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2023年10月23日

パートと正社員、主婦(主夫)が働くときにメリットが大きいのは? どちらが得? 収入・働きやすさを比較

主婦 主夫 パート 正社員 迷う 得 どちらが 違い 年収 手取り タウンワークマガジン主婦(主夫)が仕事を選ぶときに迷うことの一つが、「パートか?正社員か?」という選択です。現状はフルタイムで働けるものの、この先、家庭の事情が変わったときに「柔軟に対応できるのは、やはりパート?」と悩んでしまうケースもあるでしょう。収入自体は正社員とフルタイムパートで大きく変わらないこともありますが、社会保険や税金、働きやすさ、キャリアなど迷う観点はさまざまです。ここでは、パートと正社員ではどのような違いがあるのか紹介します。

◆2023年10月以降の最低賃金の上昇に伴い、社会保険の加入や扶養を外れる人がいます。厚生労働省より、106万円での社会保険加入、130万円での扶養を外れることに対し、手取りを減らさない「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しています。
(参照)厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」

収入面の違いは?

パートと正社員では収入面でどのくらいの差があるのでしょうか。調査をもとに比較してみましょう。

①女性正社員の平均年収:389万円

②フルタイムパートでの試算年収:225万円
└ 1日8時間、月20日間の勤務
└ 時給1177円

単純計算ではフルタイムのパートで働く場合の平均的な年間給与は225万9840円となり、女性正社員の平均と比べると、約164万円少なくなります。

ただし、ここで注意が必要なのは、正社員の給与には残業代や各種手当、賞与などが含まれている点です。パートでも残業代はもちろん支払われるほか、手当がつく場合もあります。時給によっては正社員の収入と大きく変わらないケースもあるため、単純にどちらにメリットがあるとはいえません。

参照:①国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
アルバイト・パート募集時平均時給調査(2023年10月度)リクルートジョブズリサーチセンター

 

社会保険・税金の違いは?

正社員で働くと雇用先の会社の社会保険に加入することになります。一方、夫など配偶者の扶養に入っている主婦がパートで働く場合は、扶養範囲内で働くかを考える必要があります。パートの収入が一定額を超えると、社会保険と税金に影響します。いわゆる「~の壁」といわれる分岐点です。どのような点に気をつけるべきか見ていきましょう。

社会保険の「106万円・130万円の壁」

夫の社会保険の扶養に入っている人は、101人以上の会社で年収106万円を超える相当の働き方をすると、扶養から外れてパート先の社会保険に加入します。いわゆる106万円の壁です。それに該当しない人も、年収130万円を超えると、扶養から外れてパート先か国の社会保険に加入することになります。これが通称「130万円の壁」です。

<106万円の壁:適用条件>

1.所定労働時間が週20時間以上
2.1カ月の賃金が8.8万円(※3)(年収105.6万円)以上
3.雇用期間が2ヵ月を超える見込みがある
4.勤務先の従業員が101人以上(厚生年金の被保険者数)(※4)
5.学生は対象外である(夜間や定時制など、加入対象となる学生もある)

(※3)以下は1ヶ月の賃金から除外できる。
・臨時に支払われる賃金や1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

(※4) 厚生年金の被保険者数が100人以下の企業でも、「労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することに合意すること)に基づき申し出している」又「地方公共団体に属する事業所」であれば、101人以上の要件を満たす。

<106万円の壁の収入シミュレーション例>

1日8時間、月10日働いた場合
時給1143円×8時間×10日×12カ月=109万7280円
⇒106万円超となり社会保険加入対象

1日8時間、月9日働いた場合
時給1143円×8時間×9日×12カ月=98万7552円
⇒社会保険適用外

夫の扶養から外れると、自分の給与から社会保険料が天引きされるため、手取り額は減ります。一見、扶養の範囲内におさめる働き方のほうが得するように思えますが、長期的に見ると、将来もらえる年金の額が増えるというメリットがあります。

また健康保険においても、本人加入の場合はケガや病気で休む際に傷病手当金が支給されたり、出産手当金をもらえたりと差があります。

目先の負担額だけにとらわれず、社会保険のメリットをよく理解したうえで検討するようにしましょう。

税金の「103万円・150万円の壁」

働く妻の税金の影響は、自身の収入にかかるものと、夫の収入から控除されるものに出てきます。通称「103万円の壁」は、妻本人の所得控除が基礎控除のみの場合、自身の収入に対する所得税がかかり始めるボーダーラインを指すのが一般的です。夫の配偶者控除も年収103万円までが適用条件となりますが、現在は、夫の年収が1120万円以下(※)かつ妻の給与収入が150万円以下であれば、配偶者特別控除により夫は満額の控除額が適用されます。そのため、”配偶者控除”という観点では「150万円の壁」が控除枠最大のボーダーラインとなり、年収201.6万円まで増えるごとに控除枠は減っていきます。

税金が増えると家計への負担が大きくなると考えがちですが、そもそも税金は所得に応じて増減するものです。重要なのは、世帯年収を上げるという観点です。壁となる収入ラインを意識しながら、世帯年収をプラスにできる働き方を選択することが大切です。

※給与所得だけの場合の給与所得者の給与等の収入金額

 

働きやすさの違いは?

パートと正社員では、働きやすさにおいてどのような違いがあるのでしょうか。勤務時間と有給休暇、仕事内容に分けて見ていきましょう。

勤務時間

正社員は基本的に、就業規則に定められている始業時間・終業時間に従って働きます。パートは勤務時間や働く日数・曜日を自由に調整しやすいという点で、正社員よりもライフスタイルに合わせた働き方を実現しやすいというメリットがあります。家事や子育てと両立したい場合は、パートのほうが働きやすいといえるでしょう。

有給休暇

パート、正社員の雇用形態にかかわらず、以下の条件を満たしている場合は有給休暇を取ることができます。

●6カ月以上、継続勤務していること
●決められた労働日数の8割以上出勤していること

有給休暇の付与日数は、労働日数によって変わります。週30時間以上・週5日以上のフルタイムで働くパートの場合は、正社員と同様に、勤続期間6カ月後に10日の有給休暇が付与されます。フルタイムではないパートの場合は、労働日数に応じて取得できる日数が別途定められています。たとえば、週に4日勤務(年169~216日)の場合、勤続期間6カ月後に付与される日数は7日です。
有給休暇は雇用形態に関係なく付与されるものなので、日数以外の付与要件についてはパート・正社員での差はありません。

仕事内容

正社員の募集では即戦力が求めてられている場合があるため、募集によっては経験がないと入社のハードルが高いことがあります。対して、パートは未経験でも可能としている求人が多く、新しい仕事でも挑戦しやすいといえるでしょう。

仕事の負荷という観点では、一般に正社員のほうが責任の大きな業務を担当するため、パートよりも心身的な負担が大きくなりがちです。しかし、責任の重さがモチベーションにつながることもあるので、一概にパートのほうが働きやすいとはいえません。自分が求める働き方をしっかり考えて選択することが大切です。

 

キャリアの違いは?

正社員は幅広い業務にかかわれたりスキルアップできたりする機会が多く、昇進のチャンスもあります。キャリア形成という観点では、経験や実績を積みやすい正社員のほうがメリットが大きいでしょう。一方、パートはキャリアアップの機会は少ないですが、パートの経験を活かして正社員登用制度のある企業も増えています。

 

正社員の働き方も多様化している

短時間勤務で働きたい、転勤はできないという主婦の場合、パートという選択がこれまでの一般的な考え方でした。しかし昨今では、正社員の働き方も変わりつつあります。代表的な例を紹介しましょう。

勤務地を限定する「地域限定社員」

地域限定社員とは、勤務地が限定されていて転勤がない正社員のことです。正社員を希望しているものの、転勤があるためにパートを選択していた人は注目したい制度です。

1週間の労働時間が短い「短時間正社員」

正社員というとフルタイム勤務が基本とされてきましたが、近年は労働時間を短縮した「短時間正社員」という働き方が推進されています。

時間あたりの賃金は正社員と同じ方法で算出されますが、1週間の所定労働時間を短くできる働き方です。育児・介護との両立のほか、さまざまな事情でフルタイム勤務ができない人を支援する目的で、厚生労働省が取り組みを進めています。

託児所付きの職場で育児と仕事を両立しやすい企業も

優れた経験値を持ちながらも子どもを保育園に預けられないという理由で、働けずにいる人は少なくありません。こうした人材を確保するために、託児所を備えるなど育児をサポートする企業が増えつつあります。

 

ライフスタイルや将来のプランに合わせた選択を

一般に、勤務時間の融通を利かせたいときはパート、待遇面やキャリアを重視するなら正社員という区分けがされてきました。しかし近年では、パートと正社員とで待遇面がさほど変わらない職場もあれば、短時間正社員として働ける機会も広がっています。

ライフスタイルや将来のプランに合わせて働き方を選べる現在。自分が求める働き方を明確にして、後悔のない選択をしてください。

■監修
渋田貴正

司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/

※初回公開:2019年07月01日、更新:2022年10月1日、2023年5月10日、2023年6月21日

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