ミケ(Blu-BiLLioN)インタビュー 『頑張ったら頑張ったぶんだけ評価してもらえる魅力的な仕事ってたくさんあると思う』【俺達の仕事論vol.18】
10月17日に3rd FULL ALBUM『EDEN』をリリースし、今月下旬からは『Blu-BiLLioN TOUR17-18-19「Strive for EDEN」』をスタートさせるBlu-BiLLioN。今回はそのボーカリストであるミケさんにご登場いただき、初めてのバイトだったというファーストフード店の話題を中心に、多種多様なバイト経験についてお話を伺いました。
高校生のとき、携帯代を払うためにバイトを始めた
――ミケさんは、バイト経験豊富だとか。
そうなんです、たぶん12~13ヵ所くらいで、いろいろな仕事をしました。
――最初にバイトしたのは?
高校2年生くらいのときですね。僕の地元・埼玉では、高校生で800円もらえるバイトって当時はあまりなかったんですけど、近くのファーストフード店が時給800円で募集していて。
――なにか欲しいものがあって、お金が必要だったのでしょうか?
親としては高校生のうちは携帯電話を持たせたくなかったみたいで、どうしても持ちたいなら自分でお金を払いなさいっていう方針だったんですよ。だから、携帯代にあてるために、週2くらいのペースで働き始めました。
――初めて働き始めてみたら、大変なこともあったのではないでしょうか?
ありましたね。最初はキッチンから入って、そのうちレジをやるようになったんです。そのお店はチキンフライをメインに出すお店だったので、鳥の部位の名前や、揚げるときの手順とか覚えることや細かい決まりがたくさんで……。しかも8時間立ちっぱなしですからね。今だったらできる自信があまりないです(苦笑)。
――チキンを販売しているということは、クリスマス時期は相当忙しいはずです。
そうなんです。めちゃめちゃ忙しかったです。12月23日から25日にかけてものすごい量の予約が入るんですけど、その期間はキッチン担当者が早朝から集まって、チキンに粉をつけては揚げるっていう作業をひたすら続けるんですよ。
――そうしないと、オーダー数に追いつかないわけですね。
男の子は基本的にキッチン、女の子はホールや店頭の売り子を担当するんですけど、どっちもものすごい忙しさです。
バイト先に自分と近い世代の人がいるかどうかは、重要なポイント
――それに、ずっとキッチンでチキンを揚げていると、油のにおいもついてしまいそうな気が。
着てきた服はだいぶ油くさくなるから、バイトのときは捨ててもいいような服を着て行っていました(笑)。
――バイト後にデートなんて……。
まずできないですよ。それこそ、同じ職場同士とか、相手が焼肉屋さんでバイトしているとか、わかり合える相手じゃないとなかなか難しいんじゃないかな(笑)。ただ、その後ステーキ屋さんで働いたときにはわりと体育会系な感じで厳しくて、僕はそっちのほうがつらかったかもしれないです。大変なこともあったけど、そのお店は一緒に働いているのが同世代の人たちばかりだから、楽しかったんですよ。
――いろいろ話せたりもして?
そうそう。バイト先に自分と近い世代の人が多いかどうかっていうのは、わりと重要なポイントだなと思いますね。
――そのお店ではどのくらいの期間働いたんですか?
専門学校を卒業するくらいまでだから、20歳くらいまでですかね。高3の終わりくらいには、ちゃんと研修を受けてシフトマネージャーまでやりました。ちなみに、Blu-BiLLioNには別の店舗でシフトマネージャーをしていた人がいるんですよ。
――なんという偶然。どなたですか?
teruです。なかなか珍しいですよね。2人でそのお店ごっこができます(笑)。で、話を戻すと……専門学校のときには、かけ持ちでほかにもバイトしていたんですよ。
バンドをやるために学校に通いながらバイトを2つかけもち
――学校に通って、バイトを2つも。
そのころになるとバンドを始めていて、まだまだお客さんも入らないからライヴをするにも持ち出しが多いし、スタジオ練習をするにしてもお金がかかるから、稼がないといけなくて。1日に2つかけもちをするというハードな感じではなかったものの、週3くらいでファーストフード店、週2くらいで大型スーパーの中に入っている靴屋さんで働いていました。
パソコンの専門学校に通っていたんですけど、平日は朝8時半から16時15分までびっちり授業があって、50分くらいかけて一度家まで自転車で帰って、すぐ夕飯を食べて、18時からのバイトに向かって、毎日22時とか23時くらいまで働くっていう生活をしていましたね。
――十分ハード! もうひとつの靴屋さんというのは、どういうきっかけで働き始めたのでしょうか?
飲食店以外で働いてみたかったんですよ。立ち仕事ではあったものの、飲食での立ち仕事よりラクな感じがしましたね、僕は。お客さんと接する時間も楽しかったし。
――接客業の場合、いろいろなお客様がいて、対応に苦慮することもあったりするかなと思うのですが……。
靴屋さんではそんなに困ったことってなかったんですけど、最初にバイトしたファーストフード店ではありました。そのお店のチキンはジューシーさを売りにしているので、他のファストフード店のチキンを比べて、ベチャっとしているじゃないかとおっしゃるわけですよ。だから、時間をかけて丁寧にご説明したりとか。
でも、一番つらかったのは、専門学校を卒業後にやったインターネット回線のテレホンアポインターのバイトですね。最初は営業部にいて、新規のお宅に電話をどんどんかけてサービスを売り込むものの、まともに取りあってもらえないことのほうが多いですから。
その後、インバウンドっていう受信する部署にまわされたら、今度は問い合わせとか苦情が寄せられるわけですよ。一応マニュアルはあっても、言葉遣いや言い回しが少しでもお客様の気に障ったらいけないわけですからね。大事なのは、共感や同調。
テレアポの仕事を通して相手を不快にさせない話し方を学んだ
――すると、次第に相手の溜飲も下がりますよね。
そうなんです。テレアポの仕事を通して、相手を不快にさせない話し方っていうのを学びました。それに、仕事が大変なぶん、時給も高いですからね。インバウンドの中に工事予約課というのがあって、途中からはそこにいたんですけど、電話をとった件数でお給料が変動するんですよ。1位の人だと、プラス20万円くらい。
――それはぜひとも1位になりたいですよね。
なので、電話をいかに早くとれるかが勝負。ずっと電話の前で待ち構えておいて、“トゥルル”って鳴る前に小さく“トゥッ”っていうのが聴こえた瞬間、受話器をとれるようになって。見事1位になったことがあります(笑)。
――さすがミュージシャン、耳がいいんでしょうね。
テレアポってバンドマンが結構いるんですけど、やっぱりみんな強かったですね。僕と熾烈なコール取り争いを繰り広げていたのも、バンドマンでした(笑)。
ただ、その後バンドが忙しくなってくると、週4とか週5とかで入れていたバイトが週2くらいしか入れなくなっちゃうから、そうなると収入も減って。
打開策として、それこそタウンワークでいろいろ探して、夜働ける運転代行のバイトをしていた時期もあります。
今ステージに立てているのは接客の仕事のおかげでもある
――バンドとバイト生活の両立が苦しくなることはなかったのでしょうか。
体力的に大変なとき、精神的にしんどいこともありましたけど……バンドのためにやっているわけで、だから耐えられたし、もしバンドがなかったらくじけていたと思います。
――バンドが心の支えだったわけですね。いろいろな仕事をしてきた中で得たものが、今に生きているなと感じる瞬間はありますか?
僕の場合は、人と話すことですね。昔は人見知りでしたけど、接客の仕事を通して、ちゃんと人の目を見て話せるようになりましたから。そのおかげもあって、今ステージに立てているような気もします。
――そんなミケさんから、これからバイトを探そう、頑張ろうという人に伝えたいことは?
なにかやりたいことや夢があるなら、そのために都合のいい仕事、時給のいい仕事を選べばいいと思うし、やりたいことは特にないけど興味があること……たとえば、料理系のバイトを始めて自分に合っていたら、そこから社員登用への道も開けるかもしれないし。そういうバイトの選び方もいいんじゃないですかね。頑張ったら頑張ったぶんだけ評価されたり、対価をもらえたりする魅力的な仕事って、たくさんあると思うので。自分なりのやりがいをぜひ見つけてみてください。
ミケ(Blu-BiLLioN)
2010年に始動した6人組バンド、Blu-BiLLioNのボーカリスト。ボーカル・ツインギター・キーボード・ベース・ドラムという編成と、そこから生み出されるメロディアスかつキャッチーな楽曲が魅力。10月17日には3rd FULL ALBUM『EDEN』をリリース。今月下旬からは、同作を引っ提げた『Blu-BiLLioN TOUR17-18-19「Strive for EDEN」』を予定している。
◆Blu-BiLLioN Official Website:http://blu-billion.jp/
◆ミケ Official Twitter:@HangermanNgaNga
企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:杉江優花 撮影:河井彩美