東理紗(生ハムと焼うどん)インタビュー「辛い時はファンや相方に救われた」【アイドルシゴト Vol.38】
毎週火曜日連載のアイドルシゴト。今回は、断食(活動休止)宣言をし、4月21日に活動休止前最終ライブを控える生ハムと焼うどんの東理紗さんに、曲作りエピソードを聞きました。
習い事に行きたくてバイトを始めた
−−前回のインタビューのとき、焼き鳥屋さんのバイトをやめた話を聞きましたが、あれからお店のTシャツは返しました?
あぁー…全然返してないね。部屋着です部屋着(笑)。だからお店の前を通る時は目が合わないようにしてる。
−−ちゃんと返してください(笑)。そもそも最初にバイトをしようと思ったキッカケは?
やっぱりお金が欲しかったからかな。買いたい物もあったし、習い事をはじめたかった。
−−どんな習い事?
タップダンスとかボイトレ(ボイストレーニング)とか、あとはジャズダンスとギターも習ってみたかったな。でも全部母親にねだってられないから、じゃあ自分でお金を貯めないとなって思ったのがキッカケ。あとパソコンを買って編曲の勉強をしたいとも思って。
−−生うどん(生ハムと焼うどんの略称)の作曲は主に東さんがされていますが、楽器とか作曲の勉強をしたことは?
楽器は一つもできないの。リコーダーもすごく下手だし(笑)。
−−よくそれでやってましたね。
そうなんだよね(笑)。だから楽器ができない人でも作詞作曲は出来るんだって思った。でも大変なのは「ここの音はレ?それともレ♯?」みたいに聞かれてもわかんないから「まかせる!」としか言えないし、楽譜が読めないとお話にならないこともあるから、勉強しなきゃなって思ってる。
バイトはアイドルより大変
−−以前の話ではバイト先では失敗ばっかりだったと聞きましたが、どんなことが難しかった?
メニューをいっぱい覚えないといけなかったことかな。ドリンクを作るにも全部手順があって、「レモンをいれて」「サイダーの入れ方はこう」みたいなのを山ほど覚えないとダメで。余裕がなくて焦ってたら店長に「顔がひきつってるよ、笑って笑って!」って言われるし…、マジ大変だった。アイドルより大変だったかも。
−−寸劇のセリフをあれだけ覚えているのに?記憶力はいいのでは?
ないないない、記憶力はないね。でも、すぐ覚えてすぐ忘れるって感じ。寸劇も本番前に一気に覚えて、終わったらすぐ忘れる。集中力が高いのかもしれないね。
バイトは大変だけど、やりがいをもって楽しめる
−−『ツイテール』の歌詞で「アルバイトで失敗しなかった」の部分はそんな経験から書いた?
それもあるし、友達がよく言ってた。同年代の友達と話してるとバイトの話が多いんですよ。「今日なんか良いことあったの?」って聞いたら「お客さんが喜んでくれた」とか「最近失敗しなくなって、楽しめる余裕がでてきた」って聞くと、最初はみんな大変だろうから上手くできると嬉しいんだろうな、って思いながら書いた気がする。
ただお金を稼ぐだけだと辛くない?その仕事が楽しいければやりがいを感じると思うけど、そこに行くまでも大変だなって思った。
−−もし、バイトができるなら何がしたい?
インコとか売ってるペットショップがやりたいな。鳥が好きで、家でずっとジュウシマツっていう鳥を飼ってたんですよ。バイトでもかわいい鳥と触れ合えるなら頑張れるかも。いまもインコを飼ってるよ。
−−鳥が好きになったキッカケは?
すごく仲のいい中学の友達がインコ好きだったの。鳥の可愛さは飼ってみないとわかんないと思う。私の鳥は超ワガママだけどね(笑)。
あとは図書館とかカフェのバイトもおしゃれだなって思うね。二十歳をこえたらバーでシャカシャカする人もやってみたい(笑)。
ファンについて来てもらうためにも、まずは自分が夢を追いたい
−−東さんの中で「アイドル」とはどういうもの?
『自分の夢を叶えられなかった人』とか『夢を見たくても見れない人』とか『持ってるけど秘めてる人』とかに、夢を与えることができる仕事だよね。自分の夢に重ね合わせたり、彼女たちの夢がいつの間にか自分の夢になってるヲタク(ファン)もいるから、その人の人生を変えちゃう職業だと思う。
あとはアイドルをやれる期間ってそんなに長くないから、期間限定の良さっていうか、青春時代のストーリーみたいにかけがえのないものだと思う。
−−その考えはいつから思うようになった?
生うどんをやるようになってからかな。昔やってたユニットでは7人とかだったけど、2人になると一人あたりの重みも違ってくるからね。
昔のユニットの時から「ファンのため、みんなのために」と言ってはいたけど、実際は歌手になりたかった自分のためにやってたかな。
−−たしかに東さんは他のアイドルの方と比べると「自分のため」というニュアンスの発言が多いですよね
もちろん皆のためってのもあるんだけど、自分のなかで気づいたことがあって。
断食(活動休止)の決断をするときに、求めてくれてるファンのためにやり続けようかって考えたこともあったけどやっぱり難しかった。
それはファンへの愛がないってことではなくて、ファンは『夢に向かって、がむしゃらに向かっていく私たち』が好きで応援したいんじゃないかって思ったの。だから、夢を持てなくなっても続けるのは本当に『ファンが応援したい私たち』なのかな、それは誰のためにもならないんじゃないかなって思った。
それなら、また『私のため』がどんどん大きくなったときに、他の人のためになればそれでいいし、私はそのほうが納得できるなって思えたんだろうね。
−−では別にファンを蔑ろにするわけではなく、ファンのことも考えて、ファンを満足させるために自分の意思を強くしたいってことなんですね
そうだね。生うどんは私が二十歳で武道館に立つということに執着してたから、生き急いでたし必死だった。そのガムシャラなところにストーリーを感じて応援してあげたいってファンも一丸になってたから、そうじゃなくなってしまったら違った魅力はあるかもしれないけど、ちょっと違うなって。
演劇でもアイドルでも1番を目指したい
−−前回のインタビューの時は、断食に向けての話し合いをしていた時期だと思いますが、表に立つ時はそんな素振りを見せないようにするのは精神的にキツかったのでは?
にっちやん(西井万理那)がそういうのを出さないのが上手なのか、天然で出ないのかはわからないけど、どんなことがあっても演者としてのパワーがものすごく強いから、ステージの上では何事もなかったように振る舞える。パフォーマンスに影響しやすい私と違って、にっちやんがそういうタイプだから自分も普通にいられたんだと思うし、それで救われていた部分はあるね。
あとは食いしん坊(ファン)にも救われてたと思う。食いしん坊が居たからステージの上では辛いことを忘れられたし、食いしん坊の気持ちを元気に変えて頑張るしかないよね。だから自分が辛い時はすごく食いしん坊の顔を見るようにしてる。逆に自分が強い時は全然見ないけどね、都合の良いときだけ力を借りてます(笑)。
−−今後の東さん自身の活動の方向性は?
よく「劇団でやっていくんでしょ?」とか言われるんだけど、演劇は演劇、ライブはライブ、みたいに別物に見ているつもり。生うどんでライブをする時間がなくなったとしたら、また別にライブの機会を演者として作っていくだろうし、今のところは二十歳までは自分でステージには立っていくかな。
生うどんも『解散』とも『充電期間としての休止』とも明確にしないまま今もぼんやりしていて、やっぱり皆が求めるものは『楽しいこと・面白いこと』だと思うから、どっちになったとしても今の自分に必用なことを蓄える期間として、今は少しずつ準備してます。
良いパフォーマンスをするためにも、信頼関係を大切にしたい
−−最後に、チームで目標を実現するために必用なことは?
信頼だと思う。信頼関係がないとダメ。実際コンビで信頼関係がなくて売れてる人はいっぱいいると思うけど、周りには分かっちゃうからね。
いいパフォーマンスをするためにも、長く続けていくためにも、信頼は大事なものだし大事にしたいものだなって私は思うな。
−−今は違えてしまったかもしれないですけど、それだけ西井さんの事を信頼していたんですね
そうだね。高校からの友達だったし、親友だと思ったからさ。でも、生うどんとして距離がより近くになったら上手く話せないこととか、発散できないことも増えちゃったってのもあるのかな。
あとはやっぱり相手に自分をゆだねて、寄り添うことかな。それが今回お互いできなかったのかなって思う。他の人と一緒に一つのことを続けていくうえで、それがとても大切なことで、いかに難しいことなんだと気づきました。
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取材・文:SADD
撮影:曽我美芽(@mimeeeeeeee)http://sogamine.com
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