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2024年06月03日

パート・アルバイトの住民税はいくらから? 課税の仕組み・シミュレーションなど

パートやバイト代などの給与収入にかかる税金には所得税と住民税があります。ここでは、住民税を中心に、年収いくらから課税されるのか、課税額の仕組みや支払い方法などを解説します。

◆2023年10月以降の最低賃金の上昇に伴い、社会保険の加入や扶養を外れる人がいます。厚生労働省より、106万円での社会保険加入、130万円での扶養を外れることに対し、手取りを減らさない「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しています。
(参照)厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」

住民税の課税の仕組み

住民税には2種類あり、それぞれ課税対象額や税額が異なります。詳しく見ていきましょう。

住民税とは

住民税とは、一定の収入を得ている人が住んでいる自治体に収める税金のことを指し、その年の1月1日に住んでいる都道府県と市区町村に納めます。住民税には均等割と所得割の2種類あり、自治体によって基準が異なりますが、給与所得者の場合は年収が100万円を超えると課税されます。均等割と所得割で、税金が発生する年収に差がある自治体もあります。

<給与収入のみの場合の住民税の基礎的な考え方>
住民税とは タウンワークマガジン Townwork
※自治体により異なることがある
※特別調整額は考慮しない

均等割は93万円~100万円超から課税

均等割は、前年の収入が課税対象の年収を超えると一律同じ税額が課税されます。給与収入のみの人は、大よそ年収93万円~100万円を超えると均等割の対象になります。多くの自治体では年収100万円を非課税ラインに設定していますが、自治体ごとに定められるので、最新の情報は各自治体に確認してください。東京都の均等割は、2024年現在は、都民税1,000円、市区町村税3,000円、森林環境税1,000円の合計5,000円です。

所得割は100万円超から課税

所得割は、収入額によって税額が変わります。給与収入のみの人は、年収が100万円を超えると所得割の対象になります。所得割の税額の目安の計算は、給与が年165.5万円以下の人は、給与から、給与所得控除55万円と基礎控除43万円を合計した98万円を引いた残りに、税率10%を掛けて算出します。

※特別調整額など他控除は考慮しないとする
※給与所得控除額(国税庁)

 

住民税を減らす方法はある?

納税は義務ですが、住民税の課税対象ギリギリ超える年収になると、手取りはそれまでより減る可能性があります。税金は、1円でも超えると課税されるので、課税対象となる所得(収入―経費や控除)を正しく理解することが大切です。

1月~12月の所得総額を調整する

住民税は前年1月1日~12月31日の1年間の所得総額で計算します。所得総額は振込日で考えるので、給与が翌月支払なら、1月の所得は前年の12月分の給与であり、12月分は翌年1月に支給されるため次年度の所得になります。課税されるか微妙な場合、シフト調整などをして所得総額を調整します。掛け持ちや年の途中で退職した人は、その分の収入も合計するので気を付けましょう。

通勤手当などは課税対象から除外される

通勤交通費が「通勤手当」として基本給とは別に支給される場合、月15万円以下までは非課税となります。給与明細に、「通勤手当」とあれば、課税対象から外すことができます。その他、宿直手当や必要と判断した出張手当も非課税ですが、残業手当や休日手当などは、課税対象となります。

>通勤交通費の課税額・非課税限度額とは

社会保険料控除なども除外される

夫などの配偶者や親などの扶養ではなく、自身で払っている社会保険料や生命保険料があると保険料に対して、課税対象から外せる控除が受けられます。または、自身でふるさと納税をした場合は、課税対象から除外できます。ふるさと納税は寄付金額の2,000円を超える部分について、一定の限度額まで控除が受けられます。

 

学生は住民税非課税の対象が広い

学生の場合は、バイト代が住民税の93万円や100万円の課税基準を超えても一定の控除が受けられるようになっています。

未成年で未婚なら年収204万円以下は非課税

未成年で未婚の場合、年間所得135万円(給与収入のみなら約204.4万円)未満は住民税(所得割・均等割)が非課税となる制度があります。既婚者の場合は、18歳未満でも成年とみなされるため該当しません。

勤労学生控除で年収124万円以下は非課税

学生の場合、条件が当てはまれば、所得税と同じく住民税(所得割)も勤労学生控除を年末調整で受けていると、給与所得控除55万円、住民税基礎控除43万円に加えて、住民税勤労学生控除26万円が適用され、124万円までの給与収入は、住民税の所得割が非課税となります。なお、均等割は対象外なので、93万円~100万円を超えると課税されます。
注意すべきは、親など世帯主の税制上の扶養に入っている場合、年収が103万円を超えると扶養控除が適用されなくなり、親の所得税と住民税が増える点です。年間103万円を12カ月で割ると1か月平均は8万5,833円。103万円を1円でも超えると扶養から外れるので、扶養に入っている人は月平均8.5万円を念頭に置いて働くといいでしょう。

>【年収103万円以上の学生向け】勤労学生控除は何? バイトの収入が多い大学生は有利になるの?

 

住民税のシミュレーション例

住民税の金額をいくつかの例でシミュレーションしてみます。実際の税額は状況によって変わることがあるので参考値としてみてみてください。

【シミュレーションの条件】
・東京都在住、40歳未満
・給与所得(収入から非課税の通勤手当を除外)
・夫の勤務先の扶養を可能な範囲で利用
・給与所得控除と基礎控除以外の控除はナシ
・調整控除額は考慮しない

2024年度は定額減税措置により、対象となる人は住民税が1万円控除されます。対象者は所得税と住民税の納税者で年収1805万円(給与収入のみは2000万円)以下の人で、本人と扶養親族それぞれに対して、所得税3万円、住民税1万円の計4万円が控除されます。
詳しくは国税庁のサイトなどでご確認ください。
※国税庁「定額減税 特設サイト

年収103万円の場合

給与所得が年収103万円の場合、均等割と所得割双方が課税されます。なお、所得税は103万円以下までは課税されません。

■STEP1:給与所得金額の算出
給与所得1,030,000円-給与所得控除550,000円=給与所得金額480,000円

■STEP2:課税所得金額の算出
※課税所得金額=税率が掛かる所得のこと(以下省略)
給与所得金額480,000円-基礎控除額430,000円=課税所得金額50,000円

■STEP3:住民税を計算
均等割:都民税1,000円+市区町村税3,000円+森林環境税1,000円=5,000円
所得割:課税所得金額50,000円×10%=5,000円
住民税合計:10,000円

 

年収120万円(パート先の社会保険未加入)

次に、夫の扶養に入ったまま年収120万円のケースで見ていきます。

■STEP1:給与所得金額の算出
給与所得1,200,000円-給与所得控除550,000円=給与所得金額650,000円

■STEP2:課税所得金額の算出
給与所得金額650,000円-基礎控除額430,000円=課税所得金額220,000円

■STEP3:住民税を計算
均等割:都民税1,000円+市区町村税3,000円+森林環境税1,000円=5,000円
所得割:課税所得金額220,000円×10%=22,000円
住民税合計:27,000円

 

年収120万円(パート先の社会保険に加入)

一定規模の会社の年収が106万円以上になるとパート先の社会保険に加入することになります。その結果、保険料の負担は増えますが、社会保険料控除が適用され、その分の税額負担は減ります。

■STEP1:給与所得金額の算出
給与所得1,200,000円-給与所得控除550,000円=給与所得金額650,000円

■STEP2:課税所得金額の算出
給与所得金額650,000円-基礎控除額430,000円-社会保険料控除166,404円=課税所得金額53,596円
※月給10万円の社会保険控除額は、
(健康保険4,900円+厚生年金保険8,967円)×12か月=166,404円

■STEP3:住民税を計算
均等割:都民税1,000円+市区町村税3,000円+森林環境税1,000円=5,000円
所得割:課税所得金額53,596円×10%=5,300円
住民税合計:13,000円

 

住民税の納税方法

住民税の納税方法は、毎月の給与から天引きされる特別徴収と自分で支払う普通徴収の2パターンがあります。

給与から天引き(特別徴収)

会社に勤めている人に適用される納税方法で、毎月の給与から住民税を天引きして納めます。普通徴収よりも納付1回あたりの金額が少なく、事業主(会社)が納付するので納付もれがありません。給与所得者は特別徴収になることが法令で義務付けられており、事業主(会社)や従業員の意思で変えることはできません。ただし、アルバイトやパートなどで毎月給与が発生しないなど一定の場合は会社側で特別徴収から除外することができます。アルバイト・パートについては自分の住民税が特別徴収されるかについては会社に確認するか、給与明細を見ると分かります。

<給与所得者だが特別徴収から除外できる対象者>
・その企業での受給者数が2名以下の場合
・給与支払額が少なく納税額を引けない場合
・給与の支払いが毎月でない場合
・退職、退職予定者である場合
・他の勤務先で特別徴収をしている場合 など

 

自分で納税(普通徴収)

個人事業主や給与や年金から差し引かれていない分がある人が、納付書や口座振替で納める方法で、6月ごろに納税通知書と納付書が自治体から送付されます。納付先は支払う年の1月1日に住んでいる地域の自治体になります。退職した場合は前年の住民税を納税するので、すぐに転職する予定がない人は特別徴収から普通徴収に切り替わり、通知書が届きます。すぐ転職した場合は、事務手続きが完了すれば転職先で特別徴収を継続できます。納付は年4回の分割か、一括での支払いかを選択します。

「給与支払額が少なく税額が引けない」の目安は、年間の給与支払額が93万円以下(各自治体で基準が異なる場合がある)となっています。毎月安定してシフトに入っていて、年間の収入が93万円(月平均7万7500円)を超える場合は、原則として給料から天引きされる特別徴収となります。

 

■監修
渋田貴正
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/

※初回公開:2019年7月01日、更新履歴:2022年2月28日、2023年7月28日、2024年6月3日

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