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2017年06月30日

【年収103万円以上の学生向け】勤労学生控除は何? バイトの収入が多い大学生は有利になるの?

【年収103万円以上の学生向け】勤労学生控除って何?バイトの収入が多い大学生は有利になるの?
アルバイトをしていて「103万円の壁」という言葉を聞いたことはないでしょうか。これは、アルバイトで稼いでいても、年収が103万円以下であれば所得税がかからないという意味です。しかし、この103万円の壁は「勤労学生控除」という制度を適用すると、「130万円」まで非課税の枠が拡大します。では、控除を受ける場合、学生なら誰でも130万円ギリギリまで稼いだほうが有利になるのでしょうか。今回は、学生アルバイトの人向けに、勤労学生控除の概要とメリット・デメリットについて解説します。

勤労学生控除を受けるための条件とは

勤労学生控除の対象になるには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

勤労学生控除とは

勤労学生控除とは、生活費などのためにアルバイトをしている学生を対象にした制度で、条件を満たすと給与所得から一定金額を控除してもらえます。
国税庁のWebサイトには、「納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます」と記されています。「所得控除」といわれていますが、所得税の計算に限った話ではなく、住民税の計算をする際にも勤労学生控除が適用されます。

勤労学生控除の対象となる3つの条件

勤労学生控除を受けるには以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

(1)「給与所得などの勤労による所得があること」

給与所得とは、「働いて得たバイト代などの給与」から「給与所得控除など非課税対象」を引いた分を指します。毎月、定期的に働くアルバイトだけでなく、短期のアルバイトでも、働いて給与としてバイト代を得れば条件に当てはまります。親などの保護者からの仕送りなど、贈与されたお金は給与に当たらないので、勤労学生控除の対象条件として考慮する必要はありません。

(2)「合計所得金額が75万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること」
※令和2年より65万円→75万円以下に引き上げられました

合計所得金額とは、年間の収入から給与所得控除などを差し引いた額です。給与所得控除額は年収162.5万円以下であれば55万円が差し引かれます。年収が130万円以下であれば、給与所得控除の55万円を差し引いた金額(=所得)が75万円以下となるので、勤労学生控除を受けることが可能です。また、アルバイト以外に株などで得た収入は10万円以下である必要があります。
つまり、勤労学生控除を受けるためには、年収が130万円以下であり、そのうち、アフィリエイトやイラスト制作、Webライターなど委託契約による成果報酬での収入が10万円以下である必要があります。アルバイトなどの勤労による収入のみの人は年収130万円以下であれば勤労学生控除が受けられます。給与収入か委託による報酬かが不明瞭な場合は、勤務先に確認しておくといいでしょう。

(3)「特定の学校の学生、生徒であること」

以下に挙げる学校のうち、どれかに通っている必要があります。

イ.学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
ロ.国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校または各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
ハ.職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

高校や大学に通っている人はもちろん、専修学校に通っている人や職業訓練を受けている人でも、控除の対象になり得ます。自分の通っている学校が条件を満たしているかわからない場合は、学校の窓口に問い合わせてみましょう。

※引用:国税庁「No.1175 勤労学生控除」

勤労学生控除を受けるといくらお得になるの?


実際に勤労学生控除ではどれくらいの金額が控除されるのでしょうか。ここでは、年間のバイト代120万円の大学生Aさん(20歳)を想定し、控除がない場合とある場合とを比較して解説します。

勤労学生控除がない場合

所得税は、アルバイトなど給与所得者であれば、給与所得控除55万円+基礎控除額48万円=103万円以下なら、所得税を納めなくて良いことになります。

Aさんの場合、バイト代120万円―103万円=17万円が税金の課税対象(課税所得)となります。課税所得が195万円以下の場合、所得税の税率は5%なので、Aさんが納める必要のある所得税は

所得税:17万円×0.05=8,500円

です(※)。
(※)「源泉徴収」という形で所得税を納める場合は、令和19年12月31日まで復興特別所得税(所得税額の2.1%)が合わせて徴収されますが、今回は考慮せずに計算しています。

住民税には、給与所得控除55万円に加えて、基礎控除43万円が設定されています。住民税には各自治体で決められた一定額を徴収する均等割と所得に応じて課税される所得割があります。
住民税所得割は総所得が45万円以下であれば非課税となるので(地域により異なります)、自分の所得が課税対象かどうかを計算するときは一般的には45万円を使って考えます。

つまり、給与所得控除55万円+住民税所得割控除45万円=100万円以下であれば課税所得は0円となり、住民税はかかりません。
Aさんの場合、バイト代が年間で100万円を超えているため、住民税がかかります。住民税が課税される際の控除額は、給与控除額55万円+基礎控除額43万円=98万円です。Aさんの場合は、120万円―98万円=22万円となります。所得にかかる住民税は所得割と均等割があり、所得割の税率は全国一律で10%(※例外地域あり)、均等割は5,000円前後の固定額ですので、Aさんの住民税は下記のようになります。

住民税所得割:22万円×0.1=2万2000円
住民税均等割:5,000円(地域によって違いあり)

を住民税として納める必要があります(※)。
(※)住民税の計算においては、調整控除額が発生しますが、今回は考慮せずに計算しています。

よって、勤労学生控除を受けていない場合、Aさんは所得税と住民税で

所得税8500円+住民税所得割2万2000円+住民税均等割5000円=3万5500円

を納税することになります。

勤労学生控除を受ける場合

Aさんが勤労学生控除を受けると、納税額はどれくらい減るのでしょうか。
所得税は、給与所得控除55万円と基礎控除48万円に加えて、27万円の勤労学生控除を受けることができます。つまり、55万円+48万円+27万円=130万円以下であれば、課税所得は0円となり、所得税がかからなくなります。バイト代が120万円のAさんは130万円以下になるため、勤労学生控除を受ければ納税の義務がなくなります。

住民税の勤労学生控除額は26万円です。つまり、給与所得控除55万円+基礎控除43万円+住民税勤労学生控除26万円=124万円以下であれば、課税所得は0円で住民税は非課税となります。ただ、所得が100万円を越えている人は、住民税均等割(年間約5,000円程度)の納税は必要です。

勤労学生控除を受ける際の注意点は?

勤労学生控除には稼げる年収の限度額が増えるというメリットの一方で、注意点もあります。中でも大きいのは、親などの扶養者が払う税金が増えるという点です。

扶養控除の対象外となる

学生の多くは親など扶養者に養われている税法上の「扶養家族」の状態です。しかし、アルバイトなどで学生の年収が103万円を超えると、税制上の扶養家族の対象から外れます。勤労学生控除を受ければ学生自身は所得税、住民税ともに非課税になる可能性がありますが、扶養者の納税額は増えてしまいます。

さきほどのAさん(20歳)のケースで、親など扶養者の納税額がどれくらい増えるのか具体的に考えてみましょう。

Aさんのように年齢が19歳以上23歳未満の扶養家族は「特定扶養親族」に当てはまり、所得税63万円、住民税45万円が親など扶養者の課税所得から扶養控除として引かれます。
所得税率は課税所得により異なりますが、仮にAさんの父親の課税所得が195万円超330万円以下だとすると、税率は10%です。Aさんのバイト代が103万円を超えると、父親の所得からAさんの控除分がなくなるので、単純計算で

63万円×0.1(所得税率)+45万円×0.1(住民税率)=10万8000円

10万8000円、親など扶養者の納税が増えることになります。

勤労学生控除を受ける場合は、家族との兼ね合いを考える必要があります。「自分で税金を払いたくないし、親の税金も増やしたくない」という人は、アルバイトの収入を103万円以下に抑えたほうが良いでしょう。

手続きが増える

勤労学生控除を受けるためには、年末調整や確定申告などの手続きを行う必要があります。そうした手間が増えることも、控除を受ける上での一つの注意点といえるでしょう。自分が対象となる3つの条件を満たしているかどうかを確認し、アルバイト先に申告したり、書類を用意したりする必要があります。

勤労学生控除を受ける方法を教えて!

勤労学生控除を受けるための手順について説明します。

年末調整で申告する場合

アルバイト先に、まずは「勤労学生控除を受けたい」という旨を告げましょう。年末調整の際には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄にある勤労学生の項目に◯印をつけて、会社に提出しましょう。

アルバイトを掛け持ちしている学生の場合

アルバイトを同時に掛け持ちしている人は、複数の会社から受け取っている給与をまとめて自分で記録し、確定申告を行う必要があります。
「勤労学生控除」に関する事項を記載した確定申告書を税務署に提出しましょう。専修学校、各種学校、職業訓練学校に通う人は、在学証明書などの証明書を一緒に提出するか、提示する必要があります。また、時期は毎年2月中旬~3月中旬となっているため、期間内に済ませるよう気をつけてください。

勤労学生控除のメリット・デメリットをよく知ろう!

勤労学生控除を受けると、学生は130万円以下は所得税がかかりません。しかし、勤労学生控除を受けていても所得が103万円を超えると、結果として親などの扶養者の納税額が増えることになり、世帯としては損をする場合があります。そのため、「勤労学生控除を受けて限度額まで稼いだほうがいい」とは単純に言うことはできません。
控除を受ける際は、扶養から外れても問題がないか、親など扶養者に確認するようにしましょう。

※この記事は2020年6月30日時点の情報です
監修:冨塚祥子(トミヅカ社会保険労務士事務所)

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