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2017年02月22日

なぜか「モテる」人の秘密【第3回】「モテたい」は「変わりたい」ということ(名越康文)

名越康文 タウンワークマガジン

容姿や性格が特段優れているわけでもないのに、異性から何故か「モテる」人がいます。一方で「モテる」ために容姿をはじめ自分磨きに励んでも結果に結びつかない人もいます。こうした「モテる/モテない」問題について、テレビでもおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にお話しを伺いました。今回のテーマは全5回に分けて紹介します。

※第1回目のコラムはこちら>> 【第1回】思春期と「モテ」
※第2回目のコラムはこちら>> 【第2回】「モテ」のエネルギーを燃やすということ
※第4回目のコラムはこちら>> 【第4回】「モテたい」から自意識過剰になる
※第5回目のコラムはこちら>> 【第5回】モテる」人の立ち位置

根源的な欲求に火がつくかどうか

恋愛しているときって、相手に対する激しい執着心とか、不安とか、わかってほしいという強い気持ちが出てきますよね。このエネルギーをうまく燃やし尽くして、昇華させることができると、人はそれまでの自分に決別して、いわば「脱皮」することができます。恋愛や失恋を経て、人は大きく成長することがある。それは芋虫がさなぎから、蝶になるような、ある種劇的な変化です。

恋愛というものに意味があるとすれば、それは「恋人をゲットできたかどうか」という結果よりも、そのプロセスで自分を解放し、成長させることができたかどうかにあるのだと僕は思います。

いま正に恋愛の渦中にある人にとっては、こんな話はもしかするときれいごとに聞こえてしまうかもしれませんね。でも、そもそも「モテたい」という欲求の奥には、もっと深いレベルでの欲求が何層にも折り重なっているんです。恋愛にエネルギーを注ぎ込むと、いつの間にか、普段気づかない心の奥底に眠っていた欲求にも火がつく。いわば、恋愛が「火付け役」になって、もっと奥底にある「炭火」のような、持続力のある欲求に火がつくことがあるわけです。


では、「モテたい」という表層的な欲求の奥にある根源的な欲求とは何か。それは、僕の考えでは「今の自分から解放されたい」という欲求です。モテたいっていうのは、変わりたい、っていうことなんです。

それなりに充実した生活を送っている、お金に困っているわけではない。だけど「変わりたい」「解放されたい」ということを、人は心のどこかで願っている。しかし、そうした欲求はなかなか表には出てきません。自分で気づかないということもあるし、あまりおおっぴらに表現することが躊躇われる、ということもありますね。社会的に満たされた人が、「これは私の本来の生き方じゃない」という漠然とした欲求を表現するのは、はたから見たら贅沢にしか見えませんからね。

満たされたい気持ちは人生を変える強力な武器になる

でも、僕はこういう「いまの自分の人生は、自分本来の生き方じゃないんじゃないか」と気づくことは、素晴らしいことだと考えています。それは自分が生きる意味を「社会」だけではなく、生命レベルで捉えはじめた証拠だと思うからです。


自分の中に、社会的な意味づけでは説明がつかない欲求が隠されている。それは他人に話してもなかなか理解されないし、欲求を満たすこと自体も難しいと感じる。ではなぜ、そんな欲求を持ってしまうのか。それは、お金にしても、恋愛にしても、現世の欲求というのはいくら満たしても満たしても、きりがないからです。

1億円あれば、2億円ほしくなるのが人間です。100億あっても1000億あっても同じ。恋愛もそうです。いくら恋人ができても、それだけで人は満たされません。社会的な欲求というのは、満たされれば満たされるほど、渇きが強くなっていくのです。

ところが、です。そういう「渇き」を社会的な欲求以外の方向に向けていくことができれば、それはそのまま、人生を変えていく強力な力になる。これが、仏教でいうところの「煩悩則菩提」ですね。

「煩悩則菩提」という言葉を知ると、他人のことを安易に批判できなくなります。どんなにドロドロした恋愛に苦しんでいても、どんなに幼い欲望に苦しんでいるように見えても、そのエネルギーはふとした拍子に、人生を大きく変える力になることもあるのです。

※第1回目のコラムはこちら>> 【第1回】思春期と「モテ」
※第2回目のコラムはこちら>> 【第2回】「モテ」のエネルギーを燃やすということ
※第4回目のコラムはこちら>> 【第4回】「モテたい」から自意識過剰になる
※第5回目のコラムはこちら>> 【第5回】モテる」人の立ち位置

 
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企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。