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2023年11月01日

パート主婦にとって「扶養に入る」メリットとデメリットとは

パート主婦 扶養に入る タウンワークマガジン townworkパートで働く主婦や主夫の人は、「扶養に入る」という言葉を耳にすると思います。この記事では、扶養とは何なのか、夫や妻など配偶者の扶養に入るメリットとデメリットについて解説します。

※夫など世帯主がパートで働く妻を扶養するケースとして解説します。

扶養に入るとは

扶養とは、経済的な自立が難しい親族や家族を支援することを指します。具体的な制度は、扶養者の税金負担を軽くする税制上の扶養と、扶養者が会社員や公務員の場合は、家族の社会保険料の負担をなくす社会保険上の扶養の2種類があり、税制上の扶養と、社会保険上の扶養の適用には、収入上限の条件がそれぞれ別々に定められています。

税金の扶養

妻の年間の収入が一定額以下の場合、扶養者である夫は配偶者控除が適用され、夫の所得税と住民税が減税されます。配偶者控除を受けるには、被扶養者である妻がパートで働く場合、年収103万円以下が条件となりますが、配偶者特別控除の満額が適用される年収150万円以下までは、103万円を超えても減税効果は変わりません(ただし扶養者の所得が1,000万円を超えると配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません)。配偶者特別控除は、年収150万円を超えると控除額は徐々に減りますが、年収201.6万円以下まで控除枠があります。

社会保険の扶養

夫が会社員や公務員で妻の月収108,333円以下(年収に換算すると130万円未満)(の場合、妻は夫の勤務先の社会保険の扶養に入ることができます。社会保険の扶養に入ると、健康保険は被扶養者、国民年金は第3号被保険者となり、保険料を負担することなく3割負担で医療機関を受診でき、国民年金も将来受給することができます。
ただし、2023年10月現在、妻のパート先が厚生年金の被保険者数101名以上の会社の場合は、月収8.8万円以上(年収約106万円以上)でパート先の社会保険加入義務が発生し、夫の扶養を外れる事になります(2024年10月以降は厚生年金の被保険者数51名以上の会社に拡大)。

 

扶養内で働くメリット

扶養に入るメリットは、税制上は夫が配偶者控除を受けられるので世帯の税金負担が軽くなること、社会保険は保険料負担なく被保険者となれることです。詳しく解説していきます。

夫の税金負担が減る

妻が夫の税制上の扶養に入ることによる減税効果は、収入によりますが5万円~15万円程度になります。
例えば、妻のパート年収が103万円以下で、夫の給与年収が500万円(適用される所得税率は10%と仮定)とすると、配偶者控除が満額適用され、減税効果の概算は、所得税3.8万円(控除額満額38万円✕夫の所得税率10%)、住民税3.3万円(控除額満額33万円✕税率10%)の合計7.1万円となります。

妻の保険料を払わず健康保険に入れる

妻が夫の勤務先の社会保険の扶養に入ると、妻は保険料を払うことなく健康保険の被扶養者となり、医療機関を3割負担で受診することができます。妻を扶養に入れた夫の社会保険料の増額もありません。

妻の国民年金保険料を払わず受給できる

社会保険の扶養は年金も対象になります。夫の扶養に入ると、妻の国民年金は第3号被保険者となり、国民年金保険料を負担せず、国民年金の受給資格を継続することができます。

夫の会社によっては扶養手当がもらえる

企業によっては、妻の年収が一定額以下であれば扶養手当を支給する場合もあります。企業独自の福利厚生制度になるため、扶養手当の対象となる人の条件はさまざまですが、一般的には妻の年収103万円以下や130万円未満としている企業が多いようです。

 

扶養内で働くデメリット

メリットがある反面、自身の稼げる年収に制限があるため、長期的には将来もらえる年金が増えないことなどデメリットもあります。

自身の年金は国民年金のみ

社会保険の被扶養者である第3号被保険者は、厚生年金はなく国民年金のみとなります。将来、世帯としては、夫の厚生年金と国民年金、自身の国民年金を受け取ることになります。仮に、配偶者が先に亡くなると、厚生年金の遺族年金と自分の国民年金を受け取ることとなるので、パート先の社会保険に自分で加入している人より年金額が少なくなりやすい傾向にあります。
国民年金の受給額は変動しますが、令和5年度では満額で年額795,000円、月額換算66,250円となります。

傷病手当金や出産手当金がない

健康保険から支給される、病気や怪我で仕事を4日以上休んだ場合の傷病手当や、出産の際に支給される出産手当金は、扶養に入っている妻など被扶養者は対象外となります。なお、育児休業給付金は社会保険ではなく雇用保険なので、妻本人がパート先の雇用保険に加入していれば支給されます。

▼雇用保険の加入条件の詳細
雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか(厚生労働省)

年収を106万円や130万円に抑える必要がある

税制上、配偶者控除・配偶者特別控除を満額受けるには妻の年収は150万円以下ですが、社会保険の扶養に入るにはパート先の規模により106万円未満、あるいは130万円未満に抑える必要があります。
そのため、もっと稼ぎたい、手取りを増やしたいと思っても、年収の上限を意識しなくてはなりません。

▼パート先の社会保険加入条件
パート・アルバイトの社会保険の加入条件とは? メリット・デメリット、損しない働き方

 

2023年10月から2年間、扶養を超えても手取りを減らさない支援策がスタート

扶養内で働くかは、家族の状況や今の手取りを重視するか、就業中の自分のアクシデントや将来の年金の備えを重視するかによって選択する必要があります。一方で、そのために働きたいのに収入を制限してきた人もいます。
そこで、令和5年10月から、パート・アルバイトで働く主婦が、従来の扶養を外れる働き方をしても手取りが減る心配をせずに済むような支援策を政府がスタートしています。令和7年9月末までは106万円の壁を越えて職場の社会保険に加入した場合も、社会保険料相当を企業に助成、また、時給UPや残業などで年収が増え、130万円の基準を超えた場合でも、扶養を外れない措置などが実施されています。
詳しくは厚生労働省のホームページで確認をしてみてください。

厚生労働省:「年収の壁・支援強化パッケージ

■監修
渋田貴正

司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/
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