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2017年03月03日

なぜか「モテる」人の秘密【第1回】思春期と「モテ」(名越康文)

名越康文 タウンワークマガジン

容姿や性格が特段優れているわけでもないのに、異性から何故か「モテる」人がいます。一方で「モテる」ために容姿をはじめ自分磨きに励んでも結果に結びつかない人もいます。こうした「モテる/モテない」問題について、テレビでもおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にお話しを伺いました。今回のテーマは全5回に分けて紹介します。

※第2回目のコラムはこちら>> 【第2回】「モテ」のエネルギーを燃やすということ
※第3回目のコラムはこちら>> 【第3回】「モテたい」は「変わりたい」ということ
※第4回目のコラムはこちら>> 【第4回】「モテたい」から自意識過剰になる
※第5回目のコラムはこちら>> 【第5回】モテる」人の立ち位置

モテる/モテない」問題は、心理学的には以外と奥の深いテーマ

今回のテーマは「モテる」です。こういうテーマだと、もしかするとノウハウ的な内容を期待しちゃう人がいるかもしれないですね。「男には狩猟本能があります。ですから、男心をくすぐりたいあなたは、揺れるイヤリングをつけましょう」みたいなね(笑)。

そうしたノウハウは「モテる」という目的においては、ある程度までは有効です。ただ、それで首尾よく彼氏・彼女をゲットしたとしても、「幸せになれるか」は別問題ですよね。ノウハウはあくまで「目的を達成する手段」であって、彼氏をゲットする手段を身につけることは、その後の人生を幸せなものになることを保証してはくれません。

僕は、「モテる/モテない」という問題は、心理学的には以外と奥の深いテーマなんじゃないかと思っています。ですから、せっかくならノウハウにもある程度触れつつも、少し掘り下げたり、脇道に逸れたりしながらお話ししたいんです。ノウハウは確かに役立つものですが、恋愛にとどまらない、人生のいろんな局面に応用の利くような力を養っていくには、そういうことが必要だと思うんです。

思春期と「モテ」


さて、人はいつから「モテたい」と考えるようになるか。おそらく、小学校の高学年から中学生にかけての思春期に入ってからですよね。そして心理学的に重要なことは、思春期の頃の「モテたい」欲求が、多くの場合「挫折する」ということなんです。

「モテたい」という欲求を持ち始めたばかりの中学生男子の日々は、見るも無残なものです。例えば、楽器に手を出す。「ギターを弾けばモテるんじゃないか」というわけですね。でも、つけ焼き刃の楽器や歌でモテるようになる人は例外中の例外で、9割の人は、楽器をやったってモテるようにならない。髪を長くして、汚い言葉遣いを使い出す男の子もいますね。「不良になるとモテる」という勘違いをするわけですけど、これも逆効果ですね。これは女性も同じです。モテたいと願っていろんな工夫や努力を重ねるんですが、たいていの努力は空回りします。ほとんどの人は思うように相手の関心を引くことはできない。

もちろん、中には思春期の頃から「モテる人」もいます。でも、ほとんどの人は自分の思惑ほどにはモテない。

なぜ思春期の努力が空回りするのか。これはこれで興味深いテーマだとは思うのですが、重要なことは、この「空回り」こそが、人間が成長していく上で、重要なプロセスとなっている、ということなんです。

思春期の「モテたい」努力が空回りしているうちに、人はだんだんと成長していきます。最初は「モテたい」という欲求からギターを弾き始めた中学生が、気づいたときには、本格的に音楽にのめり込む。「モテたい」欲求を叶える手段として取り組んだことが、長い目でみるとその人のアイデンティティを支える核となることは少なくありません。

僕は中学から高校にかけてジャズを聴いていました。ジャズなんていうマニアックな音楽をやったら、ますます女子にモテなくなる。そのことには、高校に上がる頃には薄々気づいていたんですが、だんだんとおもしろくてやめられなくなった。そして、皆さんご存知のとおり、僕は去年ぐらいから人前でジャズを唄いはじめています。いまや、僕のアイデンティティは医者ではなく、ジャズシンガーになった。これはまさに、思春期の力のなせる業といえるでしょう(笑)。

まあ、僕の例を一般化することはできないかもしれませんが、実は多くの人が「モテたい」
という巨大なエネルギーを、自分のアイデンティティを確立していく糧にしているところがある。これは多かれ少なかれ、確かなことじゃないかと思うんです。

※第2回目のコラムはこちら>> 【第2回】「モテ」のエネルギーを燃やすということ
※第3回目のコラムはこちら>> 【第3回】「モテたい」は「変わりたい」ということ
※第4回目のコラムはこちら>> 【第4回】「モテたい」から自意識過剰になる
※第5回目のコラムはこちら>> 【第5回】モテる」人の立ち位置

 
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企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。