Room3: 佐伯大地×荒木宏文 インタビュー6/6 【僕らの休憩室】
役に合わせて歯まで変えるエンターテインメントに憧れます(荒木)
−お二人は理想とする方はいらっしゃいますか?
荒木:理想ですか?
佐伯:誰なんだろ?気になる。
荒木:憧れるのは、ジョニーデップですね。
佐伯:ぽいですねー!
荒木:これわかりやすいでしょ。単純に情報だけで話しますけど、あの人役に合わせて歯まで変えるんですよ。全部歯を抜くし、その芝居の期間だけじゃなくて役が決まった時から差し歯で全部作り直す。そういうことをするような人。
パイレーツ・オブ・カリビアンだったら海賊だから、歯並び悪くして、金歯入れて、白い歯を黄ばませたりをしてるのは…すごいなって思う。日本のエンターテインメントでそこまでやる必要はない、やらなくていいと思うんですけど、できるならそこまでやったエンターテインメントに携わってみたいなっていうところで憧れはしますね。
もっと身近なところで言うと、音楽も芝居も両方15年ぐらい活動されているMICHAEL、元SOPHIAの松岡充さん。松岡さんに関しては一緒に仕事させていただいてて思うんですけど、あの方の人となりがすごいというか、人とのつながり方がすごいんですよね。
やっぱりいろんな人を見て来た人…、自分が作詞作曲プロデュースするものに仲間としていろんな人と音楽を連れてここまで来た人だから、人と話してるときに相手のことをどれだけ理解できるかっていう理解力はすごく深いところまであると思いますし。自分の意見を提示するだけじゃなくて、相手の言いたいことを全部くみとったうえで「じゃあコレは?」って話せる人ってやっぱすごいって思う。
相手が一言発しただけで、この人がどういう気持ちで、どんな思いでそのワードを言ったのかっていうところまでくみ取ろうとするし。そんな風に人と接することができるようになるまで、どんだけこの人は傷ついたんだろうと思うと、一緒にいても放っておけないし。
たぶんそういうことを経験してきたからこそ、こんなにも、これから知り合っていく人たち、今知り合った人たちを全力で大切に出来るんだろうなと。そうやって人を愛し続けられる人間になれたら、かっこいいなっていうのは。人として憧れるところですね。
ふざけてないんだけど面白いっていう人間になりたい(佐伯)
−佐伯さんはいかがですか?
佐伯:理想の人…私生活を知らないから何とも言えないんですけど…阿部寛さんや山田孝之さんですね。ああいう、何ていうんだろう、ふざけてないんだけど面白いっていうような人間になりたい。
ふざけようとして面白い人っていうのはいっぱいいると思うんですけど、こうやって普通に過ごして普通に喋ってるだけで、なんかこの人面白い、笑けてくるなみたいな。そういう人って、なんとなく可愛げがあると思うんですよね。可愛らしさみたいなことがあるから、たぶん面白いっていうか。そういう人間になりたいって思います。
試練は越えられる人にしか与えられない(荒木)
−日々理想を目指していく中で、何か支えにしているものはありますか
荒木:そうですねぇ…自分の中でプライド持っていられる、自信持っていられるのは…
佐伯:そういう言葉があるんですか?
荒木:いや、ウチの親父が藤一でウチのじいちゃんが金次郎なんですけど。
佐伯:…!
荒木:そうそう。やっぱその人たちの息子、孫だっていうのが僕にとっては自信ですね。
佐伯:父ちゃんとじいちゃんの名前がオシャレすぎてかっこいいですよ。
荒木:じいちゃんに言われたこととかやっぱ残ってますもんね。ガキの頃から「試練は越えられる人にしか与えられないから頑張れ」って言われたっていうのがあって。
佐伯:キンジロウやりますね。
荒木:キンジロウやるんですよ。
大変なことも全部含めて、無駄にしないでしっかり生きる(佐伯)
佐伯:僕のおじいちゃんは昔パイロットだったんですけど、僕が小っちゃい頃、よく戦争の話をしてくれてました。
それが理由で僕は戦争映画がすごく好きなんですけど、戦争って僕らまったく知らないものじゃないですか。役者も、監督も知らないってこともある。なのに本当に心に響くすごいものがあるんですよ。いっぱい。
自分の命を守る、自分たちの仲間家族を守るっていうときに人間っていい顔するし、すごく感情移入ができる。例えば『プライベート・ライアン』って映画の最後にも「無駄にするな、しっかり生きろ」っていうセリフがあるんですけど。その言葉がとても響いていてずっと好きなんです。
なんていうかそれって、その映画の中だけの言葉ではなくて、人生においても当てはまる言葉だからだと思うんですよね。どんな瞬間も無駄にするなと。どんなことにも大変なことはあるし、辛い思いをしてる人間もいるけど、それを全部含めて無駄にしないでしっかり生きろっていうことだなと思っています。
僕は越えられない壁と言うか、辛いことや嫌なことがあったとき、悩んだときにいつもその映画を見てその言葉を思い返すんです。
声優さんは、板の上でもお芝居が上手いのが悔しい
−お二人のこれからの未来像を教えてください
佐伯:僕は大河ドラマと朝ドラとかたくさんの皆さんに見ていただける作品にバンバン出演するっていう(笑)。そしてバラエティとかにもいっぱい番宣しにいきたい。
荒木:黒田官兵衛とか?
佐伯:すごく好きでした、あの作品。面白かったぁ。荒木さんは?
荒木:声優の分野に挑戦したい。
ありがたいことに僕は恵まれた環境にあって、人気作のアニメ『テニスの王子様』が何年も続いていて、そこで声優をやらせてもらっているんですけど。
佐伯:ドラえもんの声優とかですか?
荒木:いいねぇ。アニメ声優は憧れますね。すごい勉強になったし、これからもたくさんやりたいと思うし、今身近なものになってるからこそ。
佐伯:でも悔しいのは、声優さんって板の上に立ってもお芝居上手いじゃないですか。でも僕らは声優のお仕事を上手くできないことの方が多い…。それ悔しいですよね。
荒木:昔はそんなことなくて、きっと実力は同じくらいあったんだろうなって思う。
佐伯:役者の実力が足りてない時代なのかもしれないですね。
荒木:だから声だけで表現しましょうってなったときに、役者が声優をできない状況…つまり今の役者の平均スキルが声優に届いてないっていうのは、役者レベルの平均値が大きく下がってるんじゃないかなって思うとすごい悔しい。
役者をやってるからこそ、声優もしっかりやりたいなっていうのがあるし、今デジタルでアプリとかゲームもたくさんあるから…
佐伯:幅は増えてますよね。
荒木:そう!役者に声優をさせるチャンスくださいっていう(笑)。と、ちょっと俺は思います。
それに自分はたぶん普通の役者さんより2次元に近いところにいると思うんですよ。2.5次元の作品に出演させていただく機会が多いので。そう考えたときに、やっぱり2次元から3次元までをつなげてる役者、ブリッジになりたいなっていうのはありますね。
−最後に、10年後のお互いを想像して一言お願いします。
荒木:10年後、何歳?
佐伯:僕、37とかですかね。
荒木:37か…
佐伯:荒木さん40とかですか?
荒木:44。
佐伯:44!?今34歳なんですか?
荒木:明後日俺34になるよ。
佐伯:マジですか!いやぁこんなに違うのにこんなに話聞いてくださってありがとうございました。僕30歳ぐらいだと思ってましたよ。
荒木:4つは大きいでしょ(笑)
−では、佐伯さんからお願いします。
佐伯:僕は、あれですね、日常会話的な一言です。現場一緒で「また次もよろしくお願いします!」って10年後も言っている、そういう風に仕事できてたら嬉しいなって思います。
荒木:僕は、「子供、いくつになった?」
佐伯:今ね、あの5歳なの…とかって感じですかね。
荒木:もう回答しとく(笑)
佐伯:10年後、37ですからね。
荒木:そう、だからちょっとね、あのー僕が諦めたことなんですけど、結婚と子ども。
佐伯:早いっすよ!(笑) まだまだですよ!
荒木:いやもう諦めて4年ぐらい経つけど…
佐伯:一番旬ですよ!これからが。
荒木:マジで?
佐伯:大丈夫ですよ。
荒木:こんだけ仕事してると、パートナーが存在することがもう違和感みたいな。
佐伯:荒木さんっぽいですけど、寂しくなったりはしないんですか?
荒木:だから孤独はダイニングテーブルで…
佐伯:いや埋まらないですよ、荒木さん!それは言いたい。老後とかもあるから。老後が、大変ですよ…!
荒木:でもだから老人ホームの貯金は始めたよ?
佐伯:なんでもかんでもそんな論理的にやっちゃだめ!人間味溢るる、ですよ!
荒木:まぁ、もう俺はたぶん無理だなって思ったけど、なんかこのダイナミックな生き方をしてる大地だからこそ、なんかこう自分のリズムで結婚して「家族持ったんすよ」っていうことすらもなんかすごくこう、好印象と言うか。
みんながその言葉を否定的に感じずに「おぉ、結婚したんだおめでとう!」って祝ってくれるような勢いで結婚して、で子どもいくつになったの?っていうのも「あぁ、今5歳ですー」っていうのもなんかこう明るく話せるようなそんな家庭の作り方ができそうな人だから。その願いも込めてこの言葉を言いたいですね。
性格こそ対照的でしたが、ともにご自身の理想に向かってしっかりと進んでいく意思を持った佐伯大地さんと荒木宏文さん。きっと、これからも様々な場所で活躍されていくことでしょう。僕らの休憩室スタッフも楽しみにしています!
佐伯 大地 Daichi Saeki
映画やテレビドラマ、舞台など幅広いフィールドで活躍中。主な出演作は、ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台『ALL OUT!! THE STAGE』、映画『少女椿』、テレビ『街活ABC』(NTV系毎週木曜21:54~放送)、SMART USEN“俳優日和”「佐伯大地のわりと元気の出るラジオ!」(毎週金曜正午更新)など。今後の出演作として7月16日より放送予定のテレビドラマ『愛してたって、秘密はある。』(NTV系)井上大吾役、10月7日より公開予定の映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』鈴木仁英役などがある。
【佐伯大地OFFICIAL SITE】https://saeki-daichi.com
【公式twiiter】@AND_swgD
荒木 宏文 Hirofumi Araki
俳優として活躍する一方でミュージシャンとしても活動中。主な出演作は、映画『20世紀少年-第2章-最後の希望』、ミュージカル『黒執事~地に燃えるリコリス~』、EX『獣拳戦隊ゲキレンジャー』など。今後の出演作として8月には舞台『幽劇』、9月からはOFFICE SHIKA PRODUCE VOL.M『不届者』への出演が控えている。
【荒木宏文OFFICIAL SITE】http://www.watanabepro.co.jp/mypage/10000022/
【公式ブログ】https://ameblo.jp/hirofumi-araki-we/
撮影:田形千紘 ヘアメイク:佐茂朱美 取材:恩田貴行、寺本涼馬
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。