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2018年04月11日

HIKARU.インタビュー『失敗を繰り返さないことと、自発的に動く気持ちが大切だと思う』【俺達の仕事論vol.30】

HIKARU カメレオ 仕事論 タウンワーク

日夜、洗練されたメロディやリズムでファンを魅惑し続けるヴィジュアル系バンドのアーティストたち。いまは表舞台で活躍する彼らだが、そこに至るまでには様々な苦労体験や成長エピソードがある。この連載では、そんな彼らが日頃語らない過去の出来事やバイト体験について掘り下げます。

昨年6月に解散したカメレオのヴォーカリスト。今年2月には、ソロプロジェクトL.A.LEMECCA(エル・エー・レメッカ)として始動することを発表。現在は、音楽活動と並行して、カフェANA BAR CAFÉ(アナバーカフェ)のプロデュースもおこなうHIKARU.に、自身のアルバイト経験について伺いました。

 

鮮魚コーナーの裏側は大変だったけど、バイトならではの経験だった。

HIKARU カメレオ 仕事論 タウンワーク——始めてのバイトから教えてください。

4つ上の兄貴がバイトをしていたこともあって“高校に入ったらバイトはするもの”っていう感覚だったから、高校に入ってすぐにスーパーでバイトをしました。

——持ち場はどこでしたか?

鮮魚コーナーの裏側だったんですけど、学校が終わってから行くと夕方だから、基本はゴミの片付け。ものすごい量の魚をさばいた後のアラとか肝がボックスに満杯になっていて。それを運んでゴミ袋に捨てるんですけど、肝はグロいし、生臭い匂いも体中についちゃって大変でしたね。魚はすべるから、重たすぎて廃棄物を全部こぼしちゃったこともあります(苦笑)。

——かなりの重労働ですよね。

そうですね。まな板もすごく大きくてめちゃくちゃ重たいんですよ。6〜7センチくらいの分厚さで、持ち上げるのも大変なやつをタワシで洗ったり漂白したり。あとは、仕事が終わった後のガラスケースにフタをするとか、電源を落としたりもしていたんですけど、基本は掃除でしたね。

——そこでは、どれくらい働きましたか?

1〜2年働きました。すぐに辞めていく人も多かったみたいなんですけど、僕は“バイトってそういうものだ”と思っていたので、しばらくは続きましたね。

——そんな中で、好きな作業はありましたか?

夜になると値下げのシールを貼るんですけど、時間が経つにつれて、さらに値引きされるじゃないですか。シールの形が一緒だから、最初のシールの上に、いかに正確に重ねて貼れるかっていうのが僕の中で勝負でしたね。それは楽しみながらやっていました(笑)。

 

広い空間を動き回れる仕事が好きだと気付いた(笑)。

HIKARU カメレオ 仕事論 タウンワーク——スーパー以降はどんなバイトを?

短期のものをいくつか。コンビニのバイトを夏休みの1ヵ月限定でしたり、日雇いでCMのエキストラとか、宅配の仕分けもしました。ただ、コンビニは向いていなかったですね(苦笑)。スーパーの魚の後処理に比べたら楽ではあったんですけど、その時の従業員の人たちと気が合わなかったのと、コンビニって狭いじゃないですか。色々とやってみて分かったんですけど、たぶん僕は狭いところにずっといられなくて、広いスペースで移動できる開放感が好きみたいです(笑)。

——接客が苦手なわけではなかったと。

そうですね。接客業に関しては楽しかったですよ。あと、コンビニで思ったのは入荷した商品を陳列するのがちょっと……。パンとかお菓子って、並べる時に古いものを手前に押し出して、新しいものを棚の一番奥に入れるんですけど、パンもペットボトルみたいに後ろから入れられるようにしたらいいのになって。もうちょっと効率のいい棚が作れるんじゃないかと思って。

——棚の提案ですか!?

ははは(笑)。そうですね。今は、パックのジュースが補充しやすいように引き出し式になっているところも多いですけど、昔はそれも後ろまで手を入れて置いていましたからね。昔から効率を考えちゃうところはあったかもしれないです。

——昔からというと?

小学生の頃、ヨーヨーで日本チャンピオンになったことがあるんですけど、練習はみんなと同じくらいだったんです。でも、出来ない技があると、理由を考えて練習していたことで上達は早かったんだと思います。

 

デリバリーは時間が経つのが早くて天職だと思った!

HIKARU カメレオ 仕事論 タウンワーク——なるほど! では、一番長く続いたバイトは?

高校2年の時にバイクの免許を取ったので、スーパーを辞めた後に始めたデリバリーの仕事ですね。ジャンルは寿司、中華、ピザといくつかあったんですけど、もう天職でした(笑)。最初は時給が良くて選んだんですけど、やってみたら本当に楽しくて。

——どういうところが魅力でしたか?

ドライブが好きなのもあって、時間が経過するのがすごく早く感じたんです。

——しかも開放的な場所が好きなHIKARU.さんとしては(笑)。

広範囲をめっちゃ動けますからね(笑)。4〜5時間ドライブしたら終わりみたいな。そんな感覚でした。

——とはいえ、苦労もあったと思うんですけど。

雨の日と冬は大変でしたね。バイクにも、屋根付きと屋根なしがあって、新人の頃は選べなかったから、雨の日はカッパを着て配達に行くんですよ。土砂降りの日は前も見にくいし、もちろん事故をするわけにはいかないから神経を使いました。

 

失敗エピソード——荷台を開けたらピザがない!?

HIKARU カメレオ 仕事論 タウンワーク——当時のハプニングはありますか?

バイクにピザを積んでいたら、ちょうど雨が降り出したことがあったんです。その時はすでに古株になっていたから、屋根付きのバイクに変えたんです。まずは到着したことを知らせるために、先にピンポンを押して、注文された方が出てくるまでに、バイクに戻ってピザを取り出すんですけど、荷台を開けたらピザが入ってなくて……。バイクを変えるためにカギをとりに戻ったせいで、最初に積んだ屋根なしバイクのほうにピザを入れたままだったっていう。しかもピンポンは押してしまっているし“やばい、どうしよう!”って。

——焦りますよね(笑)。

お客さんは出てきてしまうから“すみません、忘れました!”って大きな声で謝るしかなくて。でも、お客様からしたら、いきなり“忘れました”って言われても意味が分からないですよね。

——お釣りを忘れたのかな?とか。

まさかピザを忘れるとは……っていう(苦笑)。すぐに戻って再度配達したんですけど、ひたすら謝って……もう気まずさしかなかったです。あとは、寿司屋のデリバリーで、小さな段差に気づかなくてガタンってなってしまった時に、“これ……やっちゃったな”って。お寿司ってデリケートだから、荷台にもバネが付いているんですけど、それでも、ちょっとの衝撃で倒れちゃうんですよ。それで、荷台を開けたら崩れているどころか、一人前用の箱が立てになって寿司が片方でくっついていて“おぉ……”って。それも、急いでお店に戻って再配達しました。

——食品はデリケートですね。

やっぱり商品ですからね。ただ、それだけデリバリーを経験したことで、都内はもう裏道大魔王です(笑)。親がタクシーの運転手だったので、遺伝もあるかもしれないんですけど、もともと方向感覚はあるほうで1回通った道は忘れないですね。

——最初は地図で覚えるんですよね?

デリバリーのお店って、めちゃくちゃ大きい地図が壁一面に貼ってあるんです。同じ方面から注文があると、一人で5件〜6件の掛け持ちをするんですけど、当時はiPhoneもなかったから、地図を見てインプットしていました。

 

店長の料理写真に対するこだわりは、その後の音楽活動にも影響を与えてくれた

HIKARU カメレオ 仕事論 タウンワーク——では、バイトを通して心に残っている人や言葉はありますか?

デリバリーをしていた時の寿司屋の店長ですね。その人はとにかく握りがすごく早くてキレイで天才的だったんですよ。その人はめちゃくちゃ怖かったんですけど、僕にだけはすごく優しくて。

——尊敬が伝わっていたんですかね?

それもあると思うし、他の人が怒られている内容ってどれも正論で。言い方はきつかったけど、それは理解できたので先を読むようにはしていました。その店長がある時“メニューの写真も結局は心理だからね”って言っていて。写真で美味しそうに見えたら食べたくなるじゃないですか。それを聞いて“たぁしかに〜!”と思って(笑)。たとえばマグロの赤身にしても、写真によって色が全然違う。その時は、バンドも本格的に始めていたから、アー写(アーティストの宣伝用写真)の色味もけっこう考えていて。その店長の言葉で“それってアー写もメニューの写真も一緒だな”と。純粋に写真が良い方が人目に触れるだろうし。技術のある人が言った言葉だからこそ、響いたんだと思います。

——なるほど。ちなみに現在は、HIKARU.さん自身もソフトクリームカフェ『ANA BAR CAFÉ』のプロデュースをされていますね。

昨年バンド(カメレオ)が解散した時に、何かを始めたいなと思って昔からやりたかったカフェをオープンしました。

——今は人を雇う側でもありますが、アルバイトとして、どんな人材がほしいと思いますか?

頭の回転が早い人、自分から動ける人ですね。指示される前に状況を見て動けるような人はステキだと思います。でも“お店のために自発的に何かをしたい”って思ってもらうには、自分自身が、そう思ってもらえるような上司にならないといけないと思うから、今は勉強中です。責任も大きいですけど楽しいですよ。

——では、これからバイトを始めたいと思っている方に、アドバイスはありますか?

最初から上手くできる人はいないと思うんですけど、僕は一度注意されたことは、二度目は言われないように気を付けていました。あとは僕も、狭い場所でジッとしているのが苦手とか、道を覚えるのが得意っていうのは、やってみて知ったことなので、これから夢を探す人は、得手不得手を知るためにも、まずは色々なバイトを経験してみるのが良いと思います!

 

◾Profile
HIKARU.(ひかる)

昨年2017年6月に解散したカメレオのヴォーカル。解散後は、カフェ『ANA BAR CAFÉ(アナバーカフェ)』をプロデュースするほか、ライヴイベント等に参加。新音源「SLUMP」は、ライヴ会場限定にて発売中。今年2月にはソロプロジェクト・L.A.LEMECCA(エル・エー・レメッカ)の始動を発表し、6月18日には、初の主催イベント『Star⭐t』を高田馬場AREAで開催(チケットはソールドアウト)。夏には全国ツアーをおこなう!

HIKARU. Official Twitter:@KAMELEOHIKARU

◾カフェ情報
ANA BAR CAFÉ(アナバーカフェ)

HP:https://twitter.com/anabar_cafe

企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:原千夏 撮影:河井彩美

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