けちょん(ゆるめるモ!)インタビュー「絶対未来があると思った」【 アイドルシゴト Vol.7】
「アイドルシゴト」は、普段ステージ上からは見えない、アイドルのシゴト観についてふかぼるコーナーです。
今回は脱力支援アイドル「ゆるめるモ!」の紫担当けちょんさん。現在のゆるめるモ! の中で唯一の結成時からのメンバーとして、グループに対しての想いを聞きました。
進路に迷っていたタイミングでプロデューサーに出会った
――けちょんさんは「ゆるめるモ!」の立ち上げメンバーだけど、加入へはどんなキッカケで?
加入前はメイド喫茶でメイドをやっていました。働いて1年ぐらい過ぎたときに、秋葉原の路上でビラ配りをしていたら、(ゆるめるモ! の)プロデューサーに声かけてもらったんです。ちょうどそのとき、進路に迷っていて、「この先なにをしようかな、このあとの人生ずっとメイド?」とか考えていたんです。
でも、最初はプロデューサーのことをすごく怪しく思っていて、疑っていたんですけど、でももしかしたら何かのチャンスかもしれないと思って、勇気を振り絞ってついて行きました。
――そのとき自分の中でこの先やりたいことは見つかっていなかった?
そうです。漠然としていました。
高校卒業して就活からも逃げて、やりたいこともないし、この先何しようっていうのが出てこなくて。私は何ができるかな、どうしようかなって考えているだけでした。
――そのあと実際参加を決めるまでには?
プロデューサーから「自分が声をかけた子たちで集まったりするんだけど来ませんか」、みたいな連絡が来て、めっちゃ怖かったんです(笑)。他のみんなが集まっている場所に行くのも最初は一人だったんで。見ず知らずのおじさんについていって、車に入れられちゃったらどうしようとか思って(笑)。
最初は30分ぐらい遅れて行ったんですけど、着いたら女の子たちがいて、いつの間にか撮影するよ、みたいな流れになっていて。「あれ、もう決まったんだ」みたいな感じで気づいたら参加が決まってました。
――流れに乗っかることにしたんですね、最終段階まで迷うことはなかった?
無かったですね。それよりも「楽しそうかな、やってみようかな、よしやろう」って気持ちでした。
アイドルとして自分の知らなかったことを経験できるのが面白い
――アイドルをやってみてわかった面白さは?
ダンスが好きで、参加する前からニコニコ動画の「踊ってみた」とかをよく見ていたんです。でもいざやってみると、ただ好きで見ていたときとは印象が全然違って。自分がステージに立って踊ったり歌ったりすることもそうだし、レコーディングもこうやって録音するんだみたいな。知らなかった部分を知るっていう経験はすごく面白いです。
――どういうときにやりがいを感じる?
やっぱりライブですね。最初はたくさんのお客さんの前で、他のメンバーと合わせて歌って踊っている自分なんて想像もできなかったけど、実際やってみるとすごく緊張するんですけど楽しくて。しかも、初めてのライブのときは、初めて観てくれる人でもこんなに優しくて、盛り上げてくれるんだ!って思いました。今は、私たちのライブを観てくれた人たち、ファンのみんながいきいきして帰ってくれたら嬉しいし、「元気でた!」とか「明日からも頑張れる!」とか言ってもらえると、やってて良かったって思います。
――たしかにアイドルの現場は一体感がありますね、逆につらいことは?
やっぱり人前で話すときです。話す機会は多いんですけど、苦手なんですよ。自分の気持ちを伝わりやすく言葉にすることがすごく難しくて、いつも詰まっちゃうんです。あと自分から積極的に発言できないときも多くて。そういうとき自己嫌悪になっちゃいます。「あぁ、言えなかったなぁ」って。
好きなお店で働いたほうが楽しいと思って始めたバイト
――はじめてのバイト経験は?
はじめてのバイトはドラッグストアでした。地元にすごく好きなドラッグストアがあって、雰囲気とか陳列の仕方が好きだったんです(笑)。
――陳列とはマニアック(笑)。苦労したこととかなかった?
ちょっとした一言が大事だなと思いました。私、けっこうクレームを受けていたんですけど(笑)。たとえばレジが並んでいて、隣のレジを開けたときに、「2番目にお待ちの方、こちらへどうぞ」って言ってカゴを運んだりするんですけど、その声が相手にちゃんと聞こえてなかったら、「いきなりなんだよ」ってなるじゃないですか。そういったこととかありました。あとは言葉遣いですね。
――他にもアイス屋さんでもバイトしていたと耳にしたけど、どんな基準で選んだ?
アイス屋さんで働いたのは、ドラッグストアのあと。お小遣いだけだと遊ぶお金が足りないなと思っていたとき、ちょうどアイス屋さんが募集していたのを見つけて。ジェラートが好きだったんで(笑)、やっぱ好きなところで働いたほうが楽しいかなって思って働きだしました。
自分の頭の中のことをイラストで描いて表現できる人になりたい
――アイドル活動やそれ以外も含めて、これは負けたくないとか、これで認められたいものってある?
私、「負けたくない」みたいな気持ちがあまりないんですよね。そこは問題だなって思ってます。だって、そういう気持ちがあったほうが、自分の成長に繋がることもあると思うから。
認められたいことは、イラスト! もっとやりたいなって思います。表現したいことが自分の頭の中だけで終わっちゃうのは嫌だし、でも言葉にするのは苦手だから、イラストを描いて表現できる人になればいいなって思ったりしますね。
ゆるめるモ! には絶対未来があると思ったから今も続けている
――アイドルとして今後こうなりたいみたいな姿はある?
「ゆるめるモ!」っていうグループを、他と一緒ではない一つのジャンルみたいなグループにしたいです。「ゆるめるモ!」といったらコレだよね、みたいな。音楽性もそうだし、全てにおいて他とはちょっと違うよねっていうグループでありたいなって思います。
――グループのカラーとして主張したいところはどこ?
曲はハッピーな曲ばっかりじゃなくて、少しコアな感じなものをやっているから、歌詞が心に刺さるとか、リスナーの心と向き合っていくとか、そういう深い気持ちを音楽で表現したいです。
少しでも興味があることは一度深く掘ってみる
――やりたいことが見つからない読者のみんなに、けちょんさんなりの見つけ方のコツを教えて下さい。
私も昔はそうだったんで気持ちが分かるんですけど、なにか少しでも興味があることがあったらそれを深くまでさぐってみるといいと思います。そういうキッカケや経験から本当にやってみたいことや仕事への気持ちが生まれてくるんじゃないかなって思います。
――ありがとうございました。最後に「ゆるめるモ!」の立ち上げから唯一今まで活動を続けているけちょんさんが、これまで続けてこられた理由と、そこにかける想いを教えてください。
ずっと今辞めたらダメだと思っていました。初めのころにメンバーが辞めていったとき、次のメンバーが入ってくるまで、「もうこれは終わるね」みたいな話しばっかりしていたんですよ(笑)。でも、新メンバーが入ってきて今ここまで続けられました。
「私なんかじゃダメだよな」って、何回も挫折しそうなったりもしたけど、それ以上に「今辞めたらもったいない、まだゆるめるモ! には絶対未来がある」と思ったからずっと続けられたんだと思います。
だから、何かを続けることに迷っている人にも絶対に諦めて欲しくない。続けて行くことで新しい発見があるし、最初はできなかったことができるようになったりもするし、気づくことが増えてくると思うから、続けることって大事だと思います。
グループ名には、「(窮屈な世の中を)ゆるめる」「You’ll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」といったメッセージがこめられている女性4人組ニューウェーブアイドルグループ。独自の世界観を表現した楽曲は多くの共感と支持を集めている。
公式HP http://ylmlm.net/
公式twitter @ylmlm_staff
取材・文:SADD 撮影:八木虎造