分で支払う必要があるので、社会保険に加入したほうが少ない自己負担で済む可能性があります。

老後に受け取れる年金額が増える

厚生年金保険に加入すると、国民年金から将来受け取れる基礎年金の額に、在職中に支払った厚生年金の保険料に応じた金額を上乗せしてもらうことができます。
また、厚生年金保険の加入期間が長い分だけ、将来上乗せされる年金の額も増えます。

老後に受け取れる年金額のイメージ

保障制度が手厚い

社会保険の被保険者は、条件を満たしていれば手厚い保障制度を受けることができます。もちろん社員だけでなく、パートも対象です。
例えば、けがや病気を理由に3日間連続で休む場合、給与の支払いを受けられないなどの条件を満たせば、4日目以降に傷病手当金の受給が可能です。
出産手当金や出産育児一時金なども、要件を満たしていればパートにも支給されます。

 

パートが社会保険に加入するデメリット

給与の手取り額が減る

これまで専業主婦だった人や扶養の範囲内で働いていた人など、被扶養者だった人は、社会保険に加入すると毎月の手取り額が減り、損をする場合があります。
パートで働く人の収入の目安の一つに、「130万円の壁」があります。配偶者の扶養に入っている20歳以上60歳未満の人で1年間の収入が130万円未満の場合は、「第3号被保険者」として国民年金に加入できるため、保険料を自己負担する必要がありませんでした。
例えば30代主婦で、東京都内在住、年収が129万円のパートの場合、所得税と住民税合わせて5万円弱程度が手取りから引かれますが、年収が130万円になると、さらに社会保険料も負担することになるので、手取りはすべて合わせると20万円程減ることになります。

◆年収129万円(通勤交通費無)での所得税と住民税(2020年4月時点)
【所得税】

課税対象129万-55万-48万=26万×5%×1.021=13,273(→端数処理後13,200)円 …①

【住民税】(東京都の場合)
課税対象129万-55万-43万=31万
(都民税)31万×4%-1,000=11,400円+均等割1,500円=12,900円
(特別区(市町村)民税)31万×6%-1,500=17,100円+均等割3,500円=20,600円
合計33,500円 …②

①+②=46,700円

◆年収130万円の社会保険料と所得税・住民税
【所得税】

課税対象130万-55万-48万-189,816 =80,184(課税される額80,000)×5%×1.021=4,084(→端数処理後4,000)円 …①

【住民税】(東京都の場合)
課税対象130万-55万-43万-189,816=130,184(課税される額130,000円)円
(都民税)130,000×4%-1,000=4,200円(4,200)+均等割1,500円=5,700円
(特別区(市町村)民税)130,000×6%-1,500=6,300円(6,300)+均等割3,500円=9,800円
合計15,500円 …②

【社会保険料】(協会けんぽ(東京都)、40歳未満の場合)
130万÷12カ月=108,000=標準報酬月額110,000円
(健康保険料5,428円+厚生年金10,065円)×12カ月=185,916円 …③
雇用保険料…130万×0.3%=3,900円 …④
③+④=189,816円 …⑤

①+②+⑤=209,316円

 

106万円や130万円の壁に悩むパートの対処法

夫の扶養に入っている主婦主夫の場合、扶養を外れると、保険料を自己負担するため、目の前の手取りは減ってしまいます。今は、手取りを大事にしたい人は、どうすればよいでしょうか。

130万円未満に収入を押さえる

130万円以上になると、どんな働き方をしていても自ら社会保険に加入することになります。どうしても社会保険に入りたくない場合は、毎月の働き方を調整して130万円を超えないことが大前提です。

掛け持ちして収入を分散させる

勤務先の社会保険の加入条件は、1つの勤務先での働き方によります。掛け持ちをして、複数の勤務先からパート代をもらうことで、加入条件に該当しないような調整がしやすくなります。その際、メインのパート先で、106万円の壁に当たらないように調整することが必要です。そうすれば、130万円未満までは、扶養に入ることができます。

106万円以上の加入条件で1つでも該当しないものを探す

1つのパート先で続けたい場合は、106万円の条件を1つでも満たさなければ、社会保険の加入対象ではなくなります。自分が出来る範囲で、調整できる条件を考えてみましょう。

・従業員数が500名以下の所で働く、または
・月8.8万円未満の時期を作る、または
・週20時間未満にする、または
・1年未満で違うところに移る

 

社会保険のメリットとデメリットを考慮して、働き方を検討しよう!

「手取り額を減らしたくない」という人にとっては、パートで社会保険に加入することにデメリットを感じるかもしれません。しかし、老後にもらえる年金の額が増えたり、休職・退職時に手厚い保障を受けられたりするなど、社会保険に加入して得られるメリットも少なくありません。
人によっては収入を調整するのではなく、社会保険に加入して働く時間を増やしたほうが、結果として得をするケースもあるでしょう。
パートとして働く際は、社会保険に加入するメリット・デメリットを知った上で、自分自身の働き方を検討してみることをおすすめします。

 
監修/トミヅカ社会保険労務士事務所 http://www.office-tomizuka.com/

※更新履歴
2019年4月7日公開
2020年8月17日更新
2021年10月27日最終更新

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