ダブルワークの社会保険はどうなる?片方・両方・未加入の3パターンを解説

掛け持ちでダブルワークをすると社会保険に入らなければいけないのか、扶養から外れないか気になる方も多いと思います。結論から言うと、社会保険の加入条件は掛け持ち全体ではなく1社ごとに判定されるため、それぞれの勤務先で条件を満たすかどうかで、両方加入・片方のみ加入・どちらも未加入の3パターンに分かれます。
この記事では、加入パターン別の考え方と手続き、扶養の範囲内で働くための注意点、税金や確定申告についても解説します。
- ダブルワークの社会保険は、加入条件を各勤務先ごとに判断します/li>
- 加入条件に該当すれば、1社に加入、両方加入もありえます
- 1社ごとの条件は満たしていなくても、ダブルワーク合計年収が130万円を超えると扶養を原則はずれます
- ダブルワークは確定申告が必要になるケースがあります
ダブルワークの社会保険の加入パターン3
社会保険の加入条件は、掛け持ち先を含めた合計収入や合計労働時間ではなく、1社ごとに判定されます。
| パターン | 状況 | 結果 |
|---|---|---|
| 両方で加入 | A社・B社どちらも加入条件を満たす | 2社で加入。給与を合算して保険料を計算し、各社の給与から按分して天引き |
| 片方のみ加入 | 1社のみ加入条件を満たす | 条件を満たす1社のみで加入 |
| どちらも未加入 | どちらも加入条件を満たさない | 自分で国民健康保険・国民年金に加入が必要 |
各パターンの詳細は以下で解説します。
ダブルワークの社会保険:加入条件と扶養への影響
ダブルワークで社会保険に加入するかどうかは、1社ごとの就業状況で決まります。ここでは、加入要件の詳細と、扶養内で働いている場合に気をつけたいポイントを解説します。
社会保険の加入要件は勤務先ごとに判断する
社会保険の加入は掛け持ち全体ではなく、1社ごとに判断されます。51人以上の規模の企業で、週の所定労働時間が20時間以上・所定内賃金が月額8万8,000円以上・雇用期間が2ヶ月超の見込み・学生ではないというすべての要件を満たすと加入対象となります。なお、月額8万8,000円以上という収入要件は2026年10月に撤廃される予定のため、今後は週の労働時間が主な判断基準になります。
1か所のみ要件を満たす場合は、その勤務先のみで加入します。もう1社では社会保険料は発生しません。
2か所とも要件を満たす場合は、両方の勤務先で加入します。本人が主たる事業所を一つ選び「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所へ提出する必要があります。保険料は両社の報酬を合算して計算し、各社の給与から按分して天引きされます。
掛け持ちの合算が、年収130万円を超えると扶養から外れる場合がある
配偶者の社会保険の扶養に入っている人は、各勤務先で加入条件を満たさない働き方をしていても、掛け持ちを含めた合計年収が130万円を超える見込みになると、原則として配偶者の社会保険の扶養から外れます。加入要件は1社ごとに判断されますが、扶養の130万円はすべての勤務先の合算で判断される点が異なります。
扶養を外れた場合、パート先の社会保険の加入条件を満たさなければ、自ら国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。なお、19歳以上23歳未満は2025年10月より収入基準が150万円未満に引き上げられています。
詳しい条件は加入している協会けんぽや健康保険組合に確認してください。
ダブルワークの社会保険:加入のメリット
社会保険への加入は保険料が天引きされるため手取りが減りますが、長期的には生活を支える大切な保障になります。
将来の年金受給額が増える
パートなどの給与収入のみでほかに所得がない場合、すべての勤務先の合計年収が178万円を超えると所得税がかかり始めます。超えた分に対して所得税率5%がかかり、1万円あたり500円程度が目安です。別途、復興特別所得税も加算されます。病気やけがで障害が残った場合の障害厚生年金が本人に支給されるほか、亡くなった際には家族に遺族厚生年金が支給されます。いずれも国民年金のみの場合に比べて手厚い保障となります。
住民税は年収112万円〜119万円超えから課税
住民税には均等割と所得割の2種類があります。均等割は自治体によって年収112万〜119万円を超えるとかかり始め、所得割は給与収入のみでほかに所得がない場合、年収119万円超から課税される目安となります。
傷病手当金・出産手当金が受け取れる
仕事と関係のない病気やけがで医師に労務不能と診断され、連続3日以上休業した場合、4日目以降から給与の約3分の2が支給される傷病手当金を受け取れます。また、出産前後に働けない期間の出産手当金も支給対象となります。これらは社会保険加入者のみが受けられる給付で、民間保険なしでも万が一の収入減少をある程度カバーできます。
ダブルワークの税金・確定申告
ダブルワークで影響するのは、社会保険のみではなく、税金もあります。税制は、掛け持ち先を含めたすべての勤務先の給与収入の合計で判断されます。自身の所得税・住民税と、配偶者の税金に影響する配偶者控除の2つを意識しておきましょう。
所得税・住民税・配偶者控除の目安
給与収入のみでほかに所得がない場合、合計年収が178万円を超えると所得税がかかり始めます。住民税(所得割)は年収119万円超、均等割は自治体によって112万〜119万円超から課税される目安となります。
配偶者控除・配偶者特別控除は、配偶者の給与収入が136万円以下で満額の控除が受けられ、169万円までは満額の38万円が適用されます。169万円を超えると段階的に減り、207万円超でゼロとなります。
確定申告が必要になるケース
以下に当てはまる場合は確定申告が必要です。
- 主な勤務先で年末調整を受けた人は、年末調整されなかった給与収入など合計が20万円超の場合
- 年末調整をどこでも受けていない人は、合計年収が178万円超の場合
- クラウドソーシングや宅配デリバリーなど給与以外の報酬がある場合は、所得が20万円超(年末調整済みの場合)または104万円超(給与所得なしの場合)
なお、20万円以下でも住民税の申告は原則必要です。
ダブルワークで働く際によくあるFAQ
社会保険に入りたくない場合はどうすればいい?
各勤務先で加入条件を満たさないよう、週の所定労働時間を20時間未満に抑えることが有効です。2026年10月以降は月額賃金要件が撤廃されるため、各勤務先での週の労働時間の管理がより重要になります。
ただし、掛け持ち先を含めた合計年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れる場合があるため、年収管理も合わせて確認しましょう。
どちらも週20時間未満の場合はどうなる?
どちらの勤務先でも加入条件を満たさないため、職場の社会保険には加入しません。この場合、自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。配偶者の扶養に入っている場合は、週の労働時間に限らず、合算年収が130万円未満であれば扶養を維持できます。
ダブルワークが勤務先にばれることはある?
複数の給与収入があると住民税の金額が増え、会社への通知額で気づかれるケースがあります。また2か所で社会保険に加入する場合は書類提出が必要なため、その過程で発覚することもあります。会社によっては就業規則で掛け持ちを禁止している場合もあるため、始める前に確認しておきましょう。
渋田貴正
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。 https://www.pright-si.com/
※更新履歴:
2022年12月2日
2025年9月30日
2026年8月25日
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。