あの(ゆるめるモ!)インタビュー 「海…海な感じ。海に沈んでいる感じです」【 アイドルシゴト Vol.2】
「アイドルシゴト」は、いま”旬”なアイドルたちの”シゴト”にフォーカスしてお話をうかがい、普段ステージ上やメディアから見えないシゴト観、アイドルのやりがいなどについて明らかにしていくコーナーです。
今回は全国ツアーのファイナルライブまであと少し、脱力支援アイドル「ゆるめるモ!」の水色担当の「あの」さん。元々あまり人と話すのが好きではなかったというあのちゃんの等身大の気持ちをうかがいます。
「一緒にやりたい」って、はじめて求めてくれたことが嬉しかった
――どうゆうキッカケでアイドルをやろうと思った?
アイドル…っていうかやることがなくて、ずっと部屋にいたり一人で散歩したり、何もすることがない時期があって。でも、このままだとヤバいなと思っていて、そんなときにネットで回ってきたゆるめるモ!のホームページをみて、バンドができそうな感じだったり、この募集ページ、文字だらけで読む気がしない…という人も応募オッケーだったりゆるいなと思って自分自身も音楽が好きだったので気になってメールしたんです。そしたらプロデューサーさんから返信が来て、会って話したいって言ってくれたんですけど、その頃は人と話すのが嫌だったから、会うのはやだなって思ってメールをシカトしたんです。
――自分で送っておいて?(笑)
でもしつこくて(笑)何回も何回も、ライブを見てもらうだけでもいいのでって言われたので、それならって思って行ったんです。
そのときにプロデューサーさんと会って、最初は目も合わせられなかったんですけど、「何が好きなの?」「ゆくゆくバンドとかやりたいから、入って欲しい」ってその時も熱意が凄くて必要以上に、求めてくれたんです。
――ゆるめるモ!に入る後押しをしたのは?
オーディション自体苦手で、いままでなるべく人との面談とかも避けてきたので、それだけは嫌だって思っていて。その時も新メンバーみんな面談を受けているんですけど、自分の場合会ったらすぐこっちの決断次第で加入が決定してて。そんなだから自分のことなにもわからないのにそれでも、プロデューサーさんが「一緒にやりたい」って言ってくれて、求めてくれたっていうのがはじめてだったんで、たぶんうれしかったんだと思います。
それにやることが無くて、この先どうしようこのままでは死ぬだけだし。と思ってそのなりゆきで入りました。
予定調和じゃなく、常に自分のタイミングで行動を起こすことが、全部自分の結果につながる
――音楽関係をシゴトにしたいと思ったことは?
それはなかったです。趣味というか聞くのは好きだったけど、ミュージシャンになりたいと思ったことはないです。
――じゃあ音楽がしたいからアイドルってわけでもない?
たまたま、なんかこうゆうのってタイミングとか、運とか重要だなって思います。
やりたいって思ったらすぐやる。今は今しかないから、後先考えずにやるタイプなんですけど、それが後々考えるとよかったなって思うことが多いから。タイミングっていうか常に行動していたらめぐりめぐって(運や流れが)来るものだと思います。今考えたら。
――アイドルになった以外ではどんな行動を起こしましたか?
学校は周りに相談無しで勝手にやめました(笑)
アイドルをやっていても、ライブもそうだし、予定調和じゃないものとかは、全部自分のタイミング。自分の瞬間瞬間の感覚なので、そうゆうのも全部自分の行動した結果としてつながると思います。
海の中に沈んで、息が吸えない感覚
――アイドルをやってみてわかった「つらさ」ってありますか?
アイドルをやる前までは、アイドルをただキラキラした世界にいる人達だなって思っていたけど、やってみてすごく大変なことが多すぎて、逆に凄いなって尊敬するようになりました。あんなに明るく人と喋れるのとか常にみんなとワイワイできるってだけでも凄いことだと思う。あと、つらくてもつらいって言葉はあまり言いたくないです。なんとなく。
――辛い時どうやって自分をコントロールしていますか?
自分はコントロールがあまりできないから、自己にしまって色々考えます。
なんだろう、海…海な感じ。海に沈んでいる感じです。つらいことがあっても、それでもまた生きるってことが、海に沈んで行っている感じがして、息が吸えないというかそういった感覚なんですよね。難しいんですけど。
――そんなときの発散方法は?
発散方法…あ、それがライブかもしれない、わからない(笑)
――先程のプロデューサーさんとの話でもありましたが、誰かに求められることってあのさんにとってうれしいこと?
その時がはじめてぐらいだったんで、はじめて少しだけ「存在していいんだ」っていう感覚になったのもあります。今も求められるのはうれしいです。
――自分を求めくれるファンの言葉は、はげみになってる?
はい、でもそんなみんなが思っているほどの人間じゃない。でもライブをみて、「悲しくて苦しくてしょうがなかった時あのちゃんと出会ってまた生きようと思えた」「あのちゃんの言葉で生き方が変わった」とか、「あのちゃんのおかげで毎日苦しいことも乗り越えていけるよ」って言ってくれる人とかいて。そうゆうのはけっこううれしいです。そんなのありえないのにありえてて。誰かの悲しみや寂しさの為に自分が存在できたらそれはそれでいいなって。
バイトではじめて学校以外の人と関わったのは、いい経験
――過去バイトしていたことは?
コンビニとか、スーパーのレジとかやりました。
でもハキハキできなくて、笑顔もなくて、っていうのを毎回注意されたりとか、お客さんから「はっきりしゃべれ」「態度悪いんだよ」みたいに言われて喧嘩っぽくなることもあって、そうゆうのに対して何も出来なくて、しばらくやってやめちゃいました。
――どうゆうキッカケでスーパーに?
なるべく受かりやすい所を探して。そこのスーパーも面接とか無くて、書類出してちょっと顔合わせて外にでたら、すぐ電話がかかってきて、「明日から来てください」みたいな(笑)。それは普通に地元だったんでお店に貼ってあるバイト募集の紙をみて行きました。
――経験になったなって思うことは?
レジ打つのがすごく早くなった(笑)すごい得意になって、声は小さいけどレジ打ちだけ早いって紙に書かれるようになってました。
あとパートのおばさんが優しくしてくれたり、そうゆう同年代以外の人と関わったのもバイトがはじめてだったから、いい経験できてるなって思いながらやってました。
――最近は人とコミュニケーションするのは苦手ではなくなった?
必然的に必要なものになってるんで、しゃべることも、しゃべらなきゃいけない時は増えましたね。でも昔と変わらずそんなに得意ではないです。
お客さんと音楽で繋がって、楽しめるのが音楽をやる良さ
――いまのマイブームは?
夜さんぽしながら頭に浮かんだ言葉をひたすら言うのがブームです。
あと、最近全然眠れなくて、そうゆうときに聞くのが坂本龍一さんですごい落ち着く。だから最近聞いてます。
――テレビとかで面白いことを言うのは、普段から考えている?
そのときに浮かんだものをパッと言ったら使われちゃったりしてます。別に面白いことと思って、とかそんなことないです。
――アイドル活動の中で楽しいことって?
ライブをしたりそれを見て「頑張れる」「生きる活力になってる」って思う人がいるのはうれしい。そこにいるお客さん一人一人と音楽でつながって楽しめるのはアイドルとか音楽をしてる人ならではの良さかなって思います。
やりたいことがあるっていいことだし、希望あること
――人と会うのがつらかった中でけっこう行動力ありますよね
言葉とかより行動力のほうがあると思います。
――行動をなかなか起こせない方にアドバイスを
そうゆう人多いって聞きますけど、もったいないと思うし、やりたいことがあるっていいことだし、希望あることだなって思います。やりたいものがなくて、やれることもないなかで、やるしかないっていうパターンもあるから、やりたいことがある人はすぐ、今すぐにやったほうが、人生一回しかないし、やるべきだと思いますね。
――あのさんの魅力って、なかなか言葉から伝わりづらいのこともあるのかもしれないですけど、でもだからこそライブとかでもっとあのさんの魅力を知りたいと、お話を聞いていて思いました
ありがとうございます。ぜひライブ来てください。
――ありがとうございました。
グループ名には、「(窮屈な世の中を)ゆるめる」「You’ll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」といったメッセージがこめられている女性4人組ニューウェーブアイドルグループ。つらいことからの逃避を歌った、「逃げろ!!」など独自の世界観を表現した楽曲は多くの共感と支持を集めている。
衣装やアルバムジャケットは海外のニューウェーブバンドのオマージュも多く、同様のスタイルで人気のニューウェーブロックバンドのPOLYSICS・ハヤシヒロユキをはじめ、幅広いアーティストとのコラボレーションも多い。
公式HP:http://ylmlm.net/
公式twitter:@ylmlm_staff
取材・文:SADD 撮影:八木虎造
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。