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2017年10月05日

声優インタビュー:森久保祥太郎【先輩のオフレコ!】2

森久保祥太郎 声優 爆走兄弟レッツ&ゴー!! ミニ四ファイター  MAJOR  茂野吾郎 NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルト 奈良シカマル 弱虫ペダル うたの☆プリンスさまっ♪ ナレーター buzz★Vibes ヴォーカルプロとして社会で活躍する「先輩」たちの成長の秘密に迫る『先輩のオフレコ!』。声優・森久保祥太郎さんのインタビュー2回目の今回は、初めてのアフレコで失敗してしまった話や苦労続きの新人時代を支えてくれた2人の先輩声優について語っていただきます。声優だけでなく歌にラジオに多彩な森久保さんですが、その原点はどこにあるのでしょうか…?

 

声優はいくつになっても楽しめる仕事

森久保祥太郎 声優 爆走兄弟レッツ&ゴー!! ミニ四ファイター MAJOR 茂野吾郎 NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルト 奈良シカマル 弱虫ペダル うたの☆プリンスさまっ♪ ナレーター buzz★Vibes ヴォーカル―顔出しの演技から、声だけの演技をする中でご苦労はありましたか?
当時は舞台しか経験がなくて、声優についてなにもわからないまま『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』で生まれて初めてアフレコスタジオ行ったんです。
でも、マイクがあってもどっちに向かってしゃべっていいのかもわからない状態で(笑)

舞台しか経験がないので、舞台と同じく体を使った芝居をしたんです。そしたら「ペーパーノイズでNG!」って言われて、でもペーパーノイズって専門用語わからないから「はい!」って返事をして、また同じことをやって「紙の音がうるさい!」って怒られました(笑)

やっぱり経験がないので戸惑うことだらけなんですよ。
「なんでアニメの口パクに合わせなきゃいけないんだ」って思ったりもしました(笑)

今は事前に台本とVTRがもらえて、家で練習できるんです。でも、昔は現場に行くまで映像がわからなくって、現場に行ってみんなでVTRをチェックして声を当てるんですけど僕だけできないんです。

はじめは口パクに合わせなくていいならもっと良い芝居できるのに、って違和感を持っていました。今になれば舞台も声優も、お芝居って大きな根っこでつながっているのはわかるんです。でも、当時はやっぱり違うものに感じていたんですよね。

最初は向いていない世界に来ちゃったって思いました。もう下手すぎて、冷や汗と恥しかかかない毎日を過ごしていたんです…。

その頃は、アニメはシリーズが終われば終わりだし、こんな下手くそは二度と使われないだろうって思いながら演じてたんですけど、やっぱりそれで終わったら悔しいじゃないですか?同じ演じるのになんでこんなに違うんだろうってことだけは、どうしても知りたいなって思いながら続けていました。

そんな毎日を過ごして1年ぐらいした頃、単発のドラマCDの現場で、「この声、すっごい聞いたことある!」って人がいたんですよ。

誰かな?って思ったら、タイムボカンシリーズの『ヤッターマン』で、ボヤッキーを演じられていた大先輩の八奈見乗児さんで、子どもの頃から慣れ親しんでいた声だったので「ああ、ボヤッキーだ!」と思いながらご一緒させていただいたんです。

そのときの八奈見さんは、多分60歳ぐらいで、すでに大ベテランだったんですけど、すごく楽しそうにスタジオで演技をされていたんですよ。
その姿を見たときに、声優っていくつになってもあんな風に楽しそうにできる仕事だって気付いたんです。

そのとき、僕は心を入れ替えよう!絶対にこの仕事を絶対モノにしよう!って決めました。

それからは、もっと積極的に先輩に聞くようになりましたね。台本のチェックの仕方とかも全部聞きました。
レンタルビデオ屋で、僕より少し上の先輩たちが主役をやっているアニメを借りて見たこともいっぱいありました。先輩たちの演技を盗み見て、ああこうやって叫ぶんだって勉強しましたよ。

―声優の先輩にも影響を多く影響を受けたんですね。

僕が新人の頃は今ほど若い人が現場にいなくて、周りは先輩ばかりだったんですよ。でも先輩たちも、誰も「下手くそっ!」とは言わないで「お前も飲み来い!」って誘ってくれたんですね。もう20年以上前の話なんですけど、当時の先輩たちに会うと未だに背筋が伸びますね(笑)

特に役者としても人としてもお世話になったのは、同じ事務所だった声優の渕崎ゆり子さんです。
デビュー作の『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』は主人公が2人いるんですけど、渕崎さんはそのうちの一人を演じられていたんです。
その頃、僕が初めに入った事務所は数年間新人をとっていなかったんで、渕崎さんにとって初めてできた後輩だったんですよ。だから、すごいかわいがってもらったんですね。

ほんとうになにからなにまで、挨拶の仕方とか、飲み会のマナーとか、とにかく全てを教わりました。
いろんな人を紹介してくれたり、飲みに連れて行ってもらった帰りには「ちゃんと帰れる?」って聞いてくれたり、ギャラをもらったら「ちゃんと帳簿に付けなさい」って言ってくれたり(笑)すごいめんどうをみてくれたんです。

あとは別の事務所ですけど、三木眞一郎さんにも大変お世話になりました。
三木さんは僕より6歳ほど上なんですけど、すごくストイックな先輩で、たくさんお芝居のアドバイスをいただきました。
家の方向も全然違うけど、最後の店まで三木さんにくっついて行って飲んでました(笑)

もちろん他にもいろんな先輩がいますけど、公私ともにお世話になって印象的なのは渕崎さんと三木さんです。ほんとうにお2人から学んだことは多いですね。

 

先輩にお世話になった分は、全部後輩に渡すことが恩返し

森久保祥太郎 声優 爆走兄弟レッツ&ゴー!! ミニ四ファイター MAJOR 茂野吾郎 NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルト 奈良シカマル 弱虫ペダル うたの☆プリンスさまっ♪ ナレーター buzz★Vibes ヴォーカル―先輩にお世話になった森久保さんですが、後輩のめんどうをみることも多いんでしょうか?

ある日、渕崎さんに言われたんですよ。
久しぶりにお仕事をご一緒して、お昼ご飯を食べに行ったときに「先輩、今までたくさんご馳走になったんで、今日くらいご馳走させてください」って言ったら「あなたが先輩になったら、後輩にご馳走してあげなさい」って断られたんです。

なので僕も、先輩からいろいろお世話になった分は全部後輩に渡そうと思ったんですよ。
僕が今いる事務所は、最初は所属声優が僕しかいなかったんですが、7年くらい前から新人が入るようになって後輩ができたんです。その後輩たちにはわりときっちり教えてますね。それが先輩への恩返しだと思います。

―声優には向いていないと思いつつ、声優を続けた理由はありますか?

僕はいつもそうなんですけど、好奇心が強くて興味があったらできなくてもやるって言っちゃうんです。とにかく「おもしろそうなことで食べていきたい」って思いはずっとあって、いつも後から努力するんですよね。

なので、基本的に仕事を断わらないんです。どうしてもスケジュールが合わないとき以外は、どんな仕事も受けちゃうんですよ。
自分にとって何が次のステップになるかわからないですから、とりあえずやってみようっていつも思うんです。

声優と同じで、はじめはラジオも全く興味がなかったんですよ。
今はFMラジオで生放送のDJをやってるんですけど、もともとラジオ少年でもなんでもなくって、DJってカッコイイな、好きな音楽かけてしゃべればいいんだろうなって感じでした。

僕の先輩が千葉のbayFMってラジオ局でDJをやってたんです。
たまたま僕がCMナレーションの仕事でbayFMに行ったら、生放送を終えた先輩が出てきて「この子、バンドやってて音楽にも詳しいんです」ってディレクターを紹介してくれたんですよ。

そしたら後日、ディレクターから電話がかかってきて「DJやってみたい?」って聞かれたんです。
経験はなかったんですけど、おもしろそうだなと思って「やってみたいです」って言ってデモテープ録って、深夜の生番組を持つことになったんです。

でも、軽い気持ちではじめたら1人で4時間もしゃべらなくちゃならなくて大変でした(笑)
あのころはメールが主流になりつつある時代で、リスナーに呼びかけをしてメールを募集して、それに合わせて話をしていくんです。
でも時間の読み方もわからないんで、エンディングがやけに余っちゃったりもしましたね。だから移動のたびに、各局のいろんなDJのラジオを聞いて勉強しました。

いろいろ手を変え品を変えつつやっていて、自分なりに台本を書いたりもしたんです。でも「それじゃあフリートークじゃない!」ってディレクターに言われて…、どうもうまくいかないんですよ。

そうすると、もうDJは向いてないからクビになってもいいやって、気持ちもどこかにあって。
ある日、ゲストのことを事前にキッチリ勉強できなかったんですけど、その日のゲストとの会話が逆にすごく自然で良かったって初めてディレクターに褒められたんですよ。

そこでちょっと自信が持てました。DJとしての基本的な心構えも発見でき、少しずつラジオが好きになって、気づけばもう16年やっていますね。

 

僕の発声はガソリンスタンドで培われたんですよ(笑)

森久保祥太郎 声優 爆走兄弟レッツ&ゴー!! ミニ四ファイター MAJOR 茂野吾郎 NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルト 奈良シカマル 弱虫ペダル うたの☆プリンスさまっ♪ ナレーター buzz★Vibes ヴォーカル―いろいろなお仕事に取り組んでいる森久保さんですが、はじめてのアルバイトについて教えてください。

はじめて働いたのは、家の近所のガソリンスタンドです。
一番長く続けたアルバイトで、高校1年から大学3年生まで働いていました。
当時付き合っていた彼女のお母さんが働いていたところで、彼女と彼女のお母さんと一緒に仕事をしていましたね(笑)

僕が働いていたのは、秋川って行楽地に行くときに通る最後のスタンドで、週末になるといろんな若い人がバーベキューしに来たりするんですよ。接客業でいろんな人と話せるのもおもしろかったですね。

まわりには土建屋さんとか、鉄工所とかが多くて常連さんもいっぱい来るんですが「ちょっと俺のベンツ取りに来て、ガソリン入れて洗車しといて」みたいなこともお願いされるんです。
そしたら原チャリで常連さんのところまで行って、ベンツに乗ってスタンドまで戻って、ガソリンを入れて、またお客さんのところにベンツを持っていって、また原チャリでスタンドに帰って来るんですけど、「ああ、ベンツ運転しちゃった!」みたいなのがうれしかったです。

車やバイクが好きなんで、自分の車もいじれましたし、オイル交換したり、洗車したりするのは楽しかったです。

僕、窓をきれいに拭くのが上手いんですよ。
だから今、窓拭きが雑なガソリンスタンドは二度と行かないです(笑)
あとは元気ない店員さんのところにもいかないですね。この店は気持ちいいなってところには行きます。すごく厳しくチェックしますよ(笑)

―アルバイトをする中で、大変だったことはありますか?

当時は舞台で休むっていうのが恥ずかしかったですね。
僕が住んでいたところは八王子でもすごく田舎で、陸の孤島みたいなところなんですよ(笑)

市街地から車で一時間ぐらいの場所で山と田んぼと川しかなくて、芝居をやってる人もいなくて「役者で食います!」って言っても、「そんなことやってんの?」って笑われちゃうんですよ。

このままじゃダメだと思ったんで、もう巻き込もうと思ったんです。
当時の所長に招待券を渡して、舞台を観に来てもらって、きちんと自分のやってることを理解してもらうようにしたんです。

それからは、比較的休みはとりやすくなりましたね。
それまでは急に仕事が入って休みがほしいって言いづらかったんですけど、言いやすくなりました。
自分のやっていることを、ちゃんと理解してもらうってことにトライできたのはすごくいい経験になりました。

―声優になっても役立つ経験ができましたね。

あとは、今月は芳香剤を売りましょう、水抜き剤を売りましょうってキャンペーンがあったんです。
でも、普通にやったって売れないですし、いかにも田舎のスタンドみたいなディスプレイじゃダメだなって思って「もっと派手にした方がいいと思うんですよ」って提案して、バイト仲間でディスプレイを直したんですよ。

足りないときは自分たちでアイディアを生み出すっていうのは、すごく芝居に必要なことだと思うんです。ガソリンスタンドのバイトで経験したことで今に活かされてることは多いですね。

それに僕の発声もガソリンスタンドで培われたんですよ。「いらしゃいませー!オーライ!オーライ!」って。GS発声法ですね(笑)

走ったり大きな声で挨拶したり、僕の性に合うんですよね。今でも働きたいくらいです!(笑)

森久保祥太郎 声優 爆走兄弟レッツ&ゴー!! ミニ四ファイター MAJOR 茂野吾郎 NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルト 奈良シカマル 弱虫ペダル うたの☆プリンスさまっ♪ ナレーター buzz★Vibes ヴォーカル

次回は森久保さんの実はやってみたい!と思っているアルバイトを体験してもらいながらお話しを伺います。森久保さんは先輩に言われたある一言で仕事への意識が変わったそうです。その言葉とはいったいどんなものだったのでしょう…?最終回もお見逃しなく!

■Profile
森久保祥太郎 Morikubo Showtaro

2月25日、東京都生まれ。
『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』ミニ四ファイター役で声優デビュー。
代表作は『MAJOR』茂野吾郎、『NARUTO-ナルト-疾風伝』奈良シカマル役、『弱虫ペダル』巻島裕介役、『うたの☆プリンスさまっ♪』寿嶺二役など他多数。
声優以外にもナレーター、ラジオDJ、俳優など幅広く活躍。森久保祥太郎個人としてのアーティスト活動に加え、buzz★VibesのヴォーカルM.K.Bとしても活躍中。

【公式HP】http://www.vims.co.jp/morikubo/
【公式twiiter】@MorikuBorn

撮影:田形千紘
ヘアメイク:佐茂朱美
取材:舟崎泉美

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